出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第26問
問題
労働基準法に定める妊産婦等に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。 ただし、常時使用する労働者数が10人以上の規模の事業場の場合とし、管理監督者等とは、「監督又は管理の地位にある者等、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外者」をいうものとする。
(1) 妊産婦とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性をいう。
(2) 妊娠中の女性が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、他の軽易な業務に転換させなければならない。
(3) 1年単位の変形労働時間制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。
(4) 時間外・休日労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ている場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、時間外・休日労働をさせてはならない。
(5) 生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
第1種衛生管理者|妊産婦保護と女性労働者の就業制限を解説
妊産婦や女性労働者の保護に関する労働基準法上の規定では、「誰が対象か」「本人の請求が必要か」「管理監督者等にも適用されるか」が正誤判断の中心になります。答えは(2)です。妊娠中の女性が請求した場合、軽易な業務へ転換させる必要がありますが、この規定は管理監督者等であるかどうかに関係なく適用されます。そのため、「管理監督者等の場合を除き」としている点が誤りです。
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(1) 妊産婦とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性をいう。
適切です。労働基準法における妊産婦とは、妊娠中の女性と、産後1年を経過しない女性をいいます。産後すぐの期間だけでなく、出産後1年未満まで含まれる点が重要です。試験では「産後何週間」などの別制度と混同しないように注意が必要です。
(2) 妊娠中の女性が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、他の軽易な業務に転換させなければならない。
不適切です。妊娠中の女性が請求した場合、使用者は他の軽易な業務に転換させなければなりません。この軽易業務への転換は、労働時間、休憩、休日に関する規定とは性質が異なり、管理監督者等であることを理由に除外されるものではありません。つまり、管理監督者等であっても、妊娠中の女性が請求すれば軽易な業務への転換が必要です。「管理監督者等の場合を除き」という条件が付いているため、この選択肢は誤りです。
(3) 1年単位の変形労働時間制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。
適切です。変形労働時間制では、一定の条件のもとで特定の日や週に法定労働時間を超えて労働させることができます。しかし、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等を除き、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることはできません。妊産婦保護では、変形労働時間制の例外的な働かせ方よりも本人の請求による保護が優先されます。
(4) 時間外・休日労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ている場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、時間外・休日労働をさせてはならない。
適切です。36協定を締結し、労働基準監督署長へ届け出ている場合でも、妊産婦が請求したときは、管理監督者等を除き、時間外労働や休日労働をさせることはできません。36協定は時間外・休日労働を可能にする手続ですが、妊産婦本人から請求があった場合の保護まで打ち消すものではありません。
(5) 生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
適切です。生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、使用者はその女性を生理日に就業させてはなりません。ここで重要なのは、単に生理日であるだけではなく、「就業が著しく困難」であり、本人から休暇の請求があることです。請求があった場合には、使用者は就業を強制できません。
この問題で覚えるポイント
妊産婦とは、妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性をいいます。妊娠中の女性が請求した場合の軽易業務への転換は、管理監督者等であるかどうかに関係なく必要です。一方で、変形労働時間制における法定労働時間を超える労働、時間外労働、休日労働、深夜業の制限については、妊産婦の請求があった場合に適用され、管理監督者等については労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外との関係で扱いが異なります。試験では、妊産婦保護の規定をすべて同じ扱いにせず、「軽易業務への転換」と「労働時間・休日に関する制限」を分けて整理することが大切です。また、生理日の就業制限は、就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合に認められるものであり、使用者はその日に就業させてはなりません。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、「管理監督者等の場合を除き」という表現を、妊産婦保護のすべてに機械的に当てはめてしまう点です。管理監督者等は労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外者ですが、妊娠中の女性の軽易業務への転換は、労働時間そのものの規制ではなく、母体保護のための業務内容の変更に関する規定です。そのため、管理監督者等であっても除外されません。「妊産婦が請求した場合」という共通表現に引きずられると、すべて同じルールだと誤解しやすくなります。今後も、女性労働者や妊産婦保護の問題では、対象者、請求の有無、管理監督者等の除外があるかを分けて確認することが正答につながります。
