出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|空気環境の調整第55問
問題
室内汚染物質とその発生源との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) アセトアルデヒド ―――― 加熱式たばこ
(2) 窒素酸化物 ――――――― 開放型燃焼器具
(3) オゾン ――――――――― レーザープリンタ
(4) ラドン ――――――――― 石材
(5) フェノブカルブ ――――― 接着剤
ビル管過去問|室内汚染物質と発生源の組み合わせを解説
この問題は、室内でみられる代表的な汚染物質と、その主な発生源との対応関係を問う問題です。室内空気汚染の分野では、物質名だけでなく、どこから発生しやすいかを結び付けて覚えることが大切です。正しい組合せとしては、アセトアルデヒドと加熱式たばこ、窒素酸化物と開放型燃焼器具、オゾンとレーザープリンタ、ラドンと石材が挙げられます。一方、フェノブカルブは主に防虫剤や殺虫剤に関係する物質であり、接着剤を発生源とする組合せは不適当です。そのため、正答は(5)です。
(1) アセトアルデヒド ―――― 加熱式たばこ
適切です。アセトアルデヒドは揮発性有機化合物の一つで、たばこ煙に含まれる代表的な有害物質です。加熱式たばこは紙巻たばこに比べて燃焼を伴わないものの、まったく無害ではなく、使用時にはニコチンやアルデヒド類などの化学物質が発生します。アセトアルデヒドはその一つとして知られており、室内空気汚染の原因となります。試験では、加熱式たばこだから安全と考えてしまうと誤りやすいですが、実際には化学物質の発生源として理解しておく必要があります。
(2) 窒素酸化物 ――――――― 開放型燃焼器具
適切です。窒素酸化物は、燃焼によって発生する代表的な室内汚染物質です。特に開放型燃焼器具は、燃焼で生じたガスを屋外へ十分に排出せず、そのまま室内へ放出する構造であるため、窒素酸化物や一酸化炭素などが室内に蓄積しやすくなります。ガスストーブや石油ストーブなどは、換気が不十分な環境では空気汚染の原因となります。燃焼器具に関する問題では、汚染物質として窒素酸化物と一酸化炭素を結び付けて覚えると整理しやすいです。
(3) オゾン ――――――――― レーザープリンタ
適切です。オゾンは、複写機やレーザープリンタなどの機器で高電圧がかかる過程において発生することがあります。オゾンは酸化力が強く、高濃度では呼吸器や粘膜への刺激となるため、室内環境上注意すべき物質です。現在の機器では対策が進んでいるものの、発生源としての基本知識は試験上重要です。室内空気汚染では、オゾンは燃焼器具ではなく、事務機器や放電を伴う装置と関連付けて理解することがポイントです。
(4) ラドン ――――――――― 石材
適切です。ラドンは自然界に存在する放射性物質で、地中や岩石、石材などに含まれるウラン系列の壊変によって生じます。建材や地下空間などから室内へ入り込むことがあり、換気が不十分な環境では濃度が高くなる場合があります。ラドンは化学物質というより放射性ガスとして理解する必要があり、喫煙や燃焼器具とは異なる性質の発生源をもつ点が特徴です。石材との組合せは自然由来の汚染源として妥当です。
(5) フェノブカルブ ――――― 接着剤
不適切です。フェノブカルブは殺虫剤成分として用いられる化学物質であり、主に防虫剤や農薬、シロアリ対策などに関連する物質です。そのため、接着剤を主な発生源とするのは適当ではありません。接着剤から問題となりやすいのは、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物です。ここで重要なのは、化学物質の名前だけを暗記するのではなく、接着剤に多い物質と、防虫剤や殺虫剤に多い物質を分けて覚えることです。フェノブカルブを接着剤と結び付けてしまうと、類似した室内汚染問題でも誤答しやすくなります。
この問題で覚えるポイント
室内汚染物質は、物質名と発生源を対で覚えることが重要です。燃焼に由来するものとしては、窒素酸化物や一酸化炭素が代表的で、開放型燃焼器具や喫煙が発生源になります。建材や接着剤に由来するものとしては、ホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有機化合物が重要です。事務機器に関連するものとしては、複写機やレーザープリンタからのオゾンがあります。さらに、自然由来の汚染物質としてラドンがあり、地盤や石材、コンクリートなどとの関係が問われます。殺虫剤や防虫剤に関係する化学物質にはフェノブカルブなどがあり、接着剤由来の物質とは区別して理解することが必要です。試験では、接着剤ならホルムアルデヒド、燃焼器具なら窒素酸化物、事務機器ならオゾン、自然由来ならラドンというように、発生源ごとの代表物質を整理しておくと正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、実際に室内で使われる建材や薬剤、機器がすべて室内汚染に関係するため、どの組合せも一見もっともらしく見える点にあります。特に接着剤は多くの化学物質を放散する印象が強いため、聞き慣れない化学物質名まで接着剤由来だと思い込んでしまいやすいです。しかし、接着剤に多いのは主に揮発性有機化合物であり、フェノブカルブのような殺虫剤成分とは性質も用途も異なります。また、レーザープリンタとオゾン、石材とラドンのように、日常では結び付きにくい組合せも出題されやすいため、身近な感覚ではなく、発生機序に基づいて覚えることが大切です。試験では、似たように見える化学物質を用途別に整理できるかどうかが得点差につながります。
