出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の環境衛生第25問
問題
温熱環境指数に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 黒球温度は、熱放射と対流に関わる温度の測定に用いられる。
(2) 湿球黒球温度(WBGT)は、屋内外における暑熱作業時の暑熱ストレスを評価するために使用されている。
(3) 有効温度は、湿度100%で無風の部屋の気温に等価な環境として表す主観的経験指数である。
(4) 標準新有効温度は、気温、湿度、風速、熱放射、着衣量、代謝量の6要素を含んだ温熱環境の指標である。
(5) 不快指数は、気温に関係なく用いられる指標である。
ビル管過去問|温熱環境指数(WBGT・黒球温度)を解説
この問題は、温熱環境を評価するための代表的な指数について問う問題です。黒球温度、WBGT、有効温度、標準新有効温度、不快指数は、それぞれ評価に用いる要素や目的が異なります。正しい選択肢は(5)です。不快指数は、主に気温と湿度を用いて蒸し暑さを評価する指標であり、「気温に関係なく用いられる」という記述が誤りです。
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(1) 黒球温度は、熱放射と対流に関わる温度の測定に用いられる。
適切です。黒球温度は、黒く塗った球状の温度計を用いて測定される温度で、周囲から受ける熱放射の影響を反映します。また、空気の流れによる対流の影響も受けるため、単なる気温とは異なり、人体が実際に受ける熱的な負担を把握するのに役立ちます。特に、日射や高温物体からの放射熱がある場所では重要な指標です。
(2) 湿球黒球温度(WBGT)は、屋内外における暑熱作業時の暑熱ストレスを評価するために使用されている。
適切です。WBGTは、暑熱環境における熱中症リスクや作業者の暑熱ストレスを評価するために用いられる代表的な指標です。気温だけでなく、湿度、放射熱、気流などの影響を総合的に反映します。屋外作業だけでなく、工場、厨房、機械室などの屋内暑熱環境でも使用されます。
(3) 有効温度は、湿度100%で無風の部屋の気温に等価な環境として表す主観的経験指数である。
適切です。有効温度は、人が感じる暑さや寒さを、湿度100%、無風の条件における気温に置き換えて表す温熱指標です。気温、湿度、気流の影響を考慮して、人間の体感に近い形で温熱環境を評価しようとするものです。主観的な温冷感を基にした経験的な指標である点も重要です。
(4) 標準新有効温度は、気温、湿度、風速、熱放射、着衣量、代謝量の6要素を含んだ温熱環境の指標である。
適切です。標準新有効温度は、温熱環境をより総合的に評価するための指標です。環境側の要素である気温、湿度、風速、熱放射に加えて、人体側の要素である着衣量と代謝量も考慮します。人がどのような服装で、どの程度活動しているかによって体感温度は変わるため、これらを含めて評価する点が特徴です。
(5) 不快指数は、気温に関係なく用いられる指標である。
不適切です。不快指数は、主に気温と湿度を用いて、蒸し暑さによる不快感を表す指標です。気温が高く、湿度も高いほど汗が蒸発しにくくなり、人体は不快に感じやすくなります。そのため、不快指数は気温に関係なく用いられるものではありません。気温を重要な要素として含む指標であるため、この記述が最も不適当です。
この問題で覚えるポイント
温熱環境指数は、単に気温だけを見るものではなく、湿度、気流、熱放射、人体側の条件などを組み合わせて評価するものです。黒球温度は、熱放射の影響を反映する温度であり、日射や高温物体からの放射熱がある環境で重要です。WBGTは、暑熱作業時の熱中症リスクや暑熱ストレスを評価する指標で、屋外だけでなく屋内作業環境にも用いられます。有効温度は、湿度100%、無風の環境に換算して体感を表す経験的な指標です。標準新有効温度は、気温、湿度、風速、熱放射、着衣量、代謝量を含む総合的な温熱環境指標です。不快指数は、気温と湿度から蒸し暑さによる不快感を評価する指標であり、気温を含む点を必ず押さえてください。
ひっかけポイント
この問題では、「温熱環境指数はどれも暑さを表すもの」という大まかな理解だけだと誤答しやすくなります。特に、不快指数について「人の不快感を表す指標」とだけ覚えていると、気温との関係を見落としやすいです。不快指数は感覚的な不快さを表すものですが、その計算や考え方には気温と湿度が関係します。また、黒球温度、WBGT、有効温度、標準新有効温度は、それぞれ含む要素が少しずつ異なります。試験では、「気温に関係なく」「湿度だけで」「熱放射だけで」のように、指標の構成要素をずらした表現が出されやすいため、各指標が何を評価し、どの要素を含むのかを整理して覚えることが大切です。