【ビル管過去問】令和7年度 問題167|蚊の調査方法を解説

問題

蚊の調査法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 成虫の調査法として、ドライアイスを誘引源としたトラップを用いる方法がある。

(2) 捕虫網を用いたスウィーピング法は、ヒトスジシマカ成虫の調査に適している。

(3) オピトラップは、産卵にきた雌成虫を誘引し、産下された卵を採取するトラップである。

(4) 幼虫の調査は、柄杓などで水域の表面を一定回数すくい取る方法で行う。

(5) 屋外における調査では、ハエ取りリボンやゴキブリ用粘着トラップを長期間吊るす方法が効果的である。

ビル管過去問|蚊の調査方法を解説

この問題は、蚊の成虫・幼虫それぞれに対する代表的な調査法の知識を問う問題です。蚊の防除では、どの種類の蚊を、どの発育段階で、どのような場所で調べるかによって適切な調査法が異なります。正しい選択肢の知識だけでなく、不適当な方法がなぜ不向きなのかまで理解しておくことが大切です。正しい正答は(5)で、屋外での蚊の調査にハエ取りリボンやゴキブリ用粘着トラップを長期間吊るす方法は、蚊の生態や行動に合っておらず、効果的な調査法とはいえないためです。

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(1) 成虫の調査法として、ドライアイスを誘引源としたトラップを用いる方法がある。

適切です。ドライアイスは二酸化炭素を発生させるため、吸血性昆虫である蚊にとって有力な誘引源になります。蚊は宿主である人や動物を探す際に、呼気中の二酸化炭素を重要な手がかりとして利用しています。そのため、ドライアイスを使ったトラップは成虫調査で広く用いられています。特に、夜間や屋外での成虫密度の把握、発生状況の確認、種類構成の調査などに有効です。蚊の行動特性を利用した、合理的な調査法です。

(2) 捕虫網を用いたスウィーピング法は、ヒトスジシマカ成虫の調査に適している。

適切です。ヒトスジシマカは、やぶや草むら、植栽の周囲などに潜み、人が近づくと吸血のために飛来する性質があります。このような蚊は、植え込みや草地の周囲を捕虫網で払い取るように採集するスウィーピング法と相性がよいです。ヒトスジシマカは比較的低い位置で活動し、昼間に人の周辺で吸血行動を示すため、現場での実態把握にこの方法が適しています。つまり、対象種の生活場所と行動に合った調査法だといえます。

(3) オピトラップは、産卵にきた雌成虫を誘引し、産下された卵を採取するトラップである。

適切です。オピトラップは、主として容器に産卵する性質をもつ蚊を対象に、産卵場所を模して雌成虫を誘引し、そこに産み付けられた卵を確認・採取するための調査器具です。特にヒトスジシマカのような種の発生状況を把握するのに有効です。成虫そのものを直接大量に捕まえるというより、産卵活動の有無や発生の程度を把握するために使われます。蚊の繁殖状況を早期に知る手段として重要な方法です。

(4) 幼虫の調査は、柄杓などで水域の表面を一定回数すくい取る方法で行う。

適切です。蚊の幼虫は水中で発育し、水面近くで呼吸する性質があります。そのため、幼虫調査では水たまり、側溝、容器内のたまり水などを対象に、柄杓やひしゃく状の器具で表層水をすくい取って確認する方法が一般的です。一定回数すくうことで、調査地点ごとの密度を比較しやすくなります。調査の標準化という意味でも、この方法は実務上重要です。幼虫の発生源対策を行ううえで、最も基本的な調査法の一つです。

(5) 屋外における調査では、ハエ取りリボンやゴキブリ用粘着トラップを長期間吊るす方法が効果的である。

不適切です。ハエ取りリボンは主にハエ類を対象とした器具であり、ゴキブリ用粘着トラップも本来は床面を歩行するゴキブリの捕獲を目的としています。これらは蚊のように飛翔し、二酸化炭素や体温、におい、水場などを手がかりに行動する昆虫の調査には適していません。蚊は単純に粘着物を吊るしておけば効率よく採集できるわけではなく、対象種の誘引特性に合わせた専用の調査法が必要です。したがって、この記述は蚊の調査法として不適当です。

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この問題で覚えるポイント

蚊の調査法は、成虫調査と幼虫調査に分けて整理すると覚えやすいです。成虫には二酸化炭素を利用したドライアイストラップや、やぶに潜む種類に有効なスウィーピング法があります。産卵状況の確認にはオピトラップを用います。幼虫は水中で発育するため、柄杓で水面付近をすくって調べます。蚊は飛翔性昆虫なので、対象の行動特性に合った調査法を選ぶことが重要です。

ひっかけポイント

粘着トラップという言葉が出ると、何となく虫全般に使えそうに見える点がひっかけです。しかし、蚊はハエやゴキブリとは行動様式が異なります。調査法は、対象害虫の移動方法、誘引要因、発生場所に合わせて選ぶ必要があります。また、オピトラップは成虫を直接捕る道具というより、産卵に来た結果として卵を確認するためのトラップである点も混同しやすいので注意が必要です。

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