出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|清掃第133問
問題
排水通気設備に関する語句の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 排水トラップの深さ-ディップからウェアまでの垂直距離
(2) 各個通気方式-トラップの自己サイホンの防止
(3) 太陽熱給湯装置の排水管-排水口開放による間接排水
(4) トラップの封水強度-排水管内に正圧、負圧が生じた時の封水保持能力
(5) 通気口の通気率-管内断面積に対する通気口の開口面積の割合
ビル管過去問|排水通気設備を解説
この問題は、排水通気設備に関する基本用語の意味を正しく理解しているかを問う問題です。正しい選択肢は(3)です。太陽熱給湯装置の排水管は、排水口開放による間接排水ではなく、一般に吐水口空間を確保して間接排水とする設備として理解する必要があります。排水設備では、トラップの封水を守ること、汚水や臭気の逆流を防ぐこと、機器と排水管を直接接続しないことなどが重要です。

(1) 排水トラップの深さ-ディップからウェアまでの垂直距離
適切です。排水トラップの深さとは、ディップからウェアまでの垂直距離をいいます。ディップはトラップ内で水が最も深くなる側の部分、ウェアは封水があふれ出す水位の基準となる部分です。この深さがあることで、排水管内の臭気や害虫が室内側へ侵入するのを防ぐ封水が形成されます。トラップは単に水がたまっている部分ではなく、一定の封水深を確保することで衛生上の機能を発揮する設備です。
(2) 各個通気方式-トラップの自己サイホンの防止
適切です。各個通気方式は、各衛生器具のトラップ付近から個別に通気管を設ける方式です。排水時に器具排水管内が満水に近い状態になると、排水の流れによってトラップ内の封水が引き込まれる自己サイホン作用が起こることがあります。各個通気方式は、トラップ付近の圧力変動を緩和し、封水が失われるのを防ぐために有効です。封水が破れると臭気の逆流につながるため、通気方式は排水設備の衛生性を保つうえで重要です。
(3) 太陽熱給湯装置の排水管-排水口開放による間接排水
不適切です。太陽熱給湯装置などの機器からの排水は、排水管と直接接続せず、吐水口空間を確保して間接排水とするのが基本です。ここで重要なのは、排水口を単に開放することではなく、排水が逆流しても機器側へ汚水が戻らないように空間を設けることです。間接排水は、機器や飲料水系統などを排水系統から衛生的に切り離すための考え方です。「排水口開放」という表現は、排水方式の要点を正しく表していないため、この組合せが最も不適当です。
(4) トラップの封水強度-排水管内に正圧、負圧が生じた時の封水保持能力
適切です。トラップの封水強度とは、排水管内に正圧や負圧が発生したときに、封水を保持できる能力をいいます。排水管内に負圧が生じると封水が吸い出され、正圧が生じると封水が吹き出されることがあります。いずれの場合も封水が破れると、排水管内の臭気や有害ガスが室内へ侵入する原因になります。そのため、通気設備によって排水管内の圧力変動を小さくし、トラップの封水を守ることが重要です。
(5) 通気口の通気率-管内断面積に対する通気口の開口面積の割合
適切です。通気口の通気率とは、管内断面積に対して、実際に空気が通る開口面積がどの程度あるかを示す割合です。通気口には防虫網やガラリなどが設けられることがあり、見た目の開口が大きくても、実際に空気が通る有効面積は小さくなることがあります。通気率が不足すると、排水管内の圧力調整がうまく行われず、トラップの封水破壊につながるおそれがあります。通気設備では、単に通気管を設けるだけでなく、十分な通気量を確保することが大切です。
この問題で覚えるポイント
排水通気設備では、トラップの封水を守ることが最重要です。トラップは封水によって排水管内の臭気や害虫の侵入を防ぎます。封水深は、ディップからウェアまでの垂直距離で表されます。自己サイホン作用は、器具からの排水によってトラップ内の封水が吸い出される現象であり、各個通気方式はこれを防止する代表的な方式です。封水強度は、排水管内に正圧や負圧が生じたときに封水を保持する能力を意味します。間接排水では、機器と排水管を直接接続せず、吐水口空間などを確保して逆流汚染を防ぐことが重要です。通気口の通気率は、管内断面積に対する通気口の有効開口面積の割合であり、通気量の確保に関係します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「間接排水」という言葉の理解をあいまいにしている点です。排水口を開放していればよい、と日常的な感覚で判断すると誤りやすくなります。間接排水で本当に問われるのは、排水系統から機器側への逆流汚染を防ぐために、直接接続を避け、必要な空間を確保することです。また、排水通気設備では、ディップ、ウェア、封水強度、通気率など、似たような専門用語が並ぶため、言葉の印象だけで選ぶと迷いやすくなります。用語問題では、各語句が「何を防ぐためのものか」「どの部分の距離や割合を示すのか」まで結び付けて覚えることが大切です。
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