出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|清掃第133問
問題
排水設備の清掃・診断に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 排水立て管の清掃に用いる高圧洗浄法は、5〜30MPaの高圧の水を噴射し、排水管内を洗浄する方法である。
(2) 排水管の有機性付着物は、酸性洗浄剤を用いて除去する。
(3) 排水管の内部の腐食状況は、超音波厚さ計やX線を使用した方法等により確認する。
(4) ウォータラム法は、圧縮空気を一気に放出してその衝撃で閉塞物を除去する方法である。
(5) ワイヤを通す方法は、一般に長さ25mまでの排水横管の清掃に使用する。
ビル管過去問|排水設備 清掃・診断方法 高圧洗浄・薬品洗浄・検査手法を解説
この問題は、排水設備の清掃方法と診断方法について、それぞれの手法の用途や特徴を正しく理解しているかを問う問題です。排水設備の管理では、汚れの種類に応じて適切な清掃法を選ぶこと、また管の劣化や腐食を正しく診断することが重要です。正しい選択肢は、清掃や診断の一般的な手法を述べたものです。一方で誤っているのは、有機性付着物に対する洗浄剤の種類を取り違えている記述です。有機性付着物には通常アルカリ性洗浄剤が用いられ、酸性洗浄剤は主に無機性のスケール除去に使われます。この区別ができるかどうかが正答のポイントです。
(1) 排水立て管の清掃に用いる高圧洗浄法は、5〜30MPaの高圧の水を噴射し、排水管内を洗浄する方法である。
適切です。高圧洗浄法は、ノズルから高圧水を噴射して、管内に付着した汚れや堆積物をはぎ取る清掃方法です。排水立て管や排水横管の清掃で広く用いられており、油脂分やヘドロ状の汚れにも効果があります。設問の5〜30MPaという圧力範囲も、一般的な高圧洗浄の説明として妥当です。排水管を傷めないよう、管種や劣化状況に応じて適切な圧力で作業することが大切です。
(2) 排水管の有機性付着物は、酸性洗浄剤を用いて除去する。
不適切です。有機性付着物とは、油脂、たんぱく質、食品かす、せっけんかすなどの有機物を主体とする汚れです。これらは一般にアルカリ性洗浄剤によって分解、けん化、軟化しやすく、除去しやすくなります。これに対して酸性洗浄剤は、尿石や水あか、金属塩類などの無機性スケールの除去に適しています。つまり、有機性付着物に酸性洗浄剤を用いるという記述は、汚れの性質と洗浄剤の使い分けが逆になっているため誤りです。試験では、有機物にはアルカリ、無機物には酸という基本対応を押さえておくことが重要です。
(3) 排水管の内部の腐食状況は、超音波厚さ計やX線を使用した方法等により確認する。
適切です。排水管の腐食は、管の肉厚が薄くなることで進行状況を把握できます。超音波厚さ計は、管を壊さずに厚さを測定できるため、腐食診断でよく用いられます。また、X線を用いた方法では内部状態や損傷の有無を確認することができ、目視できない部分の診断に役立ちます。排水設備は見えない部分で劣化が進みやすいため、このような非破壊検査の知識は重要です。
(4) ウォータラム法は、圧縮空気を一気に放出してその衝撃で閉塞物を除去する方法である。
適切です。ウォータラム法は、圧縮空気の急激な放出によって生じる衝撃を利用し、排水管内の閉塞物を押し流したり崩したりする方法です。比較的軽度の詰まりに対して用いられることがあり、薬品を使わずに閉塞を除去できる点が特徴です。ただし、管の状態や閉塞の程度によっては効果が限定されるため、他の方法と使い分ける必要があります。名称に惑わされず、衝撃作用で閉塞を除去する方法であることを理解しておくとよいです。
(5) ワイヤを通す方法は、一般に長さ25mまでの排水横管の清掃に使用する。
適切です。ワイヤ清掃は、排水管内にワイヤを通して、閉塞物や付着物を物理的に除去する方法です。特に排水横管の清掃で用いられ、一般には比較的短い距離の管に適しています。設問のように25m程度までを目安とする説明は、実務的な扱いとして妥当です。長距離や屈曲が多い配管では作業効率が落ちるため、高圧洗浄法など他の方法が選ばれることもあります。
この問題で覚えるポイント
排水設備の清掃では、汚れの性質に応じて方法を選ぶことが基本です。有機性付着物にはアルカリ性洗浄剤、無機性付着物には酸性洗浄剤を用いるという対応関係は頻出です。特に油脂、たんぱく質、食品残さなどは有機物として扱い、尿石やスケールは無機物として整理すると覚えやすいです。 清掃方法には、物理的に除去する方法と薬品で溶解、分解する方法があります。高圧洗浄法は高圧水で管内を洗浄する代表的な方法で、排水立て管や横管の清掃に用いられます。ワイヤ清掃は比較的短い排水横管で有効であり、閉塞物を直接崩したり引っかけたりして除去します。ウォータラム法は衝撃力を利用した閉塞除去法として整理しておくと理解しやすいです。 診断方法では、腐食や劣化の確認に非破壊検査が重要です。超音波厚さ計は管の肉厚測定、X線は内部状態の確認に用いられます。清掃と診断は別のテーマに見えても、試験では同じ問題内でまとめて問われることがあるため、方法の目的と対象をセットで覚えることが大切です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、汚れの種類と洗浄剤の種類を逆にしている点です。受験者は、酸性洗浄剤のほうが強そうだという日常感覚から、有機物にも効きそうだと思ってしまいがちです。しかし、試験では強い弱いではなく、何に対して適しているかという対応関係で判断しなければなりません。 また、清掃方法と診断方法が同じ設問内に並んでいるため、見慣れない用語があるとそれだけで誤りだと思ってしまうことがあります。ところが、試験では専門用語そのものではなく、その方法の目的や対象が正しく対応しているかが問われています。一部だけ知っていると正しく見えてしまう文章も多いため、方法名だけで判断せず、何を除去する方法か、何を確認する方法かまで意識して読むことが重要です。
