【ビル管過去問】令和7年度 問題70|冷却塔(開放型・密閉型)の違いと仕組みを解説

問題

冷却塔に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 開放型冷却塔は、同容量の密閉型冷却塔と比べて一般に大型である。

(2) 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。

(3) 開放型冷却塔は、密閉型冷却塔と比べて送風機動力が小さい。

(4) 密閉型冷却塔は、散布水系統の保有水量が少ないため、保有水中の不純物濃度が高くなる。

(5) 空調用途における冷却塔は、主として冷凍機の凝縮熱を大気に放出するための装置として利用される。

ビル管過去問|冷却塔(開放型・密閉型)の違いと仕組みを解説

この問題は、冷却塔の基本構造と、開放型冷却塔・密閉型冷却塔の特徴の違いを問う問題です。冷却塔は、冷凍機や空調設備で発生した熱を屋外に逃がすための重要な装置です。特に、開放型は熱交換効率が高く比較的コンパクトである一方、密閉型は冷却水を外気に直接触れさせないため水質管理上のメリットがあります。正解は(1)です。(1)は「開放型冷却塔の方が一般に大型である」としていますが、一般には逆で、同容量なら密閉型冷却塔の方が構造が複雑で大型になりやすいため、不適当です。

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(1) 開放型冷却塔は、同容量の密閉型冷却塔と比べて一般に大型である。

不適切です。その理由は、一般に同じ処理能力で比較した場合、密閉型冷却塔の方が大型になりやすいからです。開放型冷却塔は、冷却対象となる水を直接空気と接触させて蒸発冷却を行うため、熱交換効率が高く、比較的コンパクトに設計できます。これに対して密閉型冷却塔は、コイルや熱交換管を介して間接的に熱を逃がす構造であるため、同じ能力を確保するにはより大きな伝熱面積や装置容量が必要になることがあります。そのため、「開放型の方が一般に大型である」という記述は逆であり、不適切です。

(2) 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。

適切です。その理由は、密閉型冷却塔では冷却対象の水が外気や散布水と直接接触しないため、水質を安定して保ちやすいからです。電算室やクリーンルームでは、空調機器や熱交換器の内部に汚れやスケールが入り込むと、性能低下や故障、衛生上の問題につながるおそれがあります。密閉型は配管系統が外部からの汚染を受けにくく、精密機器や高い清浄度が求められる設備に適しています。そのため、この記述は適切です。

(3) 開放型冷却塔は、密閉型冷却塔と比べて送風機動力が小さい。

適切です。その理由は、開放型冷却塔の方が熱交換のしくみが単純で効率が高く、空気側の抵抗も比較的小さいことが多いためです。開放型では、水を充てん材に散布し、そこに空気を通して蒸発潜熱を利用して冷却します。これに対して密閉型では、コイルを介した熱交換に加え、散布水や空気を組み合わせて冷却するため、より大きな送風能力が必要になることがあります。その結果、密閉型の方が送風機動力が大きくなりやすく、この記述は適切です。

(4) 密閉型冷却塔は、散布水系統の保有水量が少ないため、保有水中の不純物濃度が高くなる。

適切です。その理由は、密閉型冷却塔の散布水系統は、開放型に比べて循環水量や保有水量が小さい傾向があり、蒸発によって水だけが失われると、不純物や溶解成分が相対的に濃縮されやすいからです。冷却塔では蒸発により熱を放出しますが、その際に塩類や不純物は水中に残るため、補給水の水質や濃縮管理が重要になります。保有水量が少ないほど濃度変化が起こりやすく、適切なブロー管理や水処理が必要です。したがって、この記述は適切です。

(5) 空調用途における冷却塔は、主として冷凍機の凝縮熱を大気に放出するための装置として利用される。

適切です。その理由は、空調用冷却塔の代表的な役割が、冷凍機の凝縮器で回収した熱を大気中へ放散することにあるからです。冷凍機は、室内から奪った熱に圧縮機の仕事による熱を加えたものを凝縮器側で放出します。冷却塔は、その凝縮器を通って温度上昇した冷却水を冷却し、再び冷凍機へ戻す役割を担います。つまり、冷却塔は空調システム全体の放熱装置として機能しており、この記述は適切です。

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この問題で覚えるポイント

開放型冷却塔は、冷却水を空気に直接触れさせて蒸発冷却するため、熱交換効率が高く、同容量なら比較的コンパクトになりやすいです。
密閉型冷却塔は、冷却対象水をコイル内に通して間接的に冷却するため、水質を保ちやすく、電算室やクリーンルームなどで使われやすいです。
開放型は一般に構造が単純で、密閉型より送風機動力が小さくなる傾向があります。
密閉型は散布水の保有水量が少ないため、水中の不純物が濃縮しやすく、水処理管理が重要です。
冷却塔の基本的な役割は、冷凍機の凝縮熱を大気中へ放出することです。

ひっかけポイント

「密閉型」という言葉から、小型で扱いやすい装置だと連想してしまうと誤りやすいです。実際には、同容量なら密閉型の方が大型になりやすいです。
「水が密閉されているから不純物が少ない」と考えるのもひっかけです。冷却対象水は汚れにくい一方で、散布水側は濃縮しやすい点に注意が必要です。
「開放型の方が空気と直接触れるので送風機動力も大きそう」と感覚的に判断すると間違えやすいです。構造と熱交換効率の違いから整理して覚えることが大切です。
冷却塔は冷水を作る装置ではなく、冷凍機の凝縮熱を外へ逃がす放熱装置であることを押さえておくと、他の問題にも対応しやすくなります。

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