出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第26問
問題
労働基準法における労働時間等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 1日8時間を超えて労働させることができるのは、時間外労働の協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合に限られている。
(2) 労働時間に関する規定の適用については、事業場を異にする場合は労働時間を通算しない。
(3) 労働時間が8時間を超える場合においては、少なくとも45分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
(4) 機密の事務を取り扱う労働者については、所轄労働基準監督署長の許可を受けなくても労働時間に関する規定は適用されない。
(5) 監視又は断続的労働に従事する労働者については、所轄労働基準監督署長の許可を受ければ、労働時間及び年次有給休暇に関する規定は適用されない。
第1種衛生管理者|労働基準法の労働時間・休憩時間・適用除外のルールを解説を解説
労働基準法の労働時間では、1日8時間・1週40時間の原則、休憩時間の長さ、複数事業場で働く場合の労働時間の通算、適用除外となる労働者の範囲が重要です。正解は(4)です。機密の事務を取り扱う労働者は、管理監督者などと同じく労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されない者に含まれ、監視又は断続的労働のような所轄労働基準監督署長の許可は不要です。
(1) 1日8時間を超えて労働させることができるのは、時間外労働の協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合に限られている。
不適切です。1日8時間を超える労働が認められる代表例は、いわゆる36協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出た場合です。ただし、これだけに限られるわけではありません。変形労働時間制など、労働基準法上の制度により、一定の要件を満たせば特定の日に8時間を超えて労働させることができる場合があります。「場合に限られている」という断定が誤りです。試験では、制度の一部だけを正しく述べたうえで、最後に「限られる」と広げすぎる表現にするパターンがよく出ます。
(2) 労働時間に関する規定の適用については、事業場を異にする場合は労働時間を通算しない。
不適切です。労働基準法では、労働時間に関する規定の適用について、事業場を異にする場合でも労働時間は通算されます。たとえば、同じ日に別々の事業場で働いた場合であっても、労働時間の規制を判断するうえでは合算して考えます。事業場が違えば別々に扱ってよい、という考え方は誤りです。労働時間規制は、労働者の健康確保を目的とするため、働く場所が変わっても実際に働いた時間を合計して判断する必要があります。
(3) 労働時間が8時間を超える場合においては、少なくとも45分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
不適切です。労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、労働時間が8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与える必要があります。この選択肢は「8時間を超える場合」としながら、休憩時間を「45分」としている点が誤りです。45分と1時間の区別は頻出です。6時間超えなら45分以上、8時間超えなら1時間以上と整理して覚えると判断しやすくなります。
(4) 機密の事務を取り扱う労働者については、所轄労働基準監督署長の許可を受けなくても労働時間に関する規定は適用されない。
適切です。機密の事務を取り扱う労働者は、労働基準法上、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外の対象に含まれます。ここでいう機密の事務を取り扱う労働者とは、単に秘密情報を扱う人という意味ではなく、経営者や管理監督者と一体的な立場で、労働時間の管理になじみにくい職務を行う者を指します。この適用除外には、監視又は断続的労働の場合のような所轄労働基準監督署長の許可は不要です。許可が必要なものと不要なものを区別することが、この問題の重要点です。
(5) 監視又は断続的労働に従事する労働者については、所轄労働基準監督署長の許可を受ければ、労働時間及び年次有給休暇に関する規定は適用されない。
不適切です。監視又は断続的労働に従事する労働者については、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外されます。しかし、年次有給休暇に関する規定まで適用除外になるわけではありません。年次有給休暇は、労働者の心身の回復や生活のために重要な制度であり、監視又は断続的労働であっても当然に除外されるものではありません。「労働時間」と「年次有給休暇」をまとめて除外している点が誤りです。
この問題で覚えるポイント
労働基準法の労働時間は、原則として1日8時間、1週40時間です。法定労働時間を超える労働には36協定が重要ですが、変形労働時間制などの例外もあるため、「36協定の場合に限る」という表現には注意が必要です。休憩時間は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上を、労働時間の途中に与えます。労働時間は、事業場を異にする場合でも通算されます。適用除外では、管理監督者、機密の事務を取り扱う者などは労働時間、休憩、休日の規定が適用されません。監視又は断続的労働に従事する者は、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合に、労働時間、休憩、休日の規定が適用除外となります。ただし、年次有給休暇の規定まで除外されるわけではありません。
ひっかけポイント
このテーマでは、「一部だけ正しい文章」に注意することが大切です。36協定を届け出れば時間外労働が可能になるという知識は正しいですが、「それに限られる」と書かれると、変形労働時間制などの例外を見落としやすくなります。また、休憩時間では45分と1時間の数字の入れ替えが典型的なひっかけです。6時間超えと8時間超えの基準を混同すると誤答しやすくなります。さらに、適用除外では、労働時間、休憩、休日の規定が除外される場合でも、年次有給休暇まで除外されるとは限りません。許可が必要な監視又は断続的労働と、許可を要しない機密の事務を取り扱う労働者の違いも、今後同じテーマで繰り返し問われる重要な整理です。
