出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物衛生行政概論第18問
問題
水質汚濁防止法の目的に関する次の条文の記号に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。
この法律は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、【ア】の実施を推進すること等によって、公共用水域及び地下水の水質の汚濁の防止を図り、もって国民の健康を保護するととも【イ】し、に並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における【ウ】について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
ア イ ウ
(1) 生活排水対策-生活環境を保全-事業者の損害賠償の責任
(2) 下水対策-生活環境を保全-緊急時の措置
(3) 生活排水対策-生活環境を保全-緊急時の措置
(4) 下水対策-衛生水準を維持-緊急時の措置
(5) 生活排水対策-衛生水準を維持-事業者の損害賠償の責任
ビル管過去問|水質汚濁防止法の目的条文を解説
この問題は、水質汚濁防止法の目的条文に入る語句を問う問題です。水質汚濁防止法は、工場や事業場からの排水、地下浸透水の規制に加えて、生活排水対策の推進も目的に含めています。また、国民の健康保護だけでなく生活環境の保全を図り、健康被害が生じた場合の事業者の損害賠償責任についても定めています。したがって、正しい選択肢は(1)です。

(1) 生活排水対策-生活環境を保全-事業者の損害賠償の責任
適切です。水質汚濁防止法の目的条文では、工場及び事業場からの排水や地下浸透水を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進することが定められています。また、水質汚濁の防止によって、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することが目的とされています。さらに、工場及び事業場から排出される汚水や廃液によって人の健康被害が生じた場合には、事業者の損害賠償責任を定めることで被害者を保護する仕組みになっています。条文の流れにすべて合っているため、正しい組合せです。
(2) 下水対策-生活環境を保全-緊急時の措置
不適切です。生活環境を保全という部分は正しいですが、アとウが誤りです。水質汚濁防止法の目的条文で推進するとされているのは、下水対策ではなく生活排水対策です。また、健康被害が生じた場合に定めるものは、緊急時の措置ではなく事業者の損害賠償の責任です。緊急時の措置は水質汚濁防止法に関連する制度として登場しますが、目的条文のこの部分に入る語句ではありません。
(3) 生活排水対策-生活環境を保全-緊急時の措置
不適切です。アの生活排水対策、イの生活環境を保全は正しいです。しかし、ウが誤りです。条文では、工場及び事業場から排出される汚水及び廃液により人の健康被害が生じた場合について、事業者の損害賠償の責任を定めるとされています。緊急時の措置は、事故や異常時などに被害拡大を防ぐための対応を連想させる語句ですが、ここでは被害者保護のための損害賠償責任が問われています。
(4) 下水対策-衛生水準を維持-緊急時の措置
不適切です。ア、イ、ウのすべてが条文の語句と異なります。水質汚濁防止法の目的条文では、下水対策ではなく生活排水対策、衛生水準を維持ではなく生活環境を保全、緊急時の措置ではなく事業者の損害賠償の責任が入ります。衛生水準の維持という表現はもっともらしく見えますが、水質汚濁防止法の目的としては、健康保護と生活環境の保全という表現を押さえる必要があります。
(5) 生活排水対策-衛生水準を維持-事業者の損害賠償の責任
不適切です。アの生活排水対策とウの事業者の損害賠償の責任は正しいですが、イが誤りです。水質汚濁防止法の目的条文では、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全するとされています。衛生水準を維持という表現は、水環境や公衆衛生のイメージに近いため迷いやすいですが、条文上の正しい語句は生活環境を保全です。
この問題で覚えるポイント
水質汚濁防止法の目的は、公共用水域と地下水の水質汚濁を防止することです。公共用水域とは、河川、湖沼、港湾、沿岸海域など、公共の利用に供される水域を指します。工場や事業場からの排水規制だけでなく、地下に浸透する水の規制も対象になります。 目的条文では、生活排水対策の実施を推進することも重要です。水質汚濁の原因は工場排水だけではなく、家庭などから出る生活排水も関係するためです。試験では、下水対策や排水処理対策といった似た語句に置き換えられることがありますが、目的条文で押さえるべき語句は生活排水対策です。 水質汚濁防止法は、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的としています。健康保護は人体への影響を防ぐ観点であり、生活環境の保全は水辺の環境、農業用水、漁業、景観、日常生活への影響を防ぐ観点です。衛生水準を維持という表現ではありません。 健康被害が生じた場合については、事業者の損害賠償の責任が定められています。これは、汚水や廃液により人の健康に被害が発生した場合、被害者を保護するための制度です。目的条文では、緊急時の措置ではなく、被害発生後の救済に関わる損害賠償責任が問われている点を押さえてください。
ひっかけポイント
この問題の大きなひっかけは、条文に出てきそうな自然な言葉が混ぜられている点です。下水対策、衛生水準を維持、緊急時の措置はいずれも環境衛生分野では違和感のない表現ですが、水質汚濁防止法の目的条文に入る正確な語句ではありません。 特に、生活排水対策と下水対策の混同に注意が必要です。下水道は生活排水を処理する重要な仕組みですが、法律の目的条文で使われている表現は生活排水対策です。具体的な施設名や処理手段ではなく、生活排水全体への対策を指していると考えると覚えやすいです。 また、生活環境を保全と衛生水準を維持の混同も起こりやすいです。水質汚濁防止法では、国民の健康保護と生活環境の保全がセットで問われます。環境法令では生活環境という用語がよく使われるため、日常的に聞き慣れた衛生水準という言葉に引っ張られないことが大切です。 さらに、事業者の損害賠償の責任と緊急時の措置の混同にも注意してください。緊急時の措置は事故対応を連想させるため、汚水や廃液による被害の場面に合っているように見えます。しかし、条文の最後は被害者の保護を図ることを目的としており、そのために定められているのは事業者の損害賠償責任です。条文問題では、意味が近そうな言葉ではなく、法律上の決まった表現を正確に選ぶことが重要です。