問題
水分の欠乏率(対体重)と脱水症状に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 1%の欠乏で、のどの渴きが出現する。
(2) 4%の欠乏で、体温上昇が起こる。
(3) 6%の欠乏で、呼吸数が増加する。
(4) 10~12%の欠乏で、筋けいれんが起こる。
(5) 18%の欠乏で、尿生成が停止する。
ビル管過去問|脱水と体内水分バランスを解説
この問題は、水分の欠乏率と、それに対応して現れる脱水症状の組合せを問う問題です。脱水は、体内水分の減少が進むにつれて、のどの渇きのような軽い症状から、呼吸数増加、筋けいれん、尿生成停止のような重い症状へと段階的に進行します。 この問題で最も不適当なのは(2)です。体温上昇は一般に6%程度の水分欠乏でみられる症状であり、4%の段階では、動作の鈍り、皮膚の紅潮、疲労、嗜眠、吐き気などが代表的です。(1)(3)(4)(5)は、脱水症状の進行段階としておおむね適切です。
(1) 1%の欠乏で、のどの渴きが出現する。
適切です。体内の水分がごく軽度に失われた段階では、まず「のどが渇く」という自覚症状が出やすくなります。これは、体が水分不足を感知し、水分を補給させようとする自然な反応です。脱水の初期サインとして非常に重要であり、軽く考えず早めに水分補給することが大切です。1%程度の欠乏で口渇がみられるという整理は、脱水症状の基本として押さえておきたい内容です。
(2) 4%の欠乏で、体温上昇が起こる。
不適切です。4%程度の水分欠乏でみられやすいのは、全身の脱力感、動作の鈍り、皮膚の紅潮、疲労、眠気、吐き気、いらいらなどです。体温上昇は、さらに脱水が進んだ6%程度の段階で現れる代表的な症状として整理されるのが一般的です。 脱水が進むと発汗や体温調節がうまく働かなくなり、体に熱がこもって体温が上がりやすくなりますが、その段階は4%よりも重い水分欠乏時です。したがって、「4%の欠乏で体温上昇が起こる」という記述は、症状の出現段階を早く見積もりすぎており誤りです。
(3) 6%の欠乏で、呼吸数が増加する。
適切です。6%程度まで脱水が進むと、体温上昇、脈拍増加、呼吸数増加など、全身状態に影響する症状が現れやすくなります。水分不足によって循環機能や体温調節機能に負担がかかるため、体は呼吸や脈拍を増やして対応しようとします。 この段階になると、単なる「のどの渇き」では済まず、かなり強い脱水状態と考える必要があります。したがって、6%の欠乏で呼吸数が増加するという記述は適切です。
(4) 10~12%の欠乏で、筋けいれんが起こる。
適切です。10~12%程度の高度な脱水では、筋けいれん、平衡機能失調、失神、循環不全、腎機能不全など、かなり重い症状が現れます。筋けいれんは、水分だけでなく電解質バランスも崩れることで起こりやすくなります。 ここまで脱水が進んだ状態は危険であり、現場では早急な対応が必要です。筋けいれんはもっと軽い脱水でも起こることがありますが、標準的な整理として10~12%の欠乏に位置づけるのは適切です。
(5) 18%の欠乏で、尿生成が停止する。
適切です。18%程度という極めて高度な脱水状態では、皮膚のひび割れや尿生成の停止など、生命維持に関わる深刻な異常が生じます。尿が作られなくなるのは、体が水分を極端に失い、腎臓に十分な血流や水分が回らなくなるためです。 この段階は非常に危険で、さらに進めば生命の危機に直結します。18%で尿生成停止という記述は、重症脱水の所見として適切です。
この問題で覚えるポイント
脱水症状は、水分欠乏率が上がるほど重くなります。まず1%でのどの渇きが出現し、6%では体温上昇や脈拍・呼吸数の増加がみられます。さらに10~12%で筋けいれんや循環不全、18%で尿生成停止という流れで覚えると整理しやすいです。 試験では、数値と症状を丸ごと暗記するだけでなく、「軽い脱水では自覚症状中心、重い脱水では循環・呼吸・腎機能に影響が及ぶ」という流れで理解しておくと判断しやすくなります。
ひっかけポイント
体温上昇は4%ではなく、6%程度でみられる点がひっかけです。数値が近いため、4%と6%を入れ替えてしまいやすいので注意が必要です。 また、筋けいれんや尿生成停止のような重い症状は、かなり高度の脱水で起こるものです。軽い口渇と同じ感覚で覚えると混乱しやすいため、脱水の進行段階ごとに症状の重さをセットで覚えることが大切です。
