問題
排水の水質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 透視度は、水の清澄の程度を示す指標である。
(2) 溶存酸素(DO)は、水中に溶解している分子状の酸素である。
(3) 生物化学的酸素要求量(BOD)は、主として有機物質が酸化剤によって酸化される際
に消費される酸素量である。
(4) 全窒素は、有機性室素、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の総和である。
(5) 大腸菌は、糞便汚染の有無を判断する指標である。
ビル管過去問|排水の水質指標を解説
この問題は、排水の水質を評価する代表的な指標について正しく理解しているかを問う問題です。透視度、DO、BOD、全窒素、大腸菌はいずれも水質管理で重要な項目ですが、それぞれが何を表しているかを正確に区別することが大切です。最も不適当なのは(3)です。BODは、微生物が有機物を分解するときに消費する酸素量を表す指標であり、酸化剤によって酸化される際に消費される酸素量ではありません。後者はCODの考え方です。この違いを押さえることが正答へのポイントです。
(1) 透視度は、水の清澄の程度を示す指標である。
適切です。透視度は、水の中がどの程度澄んで見えるかを表す指標です。水に浮遊物質や濁りが多いほど見通しが悪くなり、透視度は低くなります。つまり、透視度は水の「きれいに見える度合い」を示すものであり、清澄の程度を判断するために用いられます。排水や処理水の状態を把握するうえで基本的な指標の一つです。
(2) 溶存酸素(DO)は、水中に溶解している分子状の酸素である。
適切です。DOはDissolved Oxygenの略で、水中に溶け込んでいる酸素を意味します。主として分子状酸素が水中に溶解したものです。DOは水中の生物が呼吸するために必要であり、河川や湖沼、排水処理の状態を評価するうえで重要です。一般に、DOが高いほど水中環境は良好であり、逆に有機物汚濁が進むと微生物が酸素を多く消費するため、DOは低下しやすくなります。
(3) 生物化学的酸素要求量(BOD)は、主として有機物質が酸化剤によって酸化される際
に消費される酸素量である。
不適切です。BODは、生物化学的酸素要求量のことで、水中の有機物が微生物によって分解されるときに消費される酸素量を示します。つまり、BODは微生物の働きを通じて有機物汚濁の程度を評価する指標です。一方、問題文のように「酸化剤によって酸化される際に消費される酸素量」という説明は、CODの考え方に近いです。CODは化学的酸素要求量であり、化学的な酸化反応を利用して有機物などを酸化するときに必要な酸素量を表します。BODとCODは似ていますが、測定の考え方が異なるため、この違いは試験で非常によく問われます。
(4) 全窒素は、有機性室素、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の総和である。
適切です。全窒素は、水中に含まれる窒素成分の総量を表す指標です。具体的には、有機性窒素、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素などを合計したものとして扱われます。窒素は生活排水やし尿、工場排水などに含まれ、水域に流入すると富栄養化の原因になります。富栄養化が進むと藻類が異常増殖し、水質悪化や悪臭、魚類への影響などを引き起こすことがあるため、全窒素は重要な管理項目です。
(5) 大腸菌は、糞便汚染の有無を判断する指標である。
適切です。大腸菌は人や動物の腸内に存在する細菌であるため、水中から検出された場合には糞便による汚染の可能性を示す指標となります。実際の水質検査では、病原菌そのものを毎回直接調べるのは大変なため、糞便汚染の有無を推定するための代表的な指標として大腸菌群や大腸菌が利用されます。したがって、この記述は水質衛生上の考え方として適切です。
この問題で覚えるポイント
BODは、微生物が有機物を分解するときに消費する酸素量を示す指標です。
CODは、酸化剤による化学的酸化で求める指標です。
DOは、水中に溶けている酸素そのものを表します。
透視度は、水の澄み具合や見通しのよさを示します。
全窒素は、さまざまな形の窒素成分を合計したものです。
大腸菌は、糞便汚染の有無を判断するための衛生指標です。
正答を判断するうえでは、BODとCODの違いを明確に区別できることが最重要です。
ひっかけポイント
BODとCODはどちらも有機物汚濁の指標なので、説明文が入れ替えられると混同しやすいです。
「酸化剤によって酸化される」という表現が出たら、BODではなくCODを疑うことが大切です。
DOは酸素要求量ではなく、水中に実際に溶けている酸素量です。
透視度は化学成分ではなく、水の見た目の清澄さを表す指標です。
大腸菌は病原菌そのものではなく、糞便汚染の有無を推定するための指標として使われます。
