【ビル管過去問】令和7年度 問題172|昆虫の体構造と生活史を解説

問題

昆虫の体の特徴や生活史に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 昆虫の体全体を覆う表皮は、外骨格と呼ばれる。

(2) 休眠の誘導と覚醒は、ホルモンによって制御されている。

(3) 1年間に1世代出現する昆虫を、一化性の昆虫という。

(4) 蛹の時期をもたない昆虫を、完全変態の昆虫と呼ぶ。

(5) 幼虫から蛹になることを、蛹化という。

ビル管過去問|昆虫の体構造と生活史を解説

この問題は、昆虫の基本的な体のつくりと、成長のしかたである生活史に関する知識を問う問題です。昆虫防除では、対象となる害虫がどのような体の構造を持ち、どの段階で発育し、どの時期に増えるのかを理解しておくことが重要です。正しい選択肢を判断するには、外骨格、休眠、世代数、変態の種類、蛹化といった基本用語を正確に覚えておく必要があります。最も不適当なのは(4)です。蛹の時期をもたない昆虫は完全変態ではなく、不完全変態または無変態に分類されます。完全変態の昆虫は、卵、幼虫、蛹、成虫という段階を経るのが特徴です。

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(1) 昆虫の体全体を覆う表皮は、外骨格と呼ばれる。

適切です。その理由は、昆虫は人間のように体の内側に骨があるのではなく、体の外側を硬い構造で覆うことで体を支えているからです。この外側の硬い殻のような構造を外骨格といいます。外骨格には、体を保護する働き、筋肉を付着させて運動を可能にする働き、水分の蒸発を防ぐ働きがあります。昆虫が小さな体で効率よく活動できるのは、この外骨格による支えがあるためです。

(2) 休眠の誘導と覚醒は、ホルモンによって制御されている。

適切です。その理由は、昆虫の休眠は単に寒くなったから止まるというような単純な現象ではなく、体内の生理的な調節によって起こるからです。日長や温度などの環境条件をきっかけに、昆虫の体内ではホルモン分泌が変化し、発育や活動を一時的に停止したり、再開したりします。これは、厳しい季節を生き延びるための重要な適応です。防除の現場でも、休眠期には薬剤が効きにくい場合があるため、この知識は実務上も重要です。

(3) 1年間に1世代出現する昆虫を、一化性の昆虫という。

適切です。その理由は、昆虫の年間世代数による分類として、一化性、二化性、多化性という考え方があるからです。一化性とは、1年の間に卵から成虫までの世代交代が1回だけ行われる昆虫を指します。たとえば、特定の季節だけに発生し、その後は卵や幼虫などの形で次の季節まで過ごす昆虫がこれに当たります。発生回数を把握することは、防除計画を立てるうえで非常に大切です。

(4) 蛹の時期をもたない昆虫を、完全変態の昆虫と呼ぶ。

不適切です。その理由は、完全変態の昆虫は必ず蛹の時期をもつからです。完全変態は、卵、幼虫、蛹、成虫という発育段階を経るもので、幼虫と成虫の形態が大きく異なります。代表例としては、ハエ、カ、チョウ、ガ、甲虫類などがあります。一方、蛹の時期をもたないのは不完全変態の昆虫であり、卵、幼虫または若虫、成虫という形で発育します。たとえば、ゴキブリ、シロアリ、カメムシなどがこれに当たります。この選択肢は、完全変態と不完全変態を逆にしている点が誤りです。

(5) 幼虫から蛹になることを、蛹化という。

適切です。その理由は、蛹化とは、幼虫が次の発育段階である蛹へ移行する現象を指す用語だからです。完全変態の昆虫では、幼虫が十分に成長した後、体の構造を大きく作り変える準備として蛹になります。この蛹の時期には、外見上はあまり動かなくても、体内では成虫になるための大きな変化が進んでいます。したがって、幼虫から蛹になる現象を蛹化と呼ぶのは正しい表現です。

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この問題で覚えるポイント

昆虫の体は外骨格で支えられており、保護、水分保持、運動の補助という重要な役割があります。休眠は環境変化に対する生理的適応であり、体内ホルモンによって制御されています。1年に1世代なら一化性、2世代なら二化性、多数の世代なら多化性です。完全変態は卵、幼虫、蛹、成虫の順で進み、不完全変態は蛹の時期をもちません。幼虫から蛹になる変化は蛹化といいます。

ひっかけポイント

完全変態と不完全変態の違いを逆に覚えてしまうと失点しやすいです。蛹があるのが完全変態、蛹がないのが不完全変態です。幼虫、若虫、蛹、成虫という用語の違いも混同しやすいため注意が必要です。世代数に関する一化性、二化性、多化性も言葉が似ているため、年間に何回世代交代するかで整理して覚えることが大切です。休眠を単なる活動停止と考えるのではなく、生理的に制御された状態と理解しておくと判断しやすくなります。

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