出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の環境衛生第27問
問題
アレルギーに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 学校保健安全法において、ダニ又はダニアレルゲンに関する基準が定められている。
(2) 建築物衛生の観点から、換気や清掃等の対策が重要である。
(3) アレルゲンの同定は、症状発生の予防、治療の上で重要である。
(4) アレルゲンは、免疫グロブリンと呼ばれるたん白質である。
(5) 国民の5割程度が、何らかのアレルギー疾患に罹患しているとされる。
ビル管過去問|アレルギーの基礎を解説
アレルギーは、本来なら害の少ない物質に対して免疫が過敏に反応し、くしゃみ、鼻水、皮膚炎、ぜん息などの症状を起こすものです。この問題では、アレルゲンの意味、学校環境におけるダニ対策、建築物衛生との関係、アレルギー疾患の罹患状況が問われています。正しい選択肢は(4)です。アレルゲンはアレルギー反応を引き起こす原因物質であり、免疫グロブリンそのものではありません。

(1) 学校保健安全法において、ダニ又はダニアレルゲンに関する基準が定められている。
適切です。学校環境では、児童生徒の健康を守るため、教室等の環境衛生管理が重要とされています。学校環境衛生基準では、ダニ又はダニアレルゲンに関する基準が示されており、定期的な検査や清掃、換気などによって衛生的な環境を維持することが求められます。特にダニの死骸やふんはアレルゲンとなり、ぜん息やアレルギー性鼻炎などの原因になるため、学校施設では重要な管理対象です。
(2) 建築物衛生の観点から、換気や清掃等の対策が重要である。
適切です。アレルゲンには、ダニ、カビ、花粉、動物の毛やふけなど、室内環境に存在するものが多くあります。建築物衛生の観点では、これらを室内にため込まないことが大切です。換気によって汚染物質や湿気を排出し、清掃によってほこりやダニアレルゲンを減らすことで、アレルギー症状の発生リスクを下げることができます。特に湿度が高い環境ではダニやカビが増えやすいため、換気、清掃、湿度管理を一体で考えることが重要です。
(3) アレルゲンの同定は、症状発生の予防、治療の上で重要である。
適切です。アレルゲンの同定とは、何がアレルギー症状の原因になっているかを明らかにすることです。原因がダニなのか、花粉なのか、カビなのか、食物なのかによって、予防策や治療方針は変わります。例えば、ダニが原因であれば寝具の清掃や室内の湿度管理が重要になり、花粉が原因であれば飛散時期の外出対策や室内への侵入防止が重要になります。原因物質を特定することは、無駄のない対策につながります。
(4) アレルゲンは、免疫グロブリンと呼ばれるたん白質である。
不適切です。アレルゲンとは、アレルギー反応を引き起こす原因物質のことです。代表例として、ダニ、花粉、カビ、食物、薬剤、動物の毛やふけなどがあります。一方、免疫グロブリンは抗体のことで、体内の免疫反応に関わるたん白質です。特にアレルギー反応ではIgE抗体が関係することがあります。つまり、アレルゲンは外部から入ってくる原因物質であり、免疫グロブリンはそれに反応する体内側の抗体です。この2つを同じものとしている点が誤りです。
(5) 国民の5割程度が、何らかのアレルギー疾患に罹患しているとされる。
適切です。アレルギー疾患は、現代では非常に身近な健康問題です。アレルギー性鼻炎、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどを含めると、国民のかなり多くが何らかのアレルギー疾患を有しているとされています。建築物衛生管理では、室内空気環境、清掃、換気、湿度管理などがアレルギー対策と深く関係するため、単なる医学知識ではなく、建物管理上の重要テーマとして理解しておく必要があります。
この問題で覚えるポイント
アレルゲンとは、アレルギー反応を引き起こす原因物質です。ダニ、ダニのふんや死骸、花粉、カビ、食物、薬剤、動物の毛やふけなどが代表例です。 免疫グロブリンは抗体のことであり、アレルゲンそのものではありません。アレルゲンは原因物質、免疫グロブリンは体内で免疫反応に関わるたん白質、と区別して覚えることが重要です。 アレルギー反応では、IgE抗体が関与することがあります。試験では、アレルゲンとIgE抗体を混同させる表現が出やすいため注意が必要です。 学校環境衛生では、ダニ又はダニアレルゲンが管理対象になります。学校保健安全法に基づく学校環境衛生基準では、児童生徒の健康を守るため、室内環境の衛生管理が求められています。 建築物衛生では、換気、清掃、湿度管理がアレルギー対策として重要です。ダニやカビは湿気の多い環境で増えやすいため、室内の清潔保持と湿度管理を組み合わせて考える必要があります。 アレルゲンの同定は、予防と治療の出発点です。原因物質が分からないままでは、適切な清掃、換気、除去、回避などの対策を立てにくくなります。
ひっかけポイント
この問題の大きなひっかけは、アレルゲンと免疫グロブリンを混同させる点です。どちらもアレルギーに関係する言葉なので、何となく正しそうに見えますが、役割はまったく異なります。 アレルゲンは体に反応を起こさせる原因物質です。一方、免疫グロブリンは体内で作られる抗体です。原因物質と体内の反応物質を入れ替える文章は、今後も正誤問題で狙われやすいパターンです。 また、ダニそのものだけでなく、ダニアレルゲンという表現にも注意が必要です。生きているダニだけでなく、死骸やふんもアレルゲンとなります。清掃や換気が重要とされる理由は、このような微細なアレルゲンが室内のほこりに含まれやすいからです。 日常感覚では、アレルギーは個人の体質の問題と考えがちですが、建築物衛生の試験では、室内環境管理の問題として問われます。換気、清掃、湿度管理、ダニやカビの抑制と結びつけて理解することが正答につながります。