出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の構造概論第104問
問題
建築物に関連する法令に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 消防法における特定防火対象物にあっては、消防用設備等の設置及び維持に関する規定は、新規に建築される建築物に限られる。
(2) 高さ31mを超える高層建築物の管理者は、消防法における防火管理者を定め、消防計画を作成する。
(3) 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)でいう建築物特定施設には、出入口、階段、便所がある。
(4) 建築主は、バリアフリー法における2,000m2以上の特別特定建築物を建築しようとするときは、建築物移動等円滑化基準に適合させなければならない。
(5) 建築物の耐震改修の促進に関する法律における耐震改修とは、地震に対する安全性の向上を目的として、増築、改築、修繕、模様替若しくは一部の除却又は敷地の整備をすることをいう。
ビル管過去問|建築物関連法令を解説
この問題は、消防法、バリアフリー法、耐震改修促進法など、建築物に関係する法令の基本事項を確認する問題です。正しい選択肢は(1)です。消防用設備等の設置及び維持に関する規定は、新築建築物だけでなく、既存の建築物にも関係します。特に消防法では、用途や危険性に応じて既存建築物にも安全確保のための規定が適用される場合があるため、「新規に建築される建築物に限られる」という表現が不適切です。

(1) 消防法における特定防火対象物にあっては、消防用設備等の設置及び維持に関する規定は、新規に建築される建築物に限られる。
不適切です。消防法における消防用設備等の設置や維持に関する規定は、新しく建てられる建築物だけに限られるものではありません。特定防火対象物とは、不特定多数の人や避難に配慮が必要な人が利用する用途の建築物を含むため、火災時の人命保護が特に重要です。そのため、既存の建築物であっても、用途や規模、法令上の条件に応じて消防用設備等の設置や維持管理が求められます。「新規に建築される建築物に限られる」と限定している点が誤りです。
(2) 高さ31mを超える高層建築物の管理者は、消防法における防火管理者を定め、消防計画を作成する。
適切です。高さ31mを超える高層建築物では、火災時の避難や消火活動が難しくなります。そのため、消防法上、防火管理体制を整えることが重要です。防火管理者を選任し、消防計画を作成することで、日常の火災予防、避難訓練、消防用設備の管理などを計画的に行います。高層建築物では被害が大きくなりやすいため、管理者による組織的な防火管理が求められます。
(3) 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)でいう建築物特定施設には、出入口、階段、便所がある。
適切です。バリアフリー法では、高齢者や障害者などが円滑に移動し、施設を利用できるようにするため、建築物特定施設について基準が定められています。建築物特定施設には、出入口、廊下、階段、傾斜路、エレベーター、便所などが含まれます。これらは利用者の移動や施設利用に直接関係する部分であり、段差の解消、幅の確保、手すりの設置などが重要になります。
(4) 建築主は、バリアフリー法における2,000m2以上の特別特定建築物を建築しようとするときは、建築物移動等円滑化基準に適合させなければならない。
適切です。バリアフリー法では、不特定多数の人が利用する建築物や、高齢者、障害者等が利用する建築物のうち、特に重要なものを特別特定建築物としています。一定規模以上、代表的には2,000m2以上の特別特定建築物を建築する場合には、建築物移動等円滑化基準への適合が義務付けられます。これは、建築物を利用する人の安全性や利便性を確保するための基準です。
(5) 建築物の耐震改修の促進に関する法律における耐震改修とは、地震に対する安全性の向上を目的として、増築、改築、修繕、模様替若しくは一部の除却又は敷地の整備をすることをいう。
適切です。耐震改修促進法における耐震改修は、単に柱や壁を補強する工事だけを指すものではありません。地震に対する安全性を高めるために行う増築、改築、修繕、模様替、一部の除却、敷地の整備なども含まれます。耐震改修という言葉から、建物本体の補強だけをイメージしがちですが、法令上は安全性向上を目的とした幅広い措置が含まれます。
この問題で覚えるポイント
建築物関連法令では、消防法、バリアフリー法、耐震改修促進法の基本的な目的と適用対象を整理しておくことが重要です。消防法は火災予防、人命保護、被害拡大防止を目的としており、特定防火対象物や高層建築物では防火管理や消防用設備等の維持管理が重視されます。消防用設備等に関する規定は新築建築物だけに限定されるものではなく、既存建築物にも関係する場合があります。バリアフリー法では、出入口、廊下、階段、便所、エレベーターなど、利用者の移動や施設利用に関わる部分が建築物特定施設として扱われます。また、2,000m2以上の特別特定建築物を建築する場合には、建築物移動等円滑化基準への適合が義務付けられる点がよく問われます。耐震改修促進法では、耐震改修を単なる補強工事だけでなく、地震に対する安全性を高めるための増築、改築、修繕、模様替、一部除却、敷地整備まで含む広い概念として理解することが大切です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「新規に建築される建築物に限られる」という限定表現です。法令問題では、文章の前半がもっともらしくても、後半で対象を不自然に狭めている場合があります。消防法は人命安全に関わる法律であるため、新築だけを対象にすればよいという考え方ではありません。既存建築物であっても、用途、規模、危険性に応じて安全確保のための規定が関係します。また、バリアフリー法や耐震改修促進法では、用語の定義を狭く考えすぎると誤答しやすくなります。出入口、階段、便所のような基本的な施設も建築物特定施設に含まれること、耐震改修には補強工事以外の措置も含まれることを押さえておくと、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。