問題
害虫に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1) イガの幼虫は、貯穀害虫である。
(2) ノシメマダラメイガの幼虫は、繊維や衣類の害虫である。
(3) コロモジラミは、発疹チフスなどの感染症を伝播する。
(4) ネコノミは、哺乳類、鳥類に内部寄生する昆虫である。
(5) トコジラミは、日本紅斑熱リケッチアの媒介者である。
ビル管過去問|衛生害虫を解説
この問題は、建築物衛生管理で重要な衛生害虫の種類と、その害の内容を正しく結び付けられるかを問う問題です。ポイントは、どの害虫が食品害虫なのか、繊維害虫なのか、感染症を媒介するのか、あるいは吸血・外部寄生性なのかを整理して覚えているかどうかです。正しい選択肢は(3)です。コロモジラミは、発疹チフスや回帰熱などの病原体を媒介することで知られており、衛生害虫として重要です。
(1) イガの幼虫は、貯穀害虫である。
不適切です。イガの幼虫は、主に羊毛、毛織物、羽毛、毛皮などの動物性繊維を食害する害虫です。したがって、衣類や繊維製品の害虫として理解するのが正しく、米や穀類、乾燥食品などを加害する貯穀害虫ではありません。貯穀害虫として代表的なのは、ノシメマダラメイガやコクゾウムシなどです。イガは「衣類害虫」、ノシメマダラメイガは「食品害虫」と対比して覚えると整理しやすいです。
(2) ノシメマダラメイガの幼虫は、繊維や衣類の害虫である。
不適切です。ノシメマダラメイガの幼虫は、穀粉、菓子類、乾燥食品、飼料などを加害する代表的な貯穀害虫です。食品に糸を吐いて汚染し、商品価値を低下させるため、食品工場や倉庫、厨房などで問題になります。一方で、繊維や衣類を食害する害虫ではありません。この選択肢は、イガとノシメマダラメイガの加害対象を入れ替えた典型的なひっかけです。
(3) コロモジラミは、発疹チフスなどの感染症を伝播する。
適切です。コロモジラミは、ヒトに寄生するシラミの一種で、衣類の縫い目などに生息し、吸血します。そして、発疹チフス、回帰熱、塹壕熱などの感染症の媒介者として知られています。建築物衛生の分野では、単なる不快害虫ではなく、病原体を伝える衛生害虫として理解することが重要です。吸血すること自体だけでなく、感染症媒介能をもつ点が重要な特徴です。
(4) ネコノミは、哺乳類、鳥類に内部寄生する昆虫である。
不適切です。ネコノミは、ネコやイヌなどの体表に寄生して吸血する外部寄生性の昆虫です。内部寄生ではありません。ノミ類は成虫が宿主の体表で吸血し、強いかゆみや皮膚炎を起こすことがあります。したがって、「内部寄生」という表現が誤りです。また、ネコノミは主として哺乳類に寄生するものであり、鳥類への寄生を一般的な特徴として押さえるのも適切ではありません。試験では、「寄生する」という言葉から内部寄生と早合点しないことが大切です。
(5) トコジラミは、日本紅斑熱リケッチアの媒介者である。
不適切です。トコジラミは、ヒトから吸血して不快感や皮膚症状を起こす衛生害虫ですが、日本紅斑熱リケッチアの媒介者としては扱われません。日本紅斑熱は、主にマダニ類が媒介する感染症です。トコジラミは吸血性昆虫ではありますが、重要な感染症媒介昆虫として位置付けられるものではなく、主な問題は刺咬被害や精神的苦痛、不眠などです。吸血する害虫だからといって、すべて感染症を媒介するわけではない点を押さえる必要があります。
この問題で覚えるポイント
イガの幼虫は、毛織物や毛皮などを食害する衣類害虫です。ノシメマダラメイガの幼虫は、穀類や乾燥食品などを加害する貯穀害虫です。コロモジラミは、発疹チフスなどの感染症を媒介する衛生害虫です。ネコノミは宿主の体表に寄生する外部寄生性昆虫であり、内部寄生ではありません。トコジラミは吸血被害を与えますが、日本紅斑熱の媒介者ではなく、日本紅斑熱はマダニ類が媒介します。
ひっかけポイント
衣類害虫と食品害虫の組合せを入れ替える問題は非常によく出ます。イガとノシメマダラメイガの加害対象を逆に覚えないことが重要です。寄生と書かれていると内部寄生と思い込みやすいですが、ノミは外部寄生です。吸血性害虫と感染症媒介害虫も混同しやすく、トコジラミのように吸血はしても主要な感染症媒介者ではないものがあります。発疹チフスはコロモジラミ、日本紅斑熱はマダニ類、という組合せを区別して覚えると正誤判定しやすくなります。
