出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|空気環境の調整第52問
問題
換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 単位時間当たりに室内の入れ替わる新鮮空気(外気)量を換気量という。
(2) 空気交換効率とは、室内にある空気が、いかに効果的に新鮮空気と入れ替わるかを示す尺度をいう。
(3) 1時間に窓を開ける回数を換気回数という。
(4) 外気が給気口から室内の任意の点に移動するのにかかる平均時間を、局所平均空気齢という。
(5) ある汚染物質の室内濃度を、その基準値に維持するために必要な換気量のことを必要換気量という。
ビル管過去問|換気の基礎知識|換気量・換気回数・空気齢・必要換気量を解説
この問題は、換気に関する基本用語の意味を正しく理解しているかを問う問題です。換気量、換気回数、空気交換効率、局所平均空気齢、必要換気量はいずれもビル管試験で頻出の重要語句です。正しい選択肢は、換気回数を「1時間に窓を開ける回数」としているものです。換気回数とは窓の開閉回数ではなく、1時間当たりに室内空気が何回入れ替わるかを示す値です。用語の定義を正確に覚えておくことが正答への近道です。
(1) 単位時間当たりに室内の入れ替わる新鮮空気(外気)量を換気量という。
適切です。換気量とは、ある時間当たりに室内へ供給され、また室内から排出される空気の量をいいます。通常はm3/hなどで表されます。室内の空気環境を維持するうえで、二酸化炭素や臭気、熱、水蒸気、各種汚染物質を薄めたり排出したりするための基本的な指標です。問題文の表現である「単位時間当たりに室内の入れ替わる新鮮空気量」という説明は、換気量の意味を適切に表しています。
(2) 空気交換効率とは、室内にある空気が、いかに効果的に新鮮空気と入れ替わるかを示す尺度をいう。
適切です。空気交換効率は、室内の空気がどれくらい効率よく新鮮空気と置き換わっているかを示す考え方です。単に換気量が多ければよいわけではなく、給気した新鮮空気が室内全体にうまく行き渡り、汚れた空気が滞留せず排出されることが重要です。たとえば、給気口の近くばかり空気が入れ替わり、部屋の隅に汚れた空気が残るようでは、換気量があっても効率のよい換気とはいえません。そのため、空気交換効率は換気設備の性能を考えるうえで大切な指標です。
(3) 1時間に窓を開ける回数を換気回数という。
不適切です。換気回数とは、1時間当たりに室内空気が何回入れ替わるかを示す値です。通常は「回/h」で表され、換気量を室内容積で割って求めます。つまり、換気回数は窓を何回開けたかという行為の回数ではありません。たとえば、機械換気設備によって連続的に外気を取り入れている場合でも、換気回数は成立します。日常感覚では「換気する」と聞くと窓の開閉を思い浮かべやすいですが、試験で問われる換気回数は、室内空気の入れ替わりの割合を示す専門用語です。ここを混同すると誤答しやすいため注意が必要です。
(4) 外気が給気口から室内の任意の点に移動するのにかかる平均時間を、局所平均空気齢という。
適切です。局所平均空気齢とは、給気口から入った新鮮空気が、室内のある地点に到達するまでに要する平均的な時間を表す概念です。空気齢が小さいほど、その地点には新鮮空気が早く届いていることを意味します。逆に空気齢が大きい場所は、空気がよどみやすく、換気が不十分な可能性があります。室内のどの位置で空気が新しいか、あるいは古いかを評価するために使われる重要な指標であり、換気の質を考えるうえで役立ちます。
(5) ある汚染物質の室内濃度を、その基準値に維持するために必要な換気量のことを必要換気量という。
適切です。必要換気量とは、室内で発生する二酸化炭素、臭気、有害物質などの濃度を、許容される基準値以下に保つために必要な換気量をいいます。つまり、単に空気を入れ替えるのではなく、汚染物質の発生量と許容濃度に応じて決まる実用的な値です。室内で人が多く活動するほど二酸化炭素の発生量は増えますし、汚染源があればそれに応じてより多くの換気が必要になります。そのため、必要換気量は空気環境設計の基本になる重要な考え方です。
この問題で覚えるポイント
換気量とは、単位時間当たりに出入りする空気の量であり、一般にm3/hで表します。換気回数とは、1時間当たりに室内空気が何回入れ替わるかを示す値で、換気量を室内容積で割って求めます。換気回数は窓の開閉回数ではなく、室内空気の入れ替わりの程度を示す専門用語です。空気交換効率は、新鮮空気が室内全体にどれだけ効果的に行き渡るかを示す尺度であり、換気量の多さだけでは評価できません。局所平均空気齢は、給気された空気が室内のある地点に到達するまでの平均時間を表し、小さいほど新鮮空気が届きやすいことを意味します。必要換気量は、室内で発生する汚染物質の濃度を基準値以下に保つために必要な換気量であり、発生量と許容濃度の関係から考えます。試験では、換気量と換気回数、空気齢と空気交換効率のように、似ているが意味の異なる用語を区別できることが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、日常語としての「換気」と、設備・環境工学で使う専門用語としての「換気回数」を意図的に混同させている点にあります。日常生活では、窓を開ける行為そのものを換気と呼ぶため、「1時間に窓を開ける回数」という表現は一見もっともらしく見えます。しかし、試験でいう換気回数は、行為の回数ではなく、室内空気の入れ替わり率です。問題作成者は、受験者が言葉の雰囲気で判断してしまうことを狙っています。また、空気交換効率や局所平均空気齢のようなやや抽象的な用語は、厳密な定義を知らないと消去法で誤りやすくなります。今後も、普段使う言葉に引きずられず、専門用語は定義そのものを覚える意識を持つことが大切です。
