【第一種衛生管理者過去問】2025年4月公表問題|問1|製造業における衛生管理体制・産業医と衛生管理者の選任基準|関係法令(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第1問

問題

常時600人の労働者を使用する製造業の事業場における衛生管理体制に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。ただし、600人中には、製造工程において次の業務に常時従事する者がそれぞれに示す人数含まれているが、試験研究の業務はなく、他の有害業務はないものとし、衛生管理者及び産業医の選任の特例はないものとする。 深夜業を含む業務  300人 多量の低温物体を取り扱う業務  100人 特定化学物質のうち第三類物質を製造する業務  20人

(1) 衛生管理者は、3人以上選任しなければならない。

(2) 衛生管理者のうち1人を、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。

(3) 衛生管理者のうち少なくとも1人を、専任の衛生管理者としなければならない。

(4) 産業医としての法定の要件を満たしている医師で、この事業場に専属でないものを産業医として選任することができる。

(5) 特定化学物質作業主任者を選任しなければならない。

第1種衛生管理者|製造業における衛生管理体制・産業医と衛生管理者の選任基準を解説

常時600人を使用する製造業では、衛生管理者の人数、専任の要否、産業医の専属要件、有害業務に応じた作業主任者の選任を分けて判断します。答えは(2)です。衛生工学衛生管理者の選任が必要になる有害業務には、深夜業や多量の低温物体を取り扱う業務はそのまま該当しません。また、第三類物質を製造する業務では、衛生工学衛生管理者を必ず選任する要件にはなりません。

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(1) 衛生管理者は、3人以上選任しなければならない。

適切です。常時使用する労働者数が501人以上1,000人以下の事業場では、衛生管理者を3人以上選任する必要があります。この問題では常時600人の労働者を使用しているため、衛生管理者は3人以上必要です。業種が製造業であることや有害業務があることも重要ですが、まず人数基準として600人なら3人以上と判断します。

(2) 衛生管理者のうち1人を、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。

不適切です。衛生工学衛生管理者を必ず選任しなければならないのは、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、一定の有害業務に常時30人以上従事させている場合です。ただし、ここで対象となる有害業務は限定されています。多量の高熱物体を取り扱う業務、有害放射線業務、著しく粉じんを発散する場所での業務、異常気圧下の業務、有害物のガス・蒸気・粉じんを発散する場所での業務などが中心です。この問題では、多量の低温物体を取り扱う業務が100人、深夜業を含む業務が300人ありますが、これらは衛生工学衛生管理者を必ず選任させるための対象業務としてそのまま数えるものではありません。また、第三類物質を製造する業務はそもそも衛生工学衛生管理責任者の選任要件になりません。そのため、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者から選任しなければならない、という記述は誤りです。 衛生工学衛生管理者の選任要件(労働安全衛生規則 第7条)事業者が選任しなければならないのは、「常時500人以上の労働者を使用する事業場」のうち、以下の一定の有害業務に常時30人以上を従事させる場合です。坑内労働多量の高熱物体を取り扱う業務著しく暑熱な場所における業務多量の低温物体を取り扱う業務著しく寒冷な場所における業務ラジウム放射線等にさらされる業務土石、獣毛等のじんあいなどを著しく発散する場所における業務強烈な騒音を発する場所における業務病原体によって汚染されるおそれがある業務鉛、水銀等の特定化学物質や粉じんを発散する場所における業務(※物質による)

(3) 衛生管理者のうち少なくとも1人を、専任の衛生管理者としなければならない。

適切です。常時1,000人を超える労働者を使用する事業場では、少なくとも1人の衛生管理者を専任にする必要があります。また、常時500人を超える労働者を使用し、一定の有害業務に常時30人以上従事させる事業場でも、専任の衛生管理者が必要です。この問題では常時600人を使用し、多量の低温物体を取り扱う業務に100人が常時従事しています。多量の低温物体を取り扱う業務は、専任の衛生管理者を必要とする有害業務に該当するため、少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければなりません。

(4) 産業医としての法定の要件を満たしている医師で、この事業場に専属でないものを産業医として選任することができる。

適切です。産業医は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任が必要です。この問題では600人を使用しているため、産業医の選任は必要です。ただし、産業医を専属としなければならないのは、原則として常時1,000人以上の労働者を使用する事業場、または一定の有害業務に常時500人以上従事させる事業場です。この問題では労働者数は600人で1,000人未満です。また、有害業務従事者も、深夜業300人、多量の低温物体を取り扱う業務100人、第三類物質を製造する業務20人であり、専属産業医を要する基準には達しません。そのため、法定要件を満たす医師であれば、専属でない産業医を選任することができます。

(5) 特定化学物質作業主任者を選任しなければならない。

適切です。特定化学物質を製造し、または取り扱う作業については、作業方法の決定、労働者の指揮、保護具の使用状況の監視などを行わせるため、特定化学物質作業主任者を選任しなければなりません。この問題では、特定化学物質のうち第三類物質を製造する業務に20人が常時従事しています。第三類物質も特定化学物質に含まれるため、人数の多少にかかわらず、該当作業を行う場合には特定化学物質作業主任者の選任が必要です。

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この問題で覚えるポイント

衛生管理者の選任数は、事業場の常時使用労働者数で決まります。501人以上1,000人以下なら3人以上です。専任の衛生管理者は、常時1,000人超の事業場だけでなく、常時500人超で一定の有害業務に常時30人以上従事させる場合にも必要です。衛生工学衛生管理者を必ず含める要件は、専任衛生管理者の要件と似ていますが、対象となる有害業務が限定されている点に注意します。多量の低温物体を取り扱う業務は専任衛生管理者の判断では重要ですが、衛生工学衛生管理者を必ず選任する要件ではそのまま使えません。産業医は常時50人以上で選任が必要ですが、専属産業医は常時1,000人以上、または一定の有害業務に常時500人以上従事する場合に必要です。特定化学物質を製造または取り扱う作業では、特定化学物質作業主任者の選任が必要です。

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ひっかけポイント

この問題の大きな罠は、専任の衛生管理者が必要になる条件と、衛生工学衛生管理者を必ず選任する条件を混同させる点です。どちらも常時500人超や有害業務という言葉が関係するため、同じ基準だと思いやすいですが、対象となる有害業務の範囲が違います。特に、多量の低温物体を取り扱う業務は、専任衛生管理者の判断では使える一方で、衛生工学衛生管理者の必須要件ではそのまま使えない点が狙われています。また、第三類物質を製造する業務が出てくるため、特定化学物質という言葉に引っ張られて衛生工学衛生管理者が必要だと判断しやすくなっています。しかし、この設問では人数が20人であり、30人以上という条件にも達していません。似た制度名と似た人数基準が並ぶ問題では、どの制度の、どの人数基準を見ているのかを分けて確認することが重要です。

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