出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|給水および排水の管理第123問
問題
給湯設備の保守管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 給湯水にレジオネラ属菌汚染が認められた場合は、高濃度塩素により系統内を消毒する対策がある。
(2) SUS444製の貯湯槽は、腐食を防止するために電気防食を施す。
(3) 給湯設備は、給水設備に準じた保守管理が必要である。
(4) 給湯水を均等に循環させるため、返湯管に定流量弁を設置する。
(5) ベローズ形伸縮管継手は、ベローズの疲労破壊により漏水することがある。
ビル管過去問|給湯設備の保守管理を解説
給湯設備の保守管理では、レジオネラ属菌対策、貯湯槽や配管材料の腐食対策、循環配管の流量調整、伸縮管継手の劣化などが問われます。この問題の正しい選択肢は(2)です。SUS444はフェライト系ステンレス鋼で、耐食性に優れた材料として貯湯槽などに用いられます。電気防食は、鋼製水槽など腐食しやすい金属材料に対して、腐食を抑えるために行われる方法です。SUS444製の貯湯槽は、材料自体が耐食性を持つため、一般に腐食防止を目的として電気防食を施すものではありません。ここでは「貯湯槽には腐食対策が必要」という知識と、「どの材料にどの対策を行うか」という知識を区別することが大切です。

(1) 給湯水にレジオネラ属菌汚染が認められた場合は、高濃度塩素により系統内を消毒する対策がある。
適切です。レジオネラ属菌は、貯湯槽や循環配管などで水が滞留し、温度管理や消毒管理が不十分な場合に増殖しやすくなります。汚染が認められた場合には、給湯系統全体を対象として高濃度塩素による消毒を行うことがあります。給湯設備では、単に水を流すだけでは配管内の生物膜や汚染を十分に除去できない場合があるため、系統内を計画的に消毒することが重要です。
(2) SUS444製の貯湯槽は、腐食を防止するために電気防食を施す。
不適切です。SUS444はフェライト系ステンレス鋼で、耐食性に優れた材料として貯湯槽などに用いられます。電気防食は、鋼製水槽など腐食しやすい金属材料に対して、腐食を抑えるために行われる方法です。SUS444製の貯湯槽は、材料自体が耐食性を持つため、一般に腐食防止を目的として電気防食を施すものではありません。ここでは「貯湯槽には腐食対策が必要」という知識と、「どの材料にどの対策を行うか」という知識を区別することが大切です。
(3) 給湯設備は、給水設備に準じた保守管理が必要である。
適切です。給湯設備は、給水設備と同じく人が使用する水を扱う設備であり、衛生管理が重要です。さらに給湯設備では、温度が高いことによる腐食、スケールの発生、レジオネラ属菌対策など、給水設備とは異なる注意点もあります。そのため、給水設備に準じた水質管理や設備点検を行いながら、給湯設備特有の温度管理や循環管理もあわせて行う必要があります。
(4) 給湯水を均等に循環させるため、返湯管に定流量弁を設置する。
適切です。中央式給湯設備では、各系統に湯を均等に循環させることが重要です。循環量に偏りがあると、遠い系統で湯温が低下したり、配管内で湯が滞留したりするおそれがあります。返湯管に定流量弁を設けることで、各系統の循環流量を一定に保ちやすくなり、給湯温度の安定や衛生管理に役立ちます。
(5) ベローズ形伸縮管継手は、ベローズの疲労破壊により漏水することがある。
適切です。給湯配管では、湯温の変化によって配管が伸び縮みします。ベローズ形伸縮管継手は、この伸縮を吸収するための部材ですが、繰り返しの伸縮や振動を受けることで、ベローズ部分に疲労が蓄積することがあります。その結果、亀裂や破損が生じ、漏水につながる場合があります。伸縮管継手は設置して終わりではなく、劣化や漏水の有無を定期的に確認することが大切です。
この問題で覚えるポイント
給湯設備の保守管理では、衛生管理、腐食対策、温度管理、循環管理、部材劣化の確認が重要です。レジオネラ属菌対策では、汚染が認められた場合に高濃度塩素消毒などで系統内を消毒する方法があります。給湯水は温度が高いため、腐食やスケールが発生しやすく、給水設備に準じた管理に加えて、給湯設備特有の管理が必要です。貯湯槽の材料では、鋼製材料とステンレス鋼を区別することが重要です。電気防食は主に腐食しやすい金属材料に対する腐食抑制方法であり、耐食性の高いSUS444製貯湯槽に一般的に施すものではありません。循環式給湯設備では、湯温を安定させるために返湯管や定流量弁によって循環流量を調整します。また、ベローズ形伸縮管継手は熱伸縮を吸収する部材ですが、疲労破壊による漏水リスクがあるため、点検対象として覚えておく必要があります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「腐食対策が必要」という一般論を、すべての貯湯槽材料に当てはめてしまう点にあります。給湯設備は高温水を扱うため腐食に注意する、という知識は正しいです。しかし、材料によって必要な対策は異なります。SUS444は耐食性の高いステンレス鋼であるため、鋼製水槽のように電気防食を施すという判断は不適切です。このように、文章の前半がもっともらしくても、後半の「どの材料にどの対策を行うか」がずれている場合があります。今後も、設備管理の問題では「対策名」だけで判断せず、「対象となる材料」「使用条件」「管理目的」が一致しているかを確認することが正答につながります。
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