出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|ねずみ、昆虫等の防除第173問
問題
害虫に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1) イガの幼虫は、貯穀害虫である。
(2) ノシメマダラメイガの幼虫は、繊維や衣類の害虫である。
(3) コロモジラミは、発疹チフスなどの感染症を伝播する。
(4) ネコノミは、哺乳類、鳥類に内部寄生する昆虫である。
(5) トコジラミは、日本紅斑熱リケッチアの媒介者である。
ビル管過去問|衛生害虫を解説
この問題は、衛生害虫や生活害虫について、種類ごとの被害内容や媒介する感染症を正しく区別できるかを問う問題です。正しい選択肢は(3)です。コロモジラミは衣類などに寄生し、人を吸血するだけでなく、発疹チフス、塹壕熱、回帰熱などを媒介する衛生上重要な害虫です。一方、イガやノシメマダラメイガ、ネコノミ、トコジラミについては、害を与える対象や寄生の仕方、媒介する病原体の理解が正誤判断のポイントになります。

(1) イガの幼虫は、貯穀害虫である。
不適切です。イガの幼虫は、主に羊毛、絹、毛皮、羽毛などを食害する繊維害虫です。衣類やじゅうたん、標本などに被害を与えることがあります。貯穀害虫とは、米、小麦、豆類、乾燥食品などの貯蔵食品を食害する害虫を指します。したがって、イガを貯穀害虫とする記述は誤りです。
(2) ノシメマダラメイガの幼虫は、繊維や衣類の害虫である。
不適切です。ノシメマダラメイガの幼虫は、穀類、豆類、乾燥果実、菓子類、ペットフードなどを食害する代表的な貯穀害虫です。食品工場や倉庫、一般家庭の乾燥食品から発生することがあります。繊維や衣類を食害するのは、イガやコイガなどです。ノシメマダラメイガを衣類害虫と判断しないように注意が必要です。
(3) コロモジラミは、発疹チフスなどの感染症を伝播する。
適切です。コロモジラミは、人の衣類の縫い目などに生息し、人から吸血するシラミの一種です。衛生状態が悪い環境や衣類の交換、洗濯が不十分な状況で問題となりやすい害虫です。発疹チフス、塹壕熱、回帰熱などの感染症を媒介することが知られており、単なる不快害虫ではなく、感染症対策上も重要な衛生害虫です。
(4) ネコノミは、哺乳類、鳥類に内部寄生する昆虫である。
不適切です。ネコノミは、ネコやイヌなどの哺乳類に寄生して吸血する外部寄生性の昆虫です。外部寄生とは、体の表面に付着して吸血したり生活したりする寄生のことです。内部寄生とは、体内に入り込んで寄生することを指します。ノミは体表で吸血するため、内部寄生ではありません。また、ネコノミの主な宿主は哺乳類であり、鳥類に内部寄生するという記述も不適切です。
(5) トコジラミは、日本紅斑熱リケッチアの媒介者である。
不適切です。トコジラミは、人を吸血してかゆみや皮膚炎、不眠などの被害を引き起こす衛生害虫ですが、日本紅斑熱リケッチアの媒介者ではありません。日本紅斑熱は、主にマダニ類によって媒介される感染症です。トコジラミは吸血性の害虫であるため感染症媒介と結び付けて考えがちですが、試験では「どの害虫がどの病原体を媒介するか」を正確に区別する必要があります。
この問題で覚えるポイント
衛生害虫の問題では、害虫名、被害対象、寄生様式、媒介する感染症の組合せを整理して覚えることが重要です。イガやコイガは衣類や繊維を食害する繊維害虫であり、ノシメマダラメイガは穀類や乾燥食品を食害する貯穀害虫です。コロモジラミは人に外部寄生し、発疹チフス、塹壕熱、回帰熱などを媒介するため、感染症対策上重要です。ネコノミは体表に寄生して吸血する外部寄生性の昆虫であり、内部寄生ではありません。トコジラミは吸血によるかゆみや不快感を生じさせますが、日本紅斑熱の媒介者ではなく、日本紅斑熱は主にマダニ類が媒介します。衣類害虫、貯穀害虫、吸血害虫、感染症媒介害虫を分けて覚えると、同じテーマの問題でも正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、害虫の名前から何となく被害対象を推測させる点にあります。イガとノシメマダラメイガはどちらもガの仲間ですが、イガは衣類や繊維、ノシメマダラメイガは食品や穀類を食害します。このように、同じガの仲間でも被害対象が異なる点が狙われます。また、ノミやトコジラミのように人や動物を吸血する害虫は、すべて感染症を媒介するように思いやすいですが、試験では媒介する病原体まで正確に問われます。特に日本紅斑熱はマダニ類、発疹チフスはコロモジラミという対応を混同しないことが大切です。害虫問題では、「吸血するから感染症を媒介するはず」「ガだから食品を食べるはず」といった日常的な連想ではなく、害虫名と被害内容の正確な対応で判断することが得点につながります。