出典:第一種衛生管理者2024年(令和6年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第26問
問題
労働基準法に定める育児時間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 生後満1年に達しない生児を育てる労働者は、男性、女性共に育児時間を請求することができる。
(2) 育児時間は、1日2回、1回当たり少なくとも30分の時間を請求することができる。
(3) 育児時間中は、育児時間を請求した労働者を使用してはならない。
(4) 育児時間を請求しない労働者に対しては、育児時間を与えなくてもよい。
(5) 育児時間は、必ずしも有給としなくてもよい。
第1種衛生管理者|労働基準法の育児時間制度と請求要件の基礎を解説
労働基準法に定める育児時間について、対象者、請求できる時間、請求があった場合の使用者の義務、有給・無給の扱いを整理する問題です。正解は(1)です。育児時間を請求できるのは、生後満1年に達しない生児を育てる女性であり、男性、女性共に請求できる制度ではありません。
(1) 生後満1年に達しない生児を育てる労働者は、男性、女性共に育児時間を請求することができる。
不適切です。労働基準法で定める育児時間を請求できるのは、生後満1年に達しない生児を育てる女性です。ここでのポイントは、育児に関する制度だからといって、すべて男女共通の制度とは限らないという点です。育児・介護休業法には男性も対象となる育児休業などがありますが、労働基準法の育児時間は女性労働者を対象とした制度です。そのため、「男性、女性共に」としているこの記述は誤りです。
(2) 育児時間は、1日2回、1回当たり少なくとも30分の時間を請求することができる。
適切です。労働基準法では、生後満1年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間のほかに、1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求できるとされています。「1日2回」「各30分以上」という数字は、衛生管理者試験でも問われやすい重要ポイントです。育児時間は通常の休憩時間とは別に請求できる点も押さえておくと理解しやすいです。
(3) 育児時間中は、育児時間を請求した労働者を使用してはならない。
適切です。育児時間は、労働者が請求した場合に、使用者がその時間について労働させてはならない制度です。単なる配慮義務ではなく、請求があれば使用者はその時間を確保する必要があります。つまり、育児時間を請求した労働者に対して、「忙しいからその時間も働いてください」と命じることはできません。
(4) 育児時間を請求しない労働者に対しては、育児時間を与えなくてもよい。
適切です。育児時間は、対象となる女性労働者からの請求によって与えられる制度です。使用者が対象者全員に一律で自動的に与えなければならないものではありません。試験では、「請求した場合に与える制度」なのか、「使用者が当然に実施しなければならない制度」なのかを区別することが大切です。
(5) 育児時間は、必ずしも有給としなくてもよい。
適切です。労働基準法は、育児時間を与えることを定めていますが、その時間を有給にしなければならないとは定めていません。そのため、育児時間を有給とするか無給とするかは、就業規則、労働協約、労働契約などによって決まります。「法律で時間の付与が義務付けられていること」と「賃金を支払う義務があること」は別の問題として整理すると、判断しやすくなります。
この問題で覚えるポイント
労働基準法の育児時間は、生後満1年に達しない生児を育てる女性が請求できる制度です。対象は「女性」であり、「男女共通」ではない点が最重要です。育児時間は、休憩時間とは別に、1日2回、それぞれ少なくとも30分請求できます。請求があった場合、使用者はその時間に労働者を使用してはなりません。育児時間は請求を前提とする制度であるため、請求しない労働者に対して使用者が自動的に与える必要はありません。また、労働基準法上、育児時間を有給にする義務はなく、有給か無給かは就業規則や労働契約などによって決まります。育児休業などの男女共通制度と、労働基準法上の育児時間を混同しないことが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、「育児に関する制度だから男性も女性も対象になるはずだ」と考えてしまう点です。現在は男性の育児参加が重視されているため、日常感覚では男女共通の制度のように見えます。しかし、労働基準法の育児時間は女性労働者を対象とする制度です。また、「1日2回、各30分」という数値は正しいため、対象者の部分だけを見落とすと誤答しやすくなります。育児休業、産前産後休業、育児時間はそれぞれ対象者や制度の性質が異なるため、「誰が請求できるのか」「請求が必要なのか」「有給義務があるのか」を分けて確認することが大切です。
