【ビル管過去問】令和4年度 問題169|ゴキブリの防除 残留処理・空間処理・トラップ調査を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|ねずみ、昆虫等の防除第169問

問題

ゴキブリの防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 空間処理とは、ゴキブリ類の気門から成分を取り込ませ、主に呼吸毒として作用させる処理法である。

(2) 乳剤とマイクロカプセル剤の残効性を同条件で比較すると、乳剤の方が長い。

(3) チャバネゴキブリでは、殺虫剤抵抗性と喫食抵抗性の両方が報告されている。

(4) 残留処理では、散布面の素材により散布量を調整する必要がある。

(5) ゴキブリ指数とは、調査期間中における1日1トラップ当たりの捕獲数をいう。

ビル管過去問|ゴキブリの防除 残留処理・空間処理・トラップ調査を解説

この問題は、ゴキブリ防除でよく使われる処理法の特徴、薬剤の残効性、抵抗性、残留処理時の実務上の注意点、さらにトラップ調査で用いる指標の定義までをまとめて確認する問題です。正答は(2)です。マイクロカプセル剤は有効成分が徐々に放出されるよう工夫されているため、一般に乳剤より残効性が長くなります。他の選択肢は、ゴキブリ防除の基本知識として適切な内容です。試験では、処理法の名称だけでなく、それぞれがどのように作用し、どの場面で有効かを整理して覚えておくことが大切です。

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(1) 空間処理とは、ゴキブリ類の気門から成分を取り込ませ、主に呼吸毒として作用させる処理法である。

適切です。空間処理は、薬剤を煙霧やエアゾールなどの形で空間中に拡散し、ゴキブリに取り込ませる方法です。ゴキブリは昆虫であり、体の側面などにある気門から呼吸を行うため、空間中に漂う薬剤成分を取り込むことで殺虫作用が現れます。主として速効性が期待される処理法ですが、潜伏場所の奥まで十分に届かないこともあるため、これだけで完全防除できるとは限りません。試験では、空間処理は即効的、残留処理は持続的という違いを押さえておくと整理しやすいです。

(2) 乳剤とマイクロカプセル剤の残効性を同条件で比較すると、乳剤の方が長い。

不適切です。一般に、残効性が長いのは乳剤ではなくマイクロカプセル剤です。マイクロカプセル剤は、有効成分を微細なカプセルに封入した製剤で、成分が急激に失われにくく、徐々に放出されるため、効果が長く続きやすい特徴があります。これに対して乳剤は、処理直後の効果は見込めても、有効成分の分解や揮散の影響を受けやすく、同条件なら残効性で劣ることがあります。このように、製剤の違いは単なる名称の違いではなく、効果の持続時間や使い分けに直結します。

(3) チャバネゴキブリでは、殺虫剤抵抗性と喫食抵抗性の両方が報告されている。

適切です。チャバネゴキブリは建築物内で問題となりやすく、防除の現場でも特に重要な種類です。この種では、薬剤に対して効きにくくなる殺虫剤抵抗性だけでなく、毒餌を食べなくなる喫食抵抗性も報告されています。殺虫剤抵抗性は薬剤の作用を受けにくくなる性質であり、喫食抵抗性はベイト剤そのものを避けるようになる性質です。どちらも防除効果を下げる原因になるため、薬剤の系統変更や処理法の見直しが必要になります。試験では、抵抗性には複数のタイプがあることを理解しておくと判断しやすくなります。

(4) 残留処理では、散布面の素材により散布量を調整する必要がある。

適切です。残留処理は、ゴキブリが通過したり潜んだりする場所の表面に薬剤を残しておき、接触によって効果を発揮させる方法です。このとき、散布面が金属、ガラス、木材、コンクリートなど何でできているかによって、薬剤の付き方や吸着、吸収のされ方が異なります。たとえば、吸い込みやすい面では薬剤が表面に十分残りにくいことがあり、逆に平滑な面では比較的安定して残ることがあります。そのため、現場では散布面の材質や状態を見ながら、適切な量や方法を選ぶ必要があります。これは実務的にも非常に大切な視点です。

(5) ゴキブリ指数とは、調査期間中における1日1トラップ当たりの捕獲数をいう。

適切です。ゴキブリ指数は、トラップ調査によって得られた捕獲結果を標準化して表す指標で、一般に調査期間中の1日1トラップ当たりの捕獲数として示されます。このように表すことで、設置日数やトラップ数が異なる場合でも、発生状況を比較しやすくなります。防除前後の効果判定や、建物内の発生密度の把握に役立つため、単なる捕獲数ではなく指数として理解することが重要です。試験では、用語の定義をそのまま問うことがあるので、調査指標の意味は正確に覚えておく必要があります。

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この問題で覚えるポイント

ゴキブリの防除は、空間処理、残留処理、ベイト処理、トラップ調査などを目的に応じて使い分けることが基本です。空間処理は薬剤を空間中に拡散して速効的に作用させる方法で、主として気門から取り込ませる呼吸毒として働きます。一方、残留処理はゴキブリの通路や潜伏場所周辺の表面に薬剤を残し、接触によって効果を発揮させる方法で、持続的な効果を期待する処理です。

製剤の違いも頻出です。乳剤、水和剤、マイクロカプセル剤などは、それぞれ作用の持続や取り扱いが異なります。特にマイクロカプセル剤は、有効成分が徐々に放出されるため、一般に残効性が高い点を押さえることが重要です。試験では、乳剤より残効が長いという比較がそのまま問われやすいです。

抵抗性については、単に薬剤が効かないという話では終わりません。チャバネゴキブリでは、殺虫剤抵抗性に加え、ベイト剤を食べなくなる喫食抵抗性も問題になります。そのため、防除では一つの方法や一種類の薬剤に頼らず、環境整備、薬剤変更、処理法の組合せが必要になります。

調査では粘着トラップがよく用いられ、発生状況の把握にはゴキブリ指数が使われます。これは調査期間中における1日1トラップ当たりの捕獲数であり、建物ごとの比較や防除効果の判定に役立つ指標です。数そのものではなく、条件をそろえて評価するための指数であることを理解しておくと、類題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、製剤名の印象だけで残効性を判断してしまう点にあります。乳剤は現場でよく使われるため、何となく強そう、長く効きそうと感じて誤答しやすいですが、残効性の比較では一般にマイクロカプセル剤の方が有利です。名称のなじみやすさではなく、製剤の構造と有効成分の放出のされ方で判断する必要があります。

また、空間処理と残留処理の違いがあいまいだと混乱しやすいです。空間処理は空間中の薬剤を取り込ませる方法で、残留処理は表面に残した薬剤へ接触させる方法です。どちらも殺虫処理であるため似て見えますが、作用の場と持続性が異なります。この区別が曖昧だと、説明文が少し言い換えられただけで誤りを見抜けなくなります。

さらに、抵抗性という言葉を殺虫剤抵抗性だけに限定して覚えていると、喫食抵抗性の記述で迷います。試験では、一部だけ知っている受験者を狙って、同じ「抵抗性」でも別の意味を含む表現が出されます。用語を狭く覚えず、防除に影響する抵抗性には複数の型があると整理しておくことが大切です。

最後に、ゴキブリ指数のような定義問題は、意味を何となく把握しているだけでは危険です。捕獲数そのものではなく、1日1トラップ当たりという条件付きの指標である点が重要です。試験では、このように日数やトラップ数を外した表現にすり替えて出題されることがあるため、定義は語尾まで正確に覚えることが得点につながります。

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