問題
体温調節に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 快適温度は、一般的に男性に比べて女性で数度高い。
(2) 高齢者における、寒冷による血圧の変動は若年者と比較して少ない。
(3) 着衣の保温性を表す量として、クロ値(clo)がある。
(4) 蒸発は、水分が皮膚より気化するときに潜熱で皮腐表面の熱を奪う現象である。
(5) 女性の核心温は、ホルモンによって周期的に影響を受ける。
ビル管過去問|快適温度と体温調節を解説
この問題は、体温調節の基本的な仕組みと、快適温度、着衣の保温性、蒸発による放熱、性差や年齢差による体温調節の違いについて問うものです。正しい選択肢を判断するには、人体が寒さや暑さに対してどのように反応するかを理解しておく必要があります。特に、高齢者は寒冷刺激に対する血管反応や血圧変動が大きくなりやすいことが重要です。したがって、不適当なのは(2)です。
(1) 快適温度は、一般的に男性に比べて女性で数度高い。
適切です。快適温度とは、人が暑くも寒くもなく、心地よいと感じる温度のことです。一般的に女性は男性よりも筋肉量が少なく、基礎代謝による熱産生が小さい傾向があります。そのため、同じ室温でも女性のほうが寒さを感じやすく、快適と感じる温度がやや高くなる傾向があります。試験では「女性のほうがやや高め」と押さえておくと判断しやすいです。
(2) 高齢者における、寒冷による血圧の変動は若年者と比較して少ない。
不適切です。高齢者は寒冷環境にさらされると、末梢血管の収縮や循環器系への負担が大きくなりやすく、血圧が変動しやすい特徴があります。加齢により血管の弾力性が低下し、体温調節機能や循環調節機能も弱くなるため、寒さの影響を受けやすくなります。そのため、「高齢者のほうが血圧変動は少ない」という記述は誤りです。むしろ、高齢者では寒冷による血圧上昇に注意が必要です。
(3) 着衣の保温性を表す量として、クロ値(clo)がある。
適切です。クロ値(clo)は、衣服がどの程度熱を逃がしにくくするか、つまり保温性を表す指標です。数値が大きいほど保温性が高いことを意味します。建築物の環境衛生では、温熱環境の評価において、温度だけでなく、湿度、気流、放射熱、着衣量、代謝量などを総合的に考えます。その中で着衣量の代表的な指標がクロ値です。温熱環境の問題では基本事項としてよく問われます。
(4) 蒸発は、水分が皮膚より気化するときに潜熱で皮腐表面の熱を奪う現象である。
適切です。蒸発とは、汗などの水分が皮膚表面から気化するときに、周囲から熱を奪うことで身体を冷やす作用です。このとき奪われる熱を潜熱といいます。人の体は、暑い環境では発汗を増やし、その汗が蒸発することで体温の上昇を防いでいます。内容としては、蒸発による放熱の説明として正しいです。
(5) 女性の核心温は、ホルモンによって周期的に影響を受ける。
適切です。核心温とは、身体の深部、つまり内臓や脳などの温度を指します。女性では月経周期に伴うホルモン変化、とくに黄体ホルモンの影響によって基礎体温が周期的に変化します。一般に排卵後は体温がやや高くなることが知られています。このため、女性の核心温はホルモンの影響を受けて周期的に変動するという記述は正しいです。
この問題で覚えるポイント
体温調節は、熱の産生と放散のバランスによって成り立っています。 快適温度は性別や個人差の影響を受け、一般に女性のほうが高めです。 着衣の保温性はクロ値で表します。 汗の蒸発は潜熱を利用した重要な放熱作用です。 高齢者は寒冷の影響を受けやすく、血圧変動が小さいのではなく、むしろ大きくなりやすい点が重要です。 女性の核心温はホルモンの影響で周期的に変化します。
ひっかけポイント
高齢者は体温調節機能が低下しているため、寒さへの反応も弱いから血圧変動が少ない、と誤解しやすいです。実際には循環器系への負担が大きく、寒冷で血圧が変動しやすくなります。 快適温度と体温そのものを混同しないことが大切です。快適温度は「心地よく感じる室温」であり、核心温とは別の概念です。 クロ値は着衣の保温性、メット値は代謝量という区別もよく問われます。 蒸発による放熱は、汗をかくだけではなく、その汗が実際に気化してはじめて効果を発揮する点も押さえておくとよいです。
