【第一種衛生管理者過去問】2023年10月公表問題|問28|健康診断項目と血液検査数値の基礎知識|労働衛生(有害業務以外)を解説

出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第28問

問題

健康診断における検査項目に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) HDLコレステロールは、善玉コレステロールとも呼ばれ、低値であることは動脈硬化の危険因子となる。

(2) γ−GTPは、正常な肝細胞に含まれている酵素で、肝細胞が障害を受けると血液中に流れ出し、特にアルコールの摂取で高値を示す特徴がある。

(3) ヘモグロビンA1cは、血液1µL中に含まれるヘモグロビンの数を表す値であり、貧血の有無を調べるために利用される。

(4) 尿素窒素(BUN)は、腎臓から排泄(せつ)される老廃物の一種で、腎臓の働きが低下すると尿中に排泄されず、血液中の値が高くなる。

(5) 血清トリグリセライド(中性脂肪)は、食後に値が上昇する脂質で、内臓脂肪が蓄積している者において、空腹時にも高値が持続することは動脈硬化の危険因子となる。

第1種衛生管理者|健康診断項目と血液検査数値の基礎知識を解説

健康診断の検査項目では、数値が何を反映しているのかを正しく結び付けて覚えることが重要です。答えは(3)です。ヘモグロビンA1cは、過去1〜2か月程度の血糖状態を反映する糖尿病関連の指標であり、貧血の有無を直接調べるための検査ではありません。貧血の確認に用いられる代表的な項目は、血色素量、赤血球数、ヘマトクリット値などです。

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(1) HDLコレステロールは、善玉コレステロールとも呼ばれ、低値であることは動脈硬化の危険因子となる。

適切です。HDLコレステロールは、血管壁などにたまった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ働きがあります。この働きにより動脈硬化を防ぐ方向に作用するため、一般に善玉コレステロールと呼ばれます。HDLコレステロールが低い状態では、余分なコレステロールの回収が不十分になりやすく、動脈硬化の危険因子となります。LDLコレステロールが高いこと、中性脂肪が高いこととあわせて、脂質異常症に関する基本事項として押さえておくとよいです。

(2) γ−GTPは、正常な肝細胞に含まれている酵素で、肝細胞が障害を受けると血液中に流れ出し、特にアルコールの摂取で高値を示す特徴がある。

適切です。γ−GTPは肝臓や胆道系に関係する酵素で、肝機能検査の項目として用いられます。肝細胞や胆道に障害があると血液中の値が上昇しやすく、特に飲酒習慣の影響を受けやすい検査項目です。アルコール性肝障害では高値を示しやすいため、健康診断では飲酒量や肝機能の状態をみる手がかりになります。ただし、γ−GTPだけで病気を確定するわけではなく、AST、ALTなど他の肝機能項目とあわせて評価されます。

(3) ヘモグロビンA1cは、血液1µL中に含まれるヘモグロビンの数を表す値であり、貧血の有無を調べるために利用される。

不適切です。ヘモグロビンA1cは、赤血球中のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を示す検査項目です。血液1µL中のヘモグロビンの数を表すものではありません。また、貧血の有無を調べる主な指標でもありません。ヘモグロビンA1cは、過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映するため、糖尿病の診断や血糖コントロール状態の確認に利用されます。貧血の確認では、血色素量、赤血球数、ヘマトクリット値などをみるのが基本です。ここでは、ヘモグロビンという言葉から貧血と結び付けてしまうことが誤りの原因になります。

(4) 尿素窒素(BUN)は、腎臓から排泄(せつ)される老廃物の一種で、腎臓の働きが低下すると尿中に排泄されず、血液中の値が高くなる。

適切です。尿素窒素(BUN)は、たんぱく質が体内で分解される過程で生じる老廃物に関係する検査項目です。通常は腎臓でろ過され、尿中へ排泄されます。腎機能が低下すると、尿中への排泄が十分に行われにくくなり、血液中に尿素窒素がたまりやすくなります。そのため、BUNは腎機能の状態をみる指標の一つとして用いられます。腎機能ではクレアチニンも重要で、BUNとあわせて出題されることがあります。

(5) 血清トリグリセライド(中性脂肪)は、食後に値が上昇する脂質で、内臓脂肪が蓄積している者において、空腹時にも高値が持続することは動脈硬化の危険因子となる。

適切です。血清トリグリセライドは中性脂肪のことで、食事の影響を受けやすく、食後に値が上昇します。内臓脂肪が蓄積している場合や代謝異常がある場合には、空腹時でも高値が続くことがあります。中性脂肪が高い状態は脂質異常症の一つであり、動脈硬化の危険因子になります。特に、低HDLコレステロール、高LDLコレステロール、高トリグリセライドは、動脈硬化に関する健康診断項目としてセットで理解しておくと判断しやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

健康診断の血液検査では、検査項目名と評価対象を正しく結び付けることが重要です。HDLコレステロールは善玉コレステロールで、低値が動脈硬化の危険因子になります。LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、高値が動脈硬化の危険因子になります。血清トリグリセライドは中性脂肪で、食後に上昇しやすく、空腹時にも高値が続く場合は動脈硬化の危険因子になります。γ−GTPは肝機能や胆道系に関係する酵素で、特に飲酒の影響で高値を示しやすい項目です。BUNは尿素窒素で、腎臓から排泄される老廃物に関係し、腎機能が低下すると血液中で高値になりやすいです。ヘモグロビンA1cは糖が結合したヘモグロビンの割合を示し、過去1〜2か月程度の血糖状態を反映する糖尿病関連の指標です。貧血の有無をみる代表的な項目は、血色素量、赤血球数、ヘマトクリット値です。ヘモグロビンA1cは名前にヘモグロビンと入っていますが、貧血ではなく血糖管理の指標として覚えることが正誤判断に直結します。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、ヘモグロビンA1cに含まれるヘモグロビンという言葉から、貧血の検査項目だと誤解させる点です。ヘモグロビンそのものは貧血と関係しますが、ヘモグロビンA1cは糖が結合したヘモグロビンの割合を示すため、血糖状態や糖尿病の評価に使われます。このように、検査項目は名前の一部だけで判断すると誤答につながります。また、HDL、γ−GTP、BUN、トリグリセライドはいずれも日常の健康診断で見かける項目ですが、それぞれ脂質、肝機能、腎機能、糖代謝のどれに関係するかを整理していないと混同しやすくなります。試験では「一部の言葉は正しいが、利用目的が違う」という形で誤りが作られることが多いため、項目名、意味、異常値が示す方向性をセットで覚えることが大切です。

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