出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の構造概論第103問
問題
建築基準法の建築物の制限に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 建築面積は、壁、柱等の内側で囲まれた部分の水平投影面積で求められる。
(2) 敷地面積は、土地の高低差にかかわらず水平投影面積として求められる。
(3) 建蔽率とは、建築面積を敷地面積で除した比である。
(4) 容積率とは、建築物の延べ面積を敷地面積で除した比である。
(5) 建築物高さの制限として、北側高さ制限がある。
ビル管過去問|建築基準法の建築物制限を解説
この問題は、建築基準法における建築面積、敷地面積、建蔽率、容積率、高さ制限の基本定義を問う問題です。建築面積は原則として建築物の外壁または柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で求めるため、「壁、柱等の内側」としている(1)が不適切です。その他の選択肢は、建築基準法上の基本的な考え方として適切です。

(1) 建築面積は、壁、柱等の内側で囲まれた部分の水平投影面積で求められる。
不適切です。建築面積は、原則として建築物の外壁または柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で求めます。選択肢では「壁、柱等の内側」とされていますが、これは誤りです。内側で測ると、壁や柱の厚みを含まない面積になってしまい、建築基準法上の建築面積より小さくなります。試験では、建築面積は「外壁または柱の中心線」、敷地面積は「水平投影面積」と整理して覚えると判断しやすくなります。
(2) 敷地面積は、土地の高低差にかかわらず水平投影面積として求められる。
適切です。敷地面積は、傾斜地であっても土地の実際の斜面の面積ではなく、上から見た水平投影面積で求めます。たとえば、坂になっている土地では斜面に沿った実面積の方が大きくなりますが、建築基準法上の敷地面積は水平面に投影した面積です。建蔽率や容積率の計算の基礎になるため、敷地面積は水平投影面積で考えることが重要です。
(3) 建蔽率とは、建築面積を敷地面積で除した比である。
適切です。建蔽率は、敷地面積に対して建築物がどれだけ建っているかを示す割合です。式で表すと、建蔽率は建築面積を敷地面積で除したものです。建物を上から見たときに、敷地のうちどれくらいが建物で覆われているかを規制するものと考えると理解しやすいです。建蔽率は、敷地内の空地を確保し、採光、通風、防火、避難などの環境を守るために重要な制限です。
(4) 容積率とは、建築物の延べ面積を敷地面積で除した比である。
適切です。容積率は、敷地面積に対して建築物の延べ面積がどれだけあるかを示す割合です。延べ面積とは、各階の床面積の合計です。建蔽率が建物の平面的な広がりを制限するのに対し、容積率は建物全体の規模やボリュームを制限するものです。高層建築物や大規模建築物では、容積率の制限が都市環境や道路、上下水道などのインフラ負荷にも関係します。
(5) 建築物高さの制限として、北側高さ制限がある。
適切です。建築物の高さには、用途地域や敷地条件に応じてさまざまな制限があります。その一つが北側高さ制限です。北側高さ制限は、主に隣地の日照や採光などの居住環境を守るために設けられる制限です。特に住居系の地域では、北側の隣地に過度な日影を生じさせないよう、建築物の高さや形状に制限がかかります。高さ制限には、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限などがあることもあわせて押さえておくとよいです。
この問題で覚えるポイント
建築面積は、原則として外壁または柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。内側で囲まれた面積ではありません。敷地面積は、土地に高低差や傾斜があっても水平投影面積で求めます。建蔽率は、建築面積を敷地面積で除した比であり、敷地に対する建物の平面的な占有割合を示します。容積率は、延べ面積を敷地面積で除した比であり、建物全体の規模を示します。建蔽率は「建築面積」、容積率は「延べ面積」を使う点が重要です。また、建築物の高さ制限には、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側高さ制限などがあり、周辺環境の日照、採光、通風、防災などを守る目的があります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「水平投影面積」という言葉が複数の定義に出てくるため、どこを基準に囲むのかを曖昧に覚えていると誤答しやすい点です。建築面積は水平投影面積で求めるという部分だけを見ると正しそうですが、「壁、柱等の内側」という部分が誤りです。試験では、このように文章の前半が正しく、後半に細かな誤りが入っていることがあります。また、建蔽率と容積率はどちらも敷地面積で除すため混同しやすいですが、建蔽率は建築面積、容積率は延べ面積を使うと整理してください。日常感覚では建物の面積を「内側の使える面積」と考えがちですが、建築基準法では中心線や水平投影面積など、法令上の定義に基づいて判断することが大切です。