出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物衛生行政概論第4問
問題
次に掲げる複合用途の建築物に関する記述として、正しいものはどれか。
ただし、A社、B社、C法人相互に関連はない。
A社の事務所2,000m2、B社の店舗600m2、A社の事務所及びB社の店舗の共用部分300m2、B社の店舗に附属する倉庫200m2、C法人の歯科クリニック400m2である建築物。
(1) 特定用途に供される部分の延べ面積は3,500m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当する。
(2) 特定用途に供される部分の延べ面積は3,200m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当する。
(3) 特定用途に供される部分の延べ面積は3,100m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当する。
(4) 特定用途に供される部分の延べ面積は2,900m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当しない。
(5) 特定用途に供される部分の延べ面積は2,600m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当しない。
ビル管過去問|複合用途の建築物を解説
この問題は、複合用途の建築物について、特定用途に供される部分の延べ面積を正しく算定できるかを問う問題です。建築物衛生法上の特定建築物に該当するかどうかは、興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校、旅館などの特定用途に使われる部分の延べ面積が、原則として3,000m2以上であるかによって判断します。本問では、事務所、店舗、共用部分、店舗に附属する倉庫は特定用途に関係する部分として算入しますが、歯科クリニックは特定用途に含まれません。そのため、2,000m2、600m2、300m2、200m2を合計した3,100m2が特定用途に供される部分の延べ面積となり、正しい選択肢は(3)です。

(1) 特定用途に供される部分の延べ面積は3,500m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当する。
不適切です。その理由は、3,500m2という面積には、C法人の歯科クリニック400m2まで含めて計算していると考えられるからです。歯科クリニックは医療施設であり、建築物衛生法における特定用途には含まれません。したがって、建物全体の延べ面積をそのまま特定用途の面積として扱うことはできません。特定建築物に該当するという結論自体は合っていますが、面積の算定が誤っているため、この選択肢は不適切です。
(2) 特定用途に供される部分の延べ面積は3,200m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当する。
不適切です。特定用途に供される部分は、A社の事務所2,000m2、B社の店舗600m2、共用部分300m2、B社の店舗に附属する倉庫200m2を合計して算定します。この合計は3,100m2です。3,200m2にはなりません。特定建築物に該当するという判断は正しいものの、延べ面積の数値が誤っているため、不適切です。
(3) 特定用途に供される部分の延べ面積は3,100m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当する。
適切です。A社の事務所2,000m2とB社の店舗600m2は、いずれも特定用途に該当します。また、A社の事務所及びB社の店舗の共用部分300m2も、特定用途に使われる部分に付随する共用部分として算入します。さらに、B社の店舗に附属する倉庫200m2も、店舗の用途に附属する部分として特定用途の面積に含めます。したがって、2,000m2+600m2+300m2+200m2=3,100m2となります。3,000m2以上であるため、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当します。
(4) 特定用途に供される部分の延べ面積は2,900m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当しない。
不適切です。2,900m2という計算は、B社の店舗に附属する倉庫200m2を除外している可能性があります。しかし、店舗に附属する倉庫は、店舗の利用に直接関係する附属部分であるため、特定用途に供される部分として算入します。そのため、正しい延べ面積は2,900m2ではなく3,100m2です。3,000m2以上となるため、特定建築物に該当しないという判断も誤りです。
(5) 特定用途に供される部分の延べ面積は2,600m2で、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当しない。
不適切です。2,600m2という計算は、A社の事務所2,000m2とB社の店舗600m2だけを合計し、共用部分300m2と店舗附属倉庫200m2を除外していると考えられます。しかし、特定用途に使われる事務所や店舗に関連する共用部分、附属倉庫も算定対象になります。したがって、正しい面積は3,100m2です。3,000m2以上であるため、建築物衛生法に基づく特定建築物に該当します。
この問題で覚えるポイント
建築物衛生法における特定建築物は、特定用途に供される部分の延べ面積が原則として3,000m2以上の建築物です。特定用途には、事務所、店舗、百貨店、興行場、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、学校、旅館などが含まれます。一方で、病院や診療所などの医療施設は、特定用途として扱われません。 複合用途の建築物では、建物全体の延べ面積ではなく、特定用途に供される部分だけを合計することが重要です。事務所や店舗そのものだけでなく、それらに関係する共用部分や附属する倉庫も、特定用途に関連する部分として算入します。反対に、歯科クリニックのように特定用途に該当しない用途の部分は除外します。 このテーマでは、3,000m2という基準値を覚えるだけでなく、どの部分を面積に入れるかを判断する力が問われます。特に、共用部分と附属倉庫を含めること、医療施設を含めないことが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、建物全体の延べ面積をそのまま使わせようとする点にあります。すべての面積を合計すると3,500m2になりますが、歯科クリニックは特定用途ではないため除外しなければなりません。建物全体が大きいからといって、そのまま特定用途の面積になるわけではありません。 もう一つのひっかけは、倉庫や共用部分を除外してしまうことです。倉庫という言葉を見ると、店舗や事務所とは別の用途のように感じるかもしれません。しかし、店舗に附属する倉庫であれば、店舗の機能の一部として扱われます。また、事務所や店舗のための共用部分も、特定用途に関連する部分として算入します。 このパターンでは、「特定用途そのもの」「特定用途に附属する部分」「特定用途に関係する共用部分」「特定用途ではない部分」を分けて考えることが大切です。面積計算の問題では、足し算そのものよりも、何を足して何を除くかが合否を分けるポイントになります。