出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第9問
問題
法令に基づき定期に行う作業環境測定とその測定頻度との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1) 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場の気温、湿度及びふく射熱の測定 ―――― 半月以内ごとに1回
(2) 通気設備が設けられている坑内の作業場における通気量の測定 ―――――――――――――――――― 半月以内ごとに1回
(3) 非密封の放射性物質を取り扱う作業室における空気中の放射性物質の濃度の測定 ―――――――――― 1か月以内ごとに1回
(4) 鉛ライニングの業務を行う屋内作業場における空気中の鉛濃度の測定 ――――――――――――――― 6か月以内ごとに1回
(5) 常時特定粉じん作業を行う屋内作業場における空気中の粉じん濃度の測定 ――――――――――――― 6か月以内ごとに1回
第1種衛生管理者|作業環境測定の種類と測定頻度一覧を解説
作業環境測定は、有害な作業環境において、労働者の健康障害を防止するために定期的に実施する測定です。答えは(4)です。鉛ライニングの業務を行う屋内作業場における空気中の鉛濃度の測定は、6か月以内ごとではなく、1年以内ごとに1回行うものです。作業環境測定の頻度は、対象となる有害因子ごとに異なるため、「有害業務だからすべて6か月以内ごと」と覚えると誤答しやすい分野です。
(1) 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場の気温、湿度及びふく射熱の測定 ―――― 半月以内ごとに1回
適切です。著しい高温環境で行われる作業では、熱中症や体温調節機能への負担を防ぐため、作業場の気温、湿度及びふく射熱を定期的に測定する必要があります。溶融ガラスからガラス製品を成型する業務は、高温物体からのふく射熱を受けやすい代表的な作業です。このような屋内作業場では、作業環境の変化が労働者の身体に直接影響するため、測定頻度は半月以内ごとに1回とされています。高温作業では、温度だけでなく、湿度やふく射熱も重要な判断材料になる点を押さえておくとよいです。
(2) 通気設備が設けられている坑内の作業場における通気量の測定 ―――――――――――――――――― 半月以内ごとに1回
適切です。坑内作業場では、空気の流れが不十分になると、酸素不足、有害ガスの滞留、粉じんの蓄積などが起こりやすくなります。そのため、通気設備が設けられている坑内の作業場では、通気量を定期的に測定し、作業環境が安全に保たれているか確認する必要があります。測定頻度は半月以内ごとに1回です。坑内は閉鎖性が高く、空気環境の悪化が重大な健康障害につながりやすいため、比較的短い間隔で測定するものとして整理しておくと理解しやすいです。
(3) 非密封の放射性物質を取り扱う作業室における空気中の放射性物質の濃度の測定 ―――――――――― 1か月以内ごとに1回
適切です。非密封の放射性物質を取り扱う作業室では、放射性物質が空気中に飛散し、吸入による内部被ばくにつながるおそれがあります。そのため、空気中の放射性物質の濃度を定期的に測定し、作業環境が安全な状態に保たれているかを確認します。この測定は、1か月以内ごとに1回行うものです。放射性物質については、外部被ばくだけでなく、空気中濃度を通じた内部被ばくのリスク管理が重要になります。
(4) 鉛ライニングの業務を行う屋内作業場における空気中の鉛濃度の測定 ――――――――――――――― 6か月以内ごとに1回
不適切です。鉛ライニングの業務を行う屋内作業場では、空気中の鉛濃度を測定する必要がありますが、測定頻度は6か月以内ごとに1回ではなく、1年以内ごとに1回です。鉛業務では、鉛の粉じんやヒュームを吸入することで鉛中毒が生じるおそれがあるため、作業環境の管理が必要です。ただし、作業環境測定の頻度は対象業務ごとに細かく定められており、鉛濃度の測定を特定化学物質や粉じんの測定頻度と混同しないことが大切です。この選択肢は、頻出の「6か月以内ごと」という数字に引き寄せて誤答させる問題です。
(5) 常時特定粉じん作業を行う屋内作業場における空気中の粉じん濃度の測定 ――――――――――――― 6か月以内ごとに1回
適切です。常時特定粉じん作業を行う屋内作業場では、空気中の粉じん濃度を6か月以内ごとに1回測定する必要があります。粉じんを長期間吸入すると、じん肺などの健康障害を引き起こすおそれがあります。特に特定粉じん作業では、粉じんの発生や飛散を管理し、労働者のばく露を低減することが重要です。粉じん濃度の測定は、作業環境管理の基本となるため、6か月以内ごとに1回という頻度を確実に覚えておくとよいです。
この問題で覚えるポイント
作業環境測定の頻度は、有害業務の種類ごとに異なります。高温作業における気温、湿度及びふく射熱の測定は半月以内ごとに1回、通気設備がある坑内作業場の通気量の測定も半月以内ごとに1回です。非密封の放射性物質を取り扱う作業室の空気中放射性物質濃度は1か月以内ごとに1回です。常時特定粉じん作業を行う屋内作業場の粉じん濃度は6か月以内ごとに1回です。鉛ライニング業務を行う屋内作業場の空気中鉛濃度は1年以内ごとに1回です。試験では、測定対象そのものよりも「何を、どのくらいの頻度で測定するか」が問われます。特に、半月以内ごと、1か月以内ごと、6か月以内ごと、1年以内ごとの区別を整理しておくことが重要です。すべての有害業務が同じ頻度ではないため、作業名と測定項目と頻度をセットで覚えることが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「有害業務の作業環境測定は6か月以内ごとに1回」という大ざっぱな記憶に頼らせる点です。粉じん濃度や一部の有害物質の測定では6か月以内ごとに1回がよく出るため、受験者は鉛濃度の測定にも同じ頻度を当てはめてしまいやすくなります。しかし、鉛ライニング業務における空気中鉛濃度の測定は1年以内ごとに1回です。また、高温作業や坑内の通気量は半月以内ごと、非密封放射性物質の空気中濃度は1か月以内ごとであり、数字が細かく分かれています。このテーマでは、作業内容がそれらしく正しく見えても、測定頻度だけがすり替えられていることがあります。問題文では「測定対象は正しいが、頻度が誤っている」という形で出題されやすいため、作業名だけで判断せず、最後の頻度まで確認することが大切です。
