出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の環境衛生第42問
問題
水系感染症の病原体として、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) ポリオウイルス
(2) A型肝炎ウイルス
(3) コクサッキーウイルス
(4) パラチフス菌
(5) RSウイルス
ビル管過去問|水系感染症の病原体を解説
水系感染症とは、病原体に汚染された飲料水や食品、水環境などを介して感染が広がる感染症です。主な病原体には、腸管系ウイルスや消化器系に感染する細菌などがあります。この問題では、水を介して感染する病原体に該当するものと、主に飛沫感染や接触感染で広がる病原体を区別できるかが問われています。正しい選択肢は(5)RSウイルスです。RSウイルスは主に呼吸器感染症を起こす病原体であり、水系感染症の代表的な病原体ではありません。

(1) ポリオウイルス
適切です。ポリオウイルスは、水系感染症の病原体に含まれます。ポリオウイルスは腸管で増殖し、感染者の便中に排出されます。そのため、衛生状態が悪く、し尿などで水が汚染されると、汚染された水や食品を介して経口感染することがあります。試験では、便口感染を起こすウイルスは水系感染症と関連しやすいと整理しておくと判断しやすくなります。
(2) A型肝炎ウイルス
適切です。A型肝炎ウイルスは、水系感染症の代表的な病原体の一つです。感染者の便に含まれるウイルスが水や食品を汚染し、それを摂取することで感染します。特に、衛生管理が不十分な地域や、汚染された水で処理された食品などが感染源となることがあります。A型肝炎は血液感染ではなく、主に経口感染で広がる点が重要です。
(3) コクサッキーウイルス
適切です。コクサッキーウイルスはエンテロウイルスの一種で、腸管で増殖し、便中に排出されることがあります。そのため、汚染された水や手指などを介して感染する可能性があります。手足口病やヘルパンギーナなどの原因として知られていますが、感染経路として糞口感染が関係するため、水系感染症の病原体として不適当とはいえません。
(4) パラチフス菌
適切です。パラチフス菌は、腸チフスに類似したパラチフスを引き起こす細菌で、汚染された飲料水や食品を介して感染します。感染者や保菌者の便により水が汚染されることで、集団感染につながることがあります。水系感染症では、赤痢菌、コレラ菌、チフス菌、パラチフス菌などの腸管感染症の細菌を押さえておくことが大切です。
(5) RSウイルス
不適切です。RSウイルスは、水系感染症の病原体としては最も不適当です。RSウイルスは乳幼児や高齢者で問題となりやすい呼吸器感染症の原因ウイルスで、主に咳やくしゃみによる飛沫感染、ウイルスが付着した手指や物品を介した接触感染で広がります。水や食品を介して感染する病原体ではないため、この問題の正答になります。
この問題で覚えるポイント
水系感染症は、病原体に汚染された水を介して感染する感染症です。重要なのは、病原体が腸管で増殖し、便中に排出され、飲料水や食品を汚染する流れを理解することです。ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、コクサッキーウイルスなどの腸管系ウイルスは、糞口感染と関係するため水系感染症に含めて考えます。細菌では、コレラ菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフス菌などが代表例です。一方、RSウイルスやインフルエンザウイルスのように、主に呼吸器に感染し、飛沫感染や接触感染で広がるものは、水系感染症とは区別します。正誤判断では、「消化器系・腸管系・便口感染」と「呼吸器系・飛沫感染」を分けて考えることが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、すべてが「ウイルス」や「感染症の病原体」として見えるため、水系感染症との関係まで考えずに選んでしまう点です。特にRSウイルスは有名な感染症の原因ウイルスであるため、病原体という言葉だけに反応すると正しそうに見えます。しかし、問われているのは病原体として有名かどうかではなく、水を介して感染するかどうかです。水系感染症では、感染経路が判断の中心になります。腸管で増殖して便中に排出される病原体は水系感染症と結びつきやすく、呼吸器で増殖して飛沫や接触で広がる病原体は水系感染症から外れやすい、という形で覚えると、同じタイプの問題にも対応しやすくなります。