出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|ねずみ、昆虫等の防除第180問
問題
有害動物や防除に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1) 補助者をつけ、ヘルメットや墜落制止用器具を着用しなければならない高所作業は、労働安全衛生法において1.5m以上と定められている。
(2) 基礎的な殺虫力や羽化阻害効力は、LD50、LC50やIC50等で評価され、この値が大きいほどそれらの効力が高いことを示す。
(3) ダニ類の成虫の体は、頭部·胸部·腹部の3つの部分に区別される。
(4) ハトの巣を卵ごと撤去する場合には、自治体の長などの許可が必要となる。
(5) ネコノミの幼虫は、吸血を繰り返して発育する。
ビル管過去問|有害動物防除を解説
この問題は、有害動物の防除に関する安全管理、薬剤効力の評価、ダニやノミの形態と生態、鳥類の保護規制について問う問題です。正しい選択肢は(4)です。ハトの卵やひなを含む巣を撤去する場合は、鳥獣保護管理法に関係し、原則として許可が必要になります。

(1) 補助者をつけ、ヘルメットや墜落制止用器具を着用しなければならない高所作業は、労働安全衛生法において1.5m以上と定められている。
不適切です。高所作業に関する安全措置では、墜落のおそれがある場所での作業について、作業床の設置、囲い、手すり、墜落制止用器具の使用などが求められます。試験では「1.5m以上」という数値がひっかけになりやすいですが、労働安全衛生規則で墜落防止措置が重要となる代表的な基準は、一般に高さ2m以上の作業場所です。したがって、1.5m以上とする記述は不適切です。
(2) 基礎的な殺虫力や羽化阻害効力は、LD50、LC50やIC50等で評価され、この値が大きいほどそれらの効力が高いことを示す。
不適切です。LD50は半数致死量、LC50は半数致死濃度、IC50は半数阻害濃度を意味します。これらは、対象生物の50%に影響を与えるために必要な量や濃度を示す指標です。値が小さいほど、少ない量や低い濃度で効果が出るため、効力が高いと判断されます。値が大きいほど効力が高い、という説明は逆です。
(3) ダニ類の成虫の体は、頭部·胸部·腹部の3つの部分に区別される。
不適切です。頭部、胸部、腹部の3つに分かれるのは昆虫の基本的な体のつくりです。ダニ類は昆虫ではなくクモ形類に近い仲間で、成虫では体が昆虫のように明確に3部分へ分かれていません。また、昆虫の成虫は脚が6本ですが、ダニ類の成虫は一般に脚が8本です。ダニと昆虫を同じ構造で考えないことが大切です。
(4) ハトの巣を卵ごと撤去する場合には、自治体の長などの許可が必要となる。
適切です。ハトは鳥獣保護管理法の対象となる鳥類です。空の巣を撤去するだけであれば問題になりにくい場合がありますが、卵やひながある巣を撤去することは、鳥獣の捕獲や卵の採取に関係する行為と扱われます。そのため、原則として自治体の長などの許可が必要です。建築物管理では、衛生上の問題や糞害があっても、勝手に卵やひなを処分できない点を押さえておく必要があります。
(5) ネコノミの幼虫は、吸血を繰り返して発育する。
不適切です。吸血するのは主に成虫のノミです。ネコノミの幼虫は、動物の体表で吸血するのではなく、床面、寝床、すき間などに生息し、成虫の糞や有機物などを餌として発育します。ノミは卵、幼虫、蛹、成虫という完全変態を行うため、防除では成虫だけでなく、幼虫や蛹が存在する環境への対策も重要です。
この問題で覚えるポイント
有害動物防除では、対象生物の生態、法規制、安全管理、薬剤評価を組み合わせて判断することが重要です。高所作業の墜落防止では、高さ2m以上という基準が頻出です。殺虫剤の効力評価で用いられるLD50、LC50、IC50は、値が小さいほど少量で効果を示すため効力が高いと判断します。ダニ類は昆虫ではないため、成虫の体は頭部、胸部、腹部に明確に分かれず、脚は一般に8本です。ノミは完全変態を行い、吸血するのは主に成虫で、幼虫は環境中の有機物などを食べて発育します。ハトなどの鳥類については、卵やひながある巣を撤去する場合、鳥獣保護管理法に基づく許可が必要になる点を覚えておきましょう。
ひっかけポイント
この問題は、日常感覚で「害があるならすぐ撤去してよい」と考えてしまうところに大きな罠があります。特にハトの巣は建築物衛生上の問題になりやすい一方で、卵やひながある場合には法的な保護の対象となります。また、LD50、LC50、IC50は数値が大きいほど強そうに見えますが、実際には少ない量で効果が出るほど強いので、大小関係を逆にしないことが大切です。さらに、ダニを昆虫と同じ体の構造で覚えてしまうこと、ノミの幼虫も成虫と同じように吸血すると考えてしまうことも典型的な誤答パターンです。数値、分類、生態、法律上の扱いをそれぞれ切り分けて判断することが正答につながります。