出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第23問
問題
労働安全衛生規則に基づく次の定期健康診断項目のうち、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる項目に該当しないものはどれか。
(1) 自覚症状の有無の検査
(2) 腹囲の検査
(3) 胸部エックス線検査
(4) 心電図検査
(5) 血中脂質検査
第1種衛生管理者|定期健康診断の省略可能項目と実施基準を解説
定期健康診断では、年齢や既往歴、医師の判断などにより一部の検査項目を省略できる場合があります。ただし、自覚症状及び他覚症状の有無の検査は、労働者本人の体調変化や業務による健康影響を確認する基本項目であり、省略できません。答えは(1)です。自覚症状の有無の検査は、医師が必要でないと認めても省略できる項目に該当しないためです。
(1) 自覚症状の有無の検査
不適切です。自覚症状の有無の検査は、定期健康診断で省略できる項目ではありません。自覚症状とは、労働者本人が感じている体調不良や異常のことで、めまい、動悸、息切れ、倦怠感、痛み、しびれなどが該当します。定期健康診断は、検査数値だけを見るものではなく、本人が感じている体調の変化を把握することも重要な目的です。特に労働衛生では、業務による疲労、過重労働、化学物質や騒音などの影響が、本人の訴えとして現れることがあります。そのため、自覚症状及び他覚症状の有無の検査は基本的な診察項目として扱われ、医師の判断で省略できる項目には含まれません。
(2) 腹囲の検査
適切です。腹囲の検査は、医師が必要でないと認めるときに省略できる場合があります。腹囲は内臓脂肪の蓄積を把握するための項目で、メタボリックシンドロームの評価に関係します。ただし、すべての労働者に必ず実施しなければならないわけではなく、厚生労働大臣が定める基準に基づき、一定の年齢や体格、医師の判断などにより省略できることがあります。試験では、腹囲は省略可能項目として出題されやすいため、基本診察項目とは区別して覚えることが大切です。
(3) 胸部エックス線検査
適切です。胸部エックス線検査は、一定の基準に基づき、医師が必要でないと認めるときに省略できる場合があります。胸部エックス線検査は、肺や心臓の異常、結核などの疾病を確認するための検査です。ただし、年齢や過去の検査結果、健康状態などによっては、毎回実施しなくてもよいと判断される場合があります。定期健康診断では重要な検査ですが、法令上は条件を満たせば省略できる項目に含まれます。
(4) 心電図検査
適切です。心電図検査は、医師が必要でないと認めるときに省略できる項目です。心電図検査は、不整脈、心筋虚血、心肥大などの心臓の異常を調べる検査です。特に中高年では重要な検査ですが、定期健康診断においては、年齢などの基準により省略できる場合があります。ここで重要なのは、心電図検査が健康管理上重要であることと、法令上省略できる場合があることは別の話だという点です。
(5) 血中脂質検査
適切です。血中脂質検査は、医師が必要でないと認めるときに省略できる項目です。血中脂質検査では、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などを測定し、脂質異常症や動脈硬化のリスクを確認します。生活習慣病の予防に関係する重要な検査ですが、定期健康診断では、年齢などの条件により省略できる場合があります。試験では、血圧、血糖、脂質、心電図などの生活習慣病関連項目が、省略可能項目として問われることがあります。
この問題で覚えるポイント
定期健康診断の項目には、省略できない基本項目と、医師が必要でないと認めるときに省略できる項目があります。省略できないものとして重要なのは、既往歴及び業務歴の調査、自覚症状及び他覚症状の有無の検査など、健康状態を把握する基本的な問診・診察項目です。腹囲、胸部エックス線検査、心電図検査、血中脂質検査、血糖検査、肝機能検査、貧血検査などは、年齢や医師の判断など一定の基準により省略できる場合があります。試験では、「検査として重要かどうか」ではなく、「法令上、省略できる項目かどうか」で判断することが大切です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、どの項目も健康診断として重要に見えるため、「重要な検査は省略できない」と考えてしまう点です。胸部エックス線検査や心電図検査、血中脂質検査は医療上は重要ですが、法令上は条件を満たせば省略できる場合があります。逆に、自覚症状の有無の検査は、一見すると簡単な問診のように見えるため省略できそうに感じますが、労働者本人の訴えを確認する基本項目であり、省略できません。「高度な検査ほど必須、簡単な問診ほど省略可能」と考えると誤答しやすいので、基本的な問診・診察項目は省略できないと整理しておくと正答につながります。
