【ビル管過去問】令和7年度 問題26|快適温度と体温調節を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の環境衛生第26問

問題

体温調節に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 快適温度は、一般的に男性に比べて女性で数度高い。

(2) 高齢者における、寒冷による血圧の変動は若年者と比較して少ない。

(3) 着衣の保温性を表す量として、クロ値(clo)がある。

(4) 蒸発は、水分が皮膚より気化するときに潜熱で皮腐表面の熱を奪う現象である。

(5) 女性の核心温は、ホルモンによって周期的に影響を受ける。

 

 

 

ビル管過去問|快適温度と体温調節を解説

この問題は、快適温度、加齢による体温調節機能の変化、着衣の保温性、蒸発による放熱、女性の核心温の周期変動について問う問題です。不適切な選択肢は(2)です。高齢者は寒冷刺激に対する血管反応や血圧調節機能が低下しやすく、寒冷による血圧変動が若年者より少ないとはいえません。

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(1) 快適温度は、一般的に男性に比べて女性で数度高い。

適切です。一般に女性は男性に比べて基礎代謝量や筋肉量が少ない傾向があり、体内で発生する熱量も相対的に少なくなりやすいです。そのため、同じ室温でも男性より寒さを感じやすく、快適と感じる温度は女性の方がやや高くなる傾向があります。ビル管理では、室温の数値だけでなく、性別、年齢、着衣量、活動量などによって快適性が変わる点を押さえることが大切です。

(2) 高齢者における、寒冷による血圧の変動は若年者と比較して少ない。

不適切です。高齢者は寒冷環境にさらされると、血管が収縮しやすくなり、血圧が上昇しやすい傾向があります。また、加齢により自律神経機能や血管の弾力性が低下するため、体温や血圧を安定させる調節機能も若年者ほど円滑ではありません。そのため、高齢者では寒冷による血圧変動が若年者より少ないのではなく、むしろ大きくなったり、健康リスクにつながったりすることがあります。特に冬場の浴室、脱衣所、廊下などで起こる急激な温度差は、血圧変動を招きやすいため注意が必要です。

(3) 着衣の保温性を表す量として、クロ値(clo)がある。

適切です。クロ値は、衣服の保温性を表す単位です。衣服を着ることで身体の周囲に空気層ができ、体から熱が逃げにくくなります。この保温性を数値化したものがクロ値です。一般に、薄着ではクロ値が低く、厚着ではクロ値が高くなります。温熱環境の快適性を考えるときは、気温や湿度だけでなく、着衣量や活動量も重要な要素になります。

(4) 蒸発は、水分が皮膚より気化するときに潜熱で皮腐表面の熱を奪う現象である。

適切です。蒸発とは、汗などの水分が皮膚表面から気化するときに、皮膚表面の熱を奪う現象です。このとき奪われる熱を潜熱といいます。暑い環境では、汗が蒸発することで体温上昇を防ぐ重要な放熱手段になります。ただし、湿度が高い環境では汗が蒸発しにくくなるため、放熱がうまくいかず、熱中症の危険が高まります。なお、問題文の「皮腐」は「皮膚」の誤記と考えられますが、内容としては蒸発による放熱の説明です。

(5) 女性の核心温は、ホルモンによって周期的に影響を受ける。

適切です。核心温とは、身体の内部の温度を指します。女性では、月経周期に伴うホルモン変動の影響により、核心温が周期的に変化します。特に排卵後の黄体期には、プロゲステロンの影響で基礎体温が上昇しやすくなります。そのため、女性の体温は一定ではなく、ホルモンの影響を受けて周期的に変動することを理解しておく必要があります。

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この問題で覚えるポイント

体温調節では、産熱と放熱のバランスによって体温が保たれます。放熱には、放射、対流、伝導、蒸発があり、蒸発は汗などの水分が気化するときに潜熱を奪う仕組みです。湿度が高いと蒸発が妨げられるため、暑熱環境では気温だけでなく湿度も重要になります。快適温度は全員に共通する固定値ではなく、性別、年齢、着衣量、活動量、気流、湿度などによって変わります。着衣の保温性はクロ値で表され、厚着になるほどクロ値は高くなります。高齢者は体温調節機能や自律神経機能が低下しやすく、寒冷刺激による血圧変動にも注意が必要です。女性の核心温はホルモン変動の影響を受け、月経周期に伴って変化します。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、高齢者は反応が鈍いから血圧変動も少ないだろう、という日常的なイメージにあります。実際には、体温調節機能や血管の調節機能が低下しているからこそ、寒冷刺激による血圧変動が健康リスクになりやすいです。また、快適温度は単に室温だけで決まるものではなく、性別、年齢、着衣、活動量などの条件で変化します。蒸発については、汗をかくこと自体ではなく、汗が蒸発して初めて有効な放熱になる点が重要です。試験では、一部だけ正しい文章や、日常感覚では正しそうに見える文章が出されるため、体温調節の仕組みを因果関係で押さえることが大切です。

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