【ビル管過去問】令和4年度 問題170|ダニの種類と生態 マダニ・ヒゼンダニ・イエダニの特徴を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|ねずみ、昆虫等の防除第170問

問題

ダニに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) マダニ類は、第1脚の先端部分に温度や炭酸ガスを感知する器官がある。

(2) マダニ類は、幼虫、若虫、成虫の全ての発育段階で吸血する。

(3) タカラダニ類は、他のダニやチャタテムシ等を捕食する。

(4) ヒゼンダニは、ヒトの皮下に内部寄生する。

(5) イエダニは、家住性のネズミ類に寄生する。

ビル管過去問|ダニの種類と生態を解説

この問題は、建築物環境衛生管理で重要となるダニの種類ごとの生態や寄生部位、食性などの基本知識を正しく理解しているかを問う問題です。最も不適当なのは、ヒゼンダニの寄生部位に関する記述で、ヒトの皮下ではなく表皮の角質層に寄生する点が誤りです。その他の選択肢は、マダニの感覚器官と吸血習性、タカラダニの捕食性、イエダニの宿主など、いずれもダニの生態として正しい内容です。

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(1) マダニ類は、第1脚の先端部分に温度や炭酸ガスを感知する器官がある。

適切です。マダニ類の第1脚の末端背面には、ハラー氏器官と呼ばれる特有の感覚器官があります。この器官は、宿主が発する二酸化炭素や体温、匂いなどの化学的刺激や温度変化を感知する働きを持ち、マダニが草むらなどで待ち伏せしながら、近づいてきた動物を見つけるのに役立ちます。したがって、第1脚の先端部分に温度や炭酸ガスを感知する器官があるという記述は、マダニの生理学的特徴として正しい内容です。

(2) マダニ類は、幼虫、若虫、成虫の全ての発育段階で吸血する。

適切です。マダニ類は、卵から孵化した後、幼虫、若虫、成虫と発育段階を進みますが、いずれの段階でも宿主から吸血して成長します。幼虫は小型の動物、若虫は中型の動物、成虫はより大きな動物と、発育段階によって好む宿主の大きさが変わることもありますが、いずれも吸血を必要とする点は共通です。そのため、全ての発育段階で吸血するという記述は適切です。

(3) タカラダニ類は、他のダニやチャタテムシ等を捕食する。

適切です。タカラダニ類は、屋外のコンクリート面などで赤い小さなダニとして見られることが多いですが、その多くは捕食性であり、他の小型のダニ類やチャタテムシなどの微小な節足動物を餌としています。人を吸血するわけではなく、主に他の小動物を捕食する生態を持つため、この記述はタカラダニの食性を正しく表しています。

(4) ヒゼンダニは、ヒトの皮下に内部寄生する。

不適切です。ヒゼンダニは疥癬の原因となるダニで、ヒトの皮膚に寄生しますが、寄生部位は皮下ではありません。ヒゼンダニは皮膚の表面近くの角質層にトンネル状の疥癬トンネルを掘り、その中に雌成虫が潜り込んで産卵します。つまり、表皮の最外層である角質層内に寄生するのであって、真皮より深い皮下組織にまで侵入するわけではありません。皮下という表現は解剖学的に誤りであり、この点が不適当な記述となります。

(5) イエダニは、家住性のネズミ類に寄生する。

適切です。イエダニは、主にドブネズミやクマネズミなどの家住性ネズミ類に寄生する吸血性のダニです。通常はネズミの巣やその周辺に生息し、ネズミから吸血して生活していますが、ネズミが減少したりいなくなったりすると、人を刺して吸血し、激しい痒みや皮膚炎を引き起こすことがあります。建築物内でのイエダニ対策では、ネズミの防除とセットで考えることが重要であり、この記述はイエダニの宿主関係を正しく示しています。

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この問題で覚えるポイント

ダニに関する問題では、種類ごとの生態と人との関わり方を整理して覚えることが重要です。マダニ類は屋外で動物に寄生し、ハラー氏器官によって二酸化炭素や体温を感知して宿主を探すこと、幼虫から成虫まで全ての発育段階で吸血することが特徴です。タカラダニ類は、人を吸血するのではなく、他のダニやチャタテムシなどを捕食する捕食性のダニであり、見た目の不快感はあっても吸血性ダニとは役割が異なります。ヒゼンダニは疥癬の原因となるダニで、ヒトの皮膚の角質層内にトンネルを掘って寄生するため、皮下ではなく表皮の一部に寄生するという位置づけを正確に押さえる必要があります。イエダニは家住性ネズミ類に寄生する吸血性ダニであり、ネズミ対策とダニ対策が密接に関連する点が建築物衛生管理上のポイントです。このように、吸血性か捕食性か、寄生部位がどこか、主な宿主が何かという観点で整理しておくと、同様の問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、ヒゼンダニの寄生部位を「皮下」と表現している点にあります。ヒゼンダニが皮膚の中に潜り込むというイメージから、深く考えずに皮下という言葉を受け入れてしまうと誤答につながりますが、実際には角質層という表皮のごく浅い部分にとどまることが重要です。また、他の選択肢はどれも一見すると細かい専門用語が含まれており、難しそうに感じる一方で、内容自体は教科書的な基本事項です。そのため、受験者は「マダニは全部の段階で吸血するのか」「タカラダニが本当に捕食性なのか」といった不安から、正しい選択肢を疑ってしまうことがあります。さらに、ダニ全般を「人を刺す小さな虫」といった漠然としたイメージで捉えていると、吸血性と捕食性、屋外性と屋内性、宿主の違いなどを混同しやすくなります。同じパターンの問題では、名称だけで判断せず、どのダニがどこに住み、何を食べ、どこに寄生するのかという具体的なイメージを思い出してから判断することで、思考の罠にはまりにくくなります。

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