【ビル管過去問】令和7年度 問題29|シックビル症候群を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の環境衛生第29問

問題

シックビル症候群に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 仕事のストレスは、発症の危険因子である。

(2) 症状とその原因の因果関係は、必ずしも明確でない。

(3) 特異的な症状はなく、多様な症状を呈する。

(4) アトピー体質は、発症の危険因子である。

(5) 目やのどの刺激やくしゃみ等の症状は、加湿により増加する。

ビル管過去問|シックビル症候群を解説

シックビル症候群は、建物内で過ごす人に目、鼻、のどの刺激感、頭痛、倦怠感、皮膚症状など多様な症状が現れる状態です。原因は空気中の化学物質、換気不足、温湿度、粉じん、微生物、心理的ストレスなど複数の要因が関係することがあり、原因と症状の因果関係が明確でない場合もあります。この問題では、シックビル症候群の危険因子と症状の特徴を理解しているかが問われています。正しい選択肢は(5)です。加湿によって目やのどの乾燥による刺激症状は軽減されることがあり、「加湿により増加する」とする記述は不適切です。

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(1) 仕事のストレスは、発症の危険因子である。

適切です。シックビル症候群は、建物内の空気環境だけでなく、心理的・社会的要因も関係すると考えられています。仕事のストレスが大きいと、自律神経の乱れや疲労感の増強により、頭痛、倦怠感、集中力低下などの症状を感じやすくなることがあります。そのため、仕事のストレスは発症や症状の悪化に関係する危険因子の一つと考えられます。

(2) 症状とその原因の因果関係は、必ずしも明確でない。

適切です。シックビル症候群では、原因物質や環境要因が一つに特定できないことが多くあります。例えば、換気不足、化学物質、粉じん、湿度、カビ、ストレスなどが複合的に関係するため、ある症状がどの原因によって起きているのかを明確に判断しにくい場合があります。したがって、症状と原因の因果関係が必ずしも明確でないという記述は正しいです。

(3) 特異的な症状はなく、多様な症状を呈する。

適切です。シックビル症候群には、この症状があれば必ずシックビル症候群であるといえるような特異的な症状はありません。目やのどの刺激、鼻水、くしゃみ、頭痛、めまい、倦怠感、皮膚のかゆみなど、さまざまな症状が現れることがあります。症状が多様である点は、試験でも押さえておきたい重要な特徴です。

(4) アトピー体質は、発症の危険因子である。

適切です。アトピー体質の人は、皮膚や粘膜が刺激に反応しやすく、空気中の化学物質、ほこり、カビ、ダニなどの影響を受けやすい場合があります。そのため、目や鼻、のど、皮膚などに症状が現れやすく、シックビル症候群の発症に関わる危険因子の一つと考えられます。

(5) 目やのどの刺激やくしゃみ等の症状は、加湿により増加する。

不適切です。目やのどの刺激感、くしゃみなどは、空気の乾燥によって悪化することがあります。適切な加湿は、粘膜の乾燥を防ぎ、目やのどの刺激症状を軽減する方向に働くことがあります。ただし、過度な加湿はカビやダニの増殖につながるおそれがあるため注意が必要です。この選択肢では、加湿により症状が増加すると断定している点が不適切です。

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この問題で覚えるポイント

シックビル症候群は、建物内で過ごしているときに目、鼻、のど、皮膚、神経系などに多様な症状が現れる状態です。特定の症状だけで判断するものではなく、目の刺激、のどの違和感、鼻水、くしゃみ、頭痛、倦怠感、めまい、集中力低下などが幅広く現れる点を押さえることが重要です。 原因は一つに限定されません。化学物質、換気不足、粉じん、カビ、ダニ、温湿度、照明、騒音、仕事のストレス、個人の感受性などが複合的に関係します。そのため、症状と原因の因果関係が明確でない場合があるという点が、シックビル症候群の大きな特徴です。 アトピー体質やアレルギー体質の人は、空気中の刺激物質やアレルゲンに反応しやすいため、発症の危険因子になります。また、心理的ストレスも症状の出やすさや感じ方に影響するため、単に空気中の化学物質だけを原因と考えないことが大切です。 乾燥した空気は目やのどの粘膜を刺激しやすくします。適切な加湿は乾燥による刺激を和らげる方向に働きますが、湿度が高すぎるとカビやダニの発生につながることがあります。したがって、加湿は常に悪いものではなく、適切な湿度管理が重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「加湿」という言葉に対する印象です。加湿しすぎるとカビやダニが増えるため、加湿は悪いものだと考えてしまうと誤答しやすくなります。しかし、目やのどの乾燥による刺激に対しては、適切な加湿は症状を軽減する方向に働きます。 また、シックビル症候群を化学物質だけの問題と考えるのも典型的な思考の罠です。実際には、換気、湿度、微生物、粉じん、個人の体質、ストレスなどが複合的に関係します。原因が一つに特定できないこと、多様な症状が出ること、心理的要因や体質も関係することをまとめて理解しておくと、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。

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