出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|ねずみ、昆虫等の防除第179問
問題
ねずみ·害虫対策のあり方に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) ねずみ·害虫などの有害生物を防除することを、ベストコントロールという。
(2) IPMに基づく防除には、ヒトの健康に対するリスクと環境への負荷を最小限にとどめる方法を取り入れる。
(3) IPMにおける調査の考え方において、6か月以内又は2か月以内ごとに行う調査を定期調査という。
(4) 粘着トラップは、ネズミやゴキブリ等を捕獲·防除するために使用される。
(5) ねずみ·害虫対策で最も重要なことは、薬剤や器具等を用いた発生時対策である。
ビル管過去問|ねずみ・害虫対策を解説
この問題は、ねずみや害虫の防除における基本的な考え方、特にIPMに基づく管理方法を問う問題です。正解は(5)です。ねずみ・害虫対策では、発生してから薬剤や器具で対応することだけが重要なのではなく、発生しにくい環境をつくる予防的な管理が最も重要です。

(1) ねずみ·害虫などの有害生物を防除することを、ベストコントロールという。
適切です。ベストコントロールとは、ねずみや害虫などの有害生物を、人の健康や建築物の衛生に悪影響を及ぼさない水準まで管理する考え方です。単にすべての害虫を完全にゼロにするという意味ではなく、衛生上問題がない状態に抑えることが重要です。ビル管試験では、完全駆除よりも適切な管理水準を保つという考え方が問われやすいです。
(2) IPMに基づく防除には、ヒトの健康に対するリスクと環境への負荷を最小限にとどめる方法を取り入れる。
適切です。IPMは総合的有害生物管理のことで、調査、発生原因の把握、環境整備、物理的防除、薬剤使用などを組み合わせて管理する方法です。薬剤に頼りすぎると、人への健康リスクや環境負荷が大きくなるため、必要最小限の使用にとどめることが基本です。安全性と効果を両立させる考え方がIPMの中心です。
(3) IPMにおける調査の考え方において、6か月以内又は2か月以内ごとに行う調査を定期調査という。
適切です。IPMでは、発生状況を把握するために定期的な調査を行います。調査は、発生してから慌てて行うものではなく、継続的に状況を確認するためのものです。建築物の用途や区域、発生リスクに応じて、6か月以内又は2か月以内ごとに調査を行う考え方があり、これを定期調査といいます。
(4) 粘着トラップは、ネズミやゴキブリ等を捕獲·防除するために使用される。
適切です。粘着トラップは、ネズミやゴキブリなどを捕獲するために使用されます。また、単に捕獲するだけでなく、どの場所にどの程度発生しているかを把握する調査用具としても役立ちます。IPMでは、粘着トラップによる捕獲結果をもとに、発生場所や侵入経路を推定し、より効果的な対策につなげます。
(5) ねずみ·害虫対策で最も重要なことは、薬剤や器具等を用いた発生時対策である。
不適切です。ねずみ・害虫対策で最も重要なのは、発生してから薬剤や器具で対応することではなく、発生を予防することです。具体的には、餌となる食品残さやごみを放置しないこと、侵入経路をふさぐこと、清掃や整理整頓を徹底すること、水分や隠れ場所を減らすことなどが重要です。薬剤や器具による対策は必要な場合もありますが、あくまで発生時対策の一部です。予防を軽視して薬剤に頼る考え方は、IPMの基本から外れます。
この問題で覚えるポイント
ねずみ・害虫対策では、発生後の駆除よりも発生予防が基本です。IPMでは、調査によって発生状況を把握し、清掃、整理整頓、侵入防止、発生源の除去、物理的防除、必要最小限の薬剤使用を組み合わせて管理します。重要なのは、薬剤をまくことそのものではなく、なぜ発生したのかを確認し、再発しにくい環境をつくることです。定期調査は、発生の有無や程度を継続的に確認するために行われ、6か月以内又は2か月以内ごとという頻度も試験で問われやすい数値です。粘着トラップは捕獲だけでなく、発生状況を把握する調査手段としても重要です。
ひっかけポイント
この問題では、薬剤や器具を使った対策がいかにも専門的で重要に見える点がひっかけです。実務でも薬剤散布やトラップ設置は目立つ作業なので、これが最も重要だと考えがちです。しかし、ビル管試験では、発生してから対応する考え方よりも、発生を未然に防ぐ予防管理が重視されます。また、IPMは薬剤を使わないという意味ではなく、調査や環境整備を行ったうえで、必要に応じて薬剤も含めて総合的に管理する考え方です。「薬剤を使うから正しい」「器具を使うから十分」と判断すると誤答につながります。
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