【第一種衛生管理者過去問】2025年4月公表問題|問27|年次有給休暇の付与条件と労働基準法の基礎|関係法令(有害業務以外)を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第27問

問題

年次有給休暇(以下「休暇」という。)に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

(1) 休暇の期間については、原則として、最低賃金又は平均賃金の100分の60の額の手当を支払わなければならない。

(2) 使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合(その労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、休暇を与える時季に関する定めをしたときは、休暇のうち3日を超える部分については、その定めにより休暇を与えることができる。

(3) 法令に基づく育児休業又は介護休業で休業した期間は、出勤率の算定に当たっては、全労働日から除外して算出することができる。

(4) 一週間の所定労働時間が30時間で、一週間の所定労働日数が4日である労働者であって、雇入れの日から起算して3年6か月間継続勤務し、直前の1年間に、全労働日の8割以上出勤したものには、継続し、又は分割した14労働日の休暇を新たに与えなければならない。

(5) 休暇の請求権は、これを1年間行使しなければ時効によって消滅する。

第1種衛生管理者|年次有給休暇の付与条件と労働基準法の基礎を解説

年次有給休暇は、一定期間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に付与される休暇です。答えは(4)です。一週間の所定労働時間が30時間以上の労働者は、所定労働日数が4日であっても通常の労働者と同じ付与日数が適用され、3年6か月継続勤務した場合は14労働日の年次有給休暇が付与されます。

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(1) 休暇の期間については、原則として、最低賃金又は平均賃金の100分の60の額の手当を支払わなければならない。

不適切です。年次有給休暇中の賃金は、最低賃金や平均賃金の100分の60ではありません。労働基準法では、年次有給休暇中の賃金について、平均賃金、通常の賃金、または労使協定により健康保険法上の標準報酬日額に相当する金額を支払うこととされています。平均賃金の100分の60という表現は、休業手当と混同しやすい部分です。使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合には平均賃金の100分の60以上の休業手当が問題になりますが、年次有給休暇は労働者の権利として取得する休暇であり、考え方が異なります。

(2) 使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合(その労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、休暇を与える時季に関する定めをしたときは、休暇のうち3日を超える部分については、その定めにより休暇を与えることができる。

不適切です。労使協定により計画的付与を行う場合でも、労働者が自由に取得できる年次有給休暇として5日分は残しておかなければなりません。そのため、計画的に付与できるのは、休暇のうち5日を超える部分です。選択肢では「3日を超える部分」とされているため誤りです。年次有給休暇は本来、労働者が請求する時季に与えるのが原則ですが、事業場全体で計画的に取得させる制度も認められています。ただし、労働者が自分の都合で使える日数を確保するため、5日分は計画的付与の対象にできません。

(3) 法令に基づく育児休業又は介護休業で休業した期間は、出勤率の算定に当たっては、全労働日から除外して算出することができる。

不適切です。法令に基づく育児休業または介護休業をした期間は、年次有給休暇の出勤率の算定において、出勤したものとみなされます。全労働日から除外するのではありません。年次有給休暇の付与には、全労働日の8割以上出勤していることが必要ですが、育児休業や介護休業を取得したことによって不利にならないよう、これらの期間は出勤扱いとされます。産前産後休業や業務上の傷病による休業期間も、同じように出勤したものとして扱われる点が重要です。

(4) 一週間の所定労働時間が30時間で、一週間の所定労働日数が4日である労働者であって、雇入れの日から起算して3年6か月間継続勤務し、直前の1年間に、全労働日の8割以上出勤したものには、継続し、又は分割した14労働日の休暇を新たに与えなければならない。

適切です。一週間の所定労働時間が30時間以上である労働者には、通常の労働者と同じ年次有給休暇の日数が適用されます。通常の付与日数は、6か月で10日、1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月以上で20日です。この労働者は一週間の所定労働時間が30時間であり、比例付与の対象ではありません。さらに、3年6か月継続勤務し、直前の1年間に全労働日の8割以上出勤しているため、14労働日の年次有給休暇を新たに付与する必要があります。

(5) 休暇の請求権は、これを1年間行使しなければ時効によって消滅する。

不適切です。年次有給休暇の請求権は、2年間行使しないと時効によって消滅します。1年間ではありません。年次有給休暇は付与された年度内に取得できなかった場合でも、翌年度に繰り越すことができます。ただし、いつまでも残るわけではなく、時効は2年です。試験では、賃金請求権や退職手当の時効などと混同しないように、年次有給休暇は2年と整理しておくことが大切です。

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この問題で覚えるポイント

年次有給休暇は、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日が付与され、その後は勤続年数に応じて付与日数が増えます。通常の労働者の付与日数は、6か月で10日、1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月以上で20日です。一週間の所定労働時間が30時間以上であれば、所定労働日数が少なくても通常の付与日数が適用されます。一週間の所定労働時間が30時間未満で、かつ所定労働日数が少ない労働者には比例付与が問題になります。年次有給休暇中の賃金は、平均賃金、通常の賃金、または労使協定に基づく標準報酬日額相当額であり、平均賃金の100分の60という休業手当の基準とは異なります。計画的付与は労使協定により可能ですが、労働者が自由に使える5日分を残す必要があります。出勤率の算定では、業務上の傷病による休業、産前産後休業、育児休業、介護休業などは出勤したものとみなされます。年次有給休暇の請求権の時効は2年です。

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ひっかけポイント

年次有給休暇では、似た制度の数字を混ぜて誤らせる出題が多く見られます。平均賃金の100分の60は休業手当の知識であり、有給休暇中の賃金とは別物です。計画的付与では「5日を残す」が正しいのに、「3日を超える」など数字を少し変えて出題されることがあります。育児休業や介護休業は、実際には出勤していないため欠勤扱いに思えますが、年次有給休暇の出勤率では出勤したものとみなされます。さらに、パートタイム労働者のように所定労働日数が少ない場合でも、一週間の所定労働時間が30時間以上であれば比例付与ではなく通常付与になる点が狙われやすいです。日常感覚だけで判断すると、「休んだ期間は出勤率から外す」「短時間勤務なら少ない日数になる」と考えてしまいやすいため、試験では労働基準法上の扱いを基準に判断することが重要です。

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