出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第22問
問題
衛生管理者が管理すべき業務として、法令上、定められていないものは次のうちどれか。ただし、次のそれぞれの業務のうち衛生に係る技術的事項に限るものとする。
(1) 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
(2) 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
(3) 衛生推進者の指揮に関すること。
(4) 労働者の衛生のための教育の実施に関すること。
(5) 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
第1種衛生管理者|衛生管理者の職務と管理業務の範囲を解説
衛生管理者の職務は、事業場における衛生に関する技術的事項を管理することです。具体的には、健康障害防止、衛生教育、作業環境管理、健康診断、労働災害の原因調査と再発防止など、労働者の健康保持に関わる幅広い業務が含まれます。答えは(3)です。衛生推進者は、一定規模未満の事業場で選任される者であり、衛生管理者が衛生推進者を指揮するという職務は法令上定められていません。
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(1) 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
適切です。その理由は、危険性又は有害性等の調査、つまりリスクアセスメントと、その結果に基づく措置は、安全衛生管理において重要な業務だからです。衛生管理者は、事業場の衛生に係る技術的事項を管理する立場にあります。たとえば、化学物質、作業環境、作業方法などにより労働者の健康に悪影響が生じるおそれがある場合、そのリスクを把握し、必要な改善措置につなげることが求められます。この選択肢では「衛生に係る技術的事項に限る」とされているため、衛生管理者の職務範囲に含まれます。
(2) 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
適切です。その理由は、安全衛生に関する方針の表明は、事業場全体の安全衛生活動の基本となる事項であり、衛生に係る技術的事項については衛生管理者の管理業務に関係するためです。安全衛生に関する方針は、事業者が労働者の安全と健康を守るためにどのような考え方で取り組むかを示すものです。衛生管理者自身が事業者に代わって最終的な経営方針を決定するわけではありませんが、衛生面の専門的立場から、方針の実施や管理に関わることは職務範囲に含まれます。
(3) 衛生推進者の指揮に関すること。
不適切です。その理由は、衛生管理者の職務として、衛生推進者を指揮することは法令上定められていないためです。衛生推進者は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する一定の事業場で選任される者です。一方、衛生管理者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任されます。つまり、衛生推進者と衛生管理者は、基本的に事業場規模に応じて置かれる別の制度上の役割です。衛生管理者が衛生推進者の上位者として指揮命令する関係が法令で定められているわけではありません。この点が本問の正答につながります。
(4) 労働者の衛生のための教育の実施に関すること。
適切です。その理由は、労働者の衛生教育は、衛生管理者が管理すべき衛生に関する技術的事項に含まれるためです。労働者が健康障害を防ぐためには、作業環境の危険性、有害物の取扱い、保護具の使用方法、健康診断の重要性などを理解しておく必要があります。衛生管理者は、こうした衛生教育が適切に行われるように管理し、必要に応じて専門的な助言を行う役割を担います。単に知識を伝えるだけでなく、職場で健康障害を起こさないための実践的な教育につなげることが重要です。
(5) 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
適切です。その理由は、労働災害の原因調査と再発防止対策は、安全衛生管理における重要な業務であり、衛生に係る技術的事項については衛生管理者の職務範囲に含まれるためです。たとえば、有害物へのばく露、作業環境の不備、過重労働、換気不足、保護具の不適切使用などが原因で健康障害が発生した場合、原因を調査し、同じ災害を繰り返さないための対策を講じる必要があります。衛生管理者は、職場の衛生面から原因を分析し、改善策の実施に関わる役割を担います。
この問題で覚えるポイント
衛生管理者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任され、衛生に係る技術的事項を管理する者です。職務には、健康障害を防止する措置、労働者の衛生教育、健康診断その他健康の保持増進のための措置、労働災害の原因調査と再発防止対策、作業環境の衛生上の調査、危険性又は有害性等の調査とその結果に基づく措置などが含まれます。試験では、衛生管理者の職務として「衛生に関する技術的事項かどうか」を判断することが重要です。衛生推進者は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する一定の事業場で選任される者であり、衛生管理者と同時に置かれる上下関係の職ではありません。衛生管理者が衛生推進者を指揮するという規定はないため、両者の選任規模と役割の違いを整理して覚えることが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、衛生管理者と衛生推進者という似た名称の制度を混同させる点にあります。どちらも職場の衛生管理に関係するため、衛生管理者のほうが上位で、衛生推進者を指揮するように感じてしまいやすいです。しかし、両者は上下関係ではなく、事業場の規模によって選任される制度が異なります。また、他の選択肢は「安全衛生」「労働災害」など広い表現を含んでいますが、問題文で「衛生に係る技術的事項に限る」と条件が付けられているため、衛生管理者の職務に含まれます。名称の印象だけで判断せず、法令上の職務として定められているか、そして衛生に係る技術的事項かを確認することが大切です。
