出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|清掃第164問
問題
建築物内廃棄物の貯留・排出方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 真空収集方式は、容器方式より所要人数が少ない。
(2) コンパクタ・コンテナ方式は、貯留・排出機方式より作業性が優れている
(3) 容器方式は、他の方式と比較して設置スペースが少ない点で優れている。
(4) コンパクタ・コンテナ方式は、他の方式と比較してランニングコストが優れている。
(5) 容器方式は、他の方式と比較して初期コストが優れている。
ビル管過去問|建築物内廃棄物の貯留・排出方式 容器方式・真空収集・コンパクタ方式を解説
この問題は、建築物内で発生する廃棄物をどのように貯留し、排出するかという各方式の特徴を比較して理解しているかを問う問題です。ポイントは、容器方式、真空収集方式、コンパクタ・コンテナ方式、貯留・排出機方式について、必要な人員、設置スペース、作業性、初期コスト、ランニングコストの違いを整理して覚えているかどうかです。正解は(3)で、容器方式は設備が簡単で初期コストが低いという長所がありますが、多数の容器を置く必要があり、設置スペースの面ではむしろ不利になりやすいです。他の選択肢は、各方式の一般的な特徴と合致しているため適切です。
(1) 真空収集方式は、容器方式より所要人数が少ない。
適切です。真空収集方式は、配管と吸引設備を用いて廃棄物を集中的に搬送する方式です。人が容器を持ち運んだり、各所から手作業で集めたりする負担が少なくなるため、容器方式に比べて必要な作業人数を減らしやすいです。特に大規模建築物では、各階や各区画から効率よく収集できるため、省力化の面で有利です。ただし、設備が大がかりになるため、初期投資や維持管理には注意が必要です。
(2) コンパクタ・コンテナ方式は、貯留・排出機方式より作業性が優れている
適切です。コンパクタ・コンテナ方式は、廃棄物を圧縮してコンテナ内に効率よく貯留する方式であり、容積を減らしながら搬出作業をしやすくする特徴があります。圧縮によって廃棄物のかさが減るため、搬出回数を少なくでき、作業動線も整理しやすくなります。貯留・排出機方式も機械化された方式ですが、コンパクタ・コンテナ方式は収集後の搬出までを比較的スムーズに処理しやすく、実務上の作業性に優れると考えられています。試験では、それぞれの方式の名称だけでなく、実際の運用のしやすさまで結びつけて覚えることが大切です。
(3) 容器方式は、他の方式と比較して設置スペースが少ない点で優れている。
不適切です。これが正解です。容器方式は、最も基本的で単純な方式であり、特別な機械設備をほとんど必要としないため、初期コストの面では有利です。しかし、廃棄物を容器ごとに保管するため、廃棄物量が多い建築物では多くの容器を並べる必要があり、相応の保管スペースが必要になります。そのため、設置スペースが少ない点で優れているとはいえません。むしろ、機械設備を用いて圧縮や集約を行う方式のほうが、単位体積当たりの保管効率が高くなり、結果としてスペースを有効活用しやすい場合があります。容器方式は簡便で導入しやすい一方、スペース効率には限界があると理解しておくことが重要です。
(4) コンパクタ・コンテナ方式は、他の方式と比較してランニングコストが優れている。
適切です。コンパクタ・コンテナ方式は、廃棄物を圧縮することで体積を減らし、収集回数や搬出回数を抑えやすいという長所があります。その結果、運搬費や人件費などの日常的な運用コストを下げやすく、ランニングコストの面で有利になることがあります。もちろん、機械設備の保守費用はかかりますが、大量の廃棄物を扱う施設では、全体として効率的な運用につながりやすいです。試験では、初期コストが高くても、運転開始後の維持費が抑えられる方式があることを区別しておくと正誤判断しやすくなります。
(5) 容器方式は、他の方式と比較して初期コストが優れている。
適切です。容器方式は、専用の大規模機械設備や配管設備を必要とせず、比較的簡単な容器類を用いて運用できるため、導入時の費用を低く抑えやすい方式です。小規模な建築物や、廃棄物発生量がそれほど多くない施設では、まずこの方式が採用されやすい理由の一つでもあります。ただし、初期コストが低いことと、作業効率や省スペース性が高いことは別です。試験では、このように一つの長所だけを見て他の性能まで良いと誤解しないことが大切です。
この問題で覚えるポイント
建築物内廃棄物の貯留・排出方式は、それぞれで初期コスト、ランニングコスト、必要人員、作業性、設置スペースが異なります。容器方式は最も基本的な方式で、設備が簡単なため初期コストが低い点が長所です。その反面、容器を多数配置する必要があり、作業に人手がかかりやすく、スペース効率にも限界があります。真空収集方式は配管と吸引設備を使って廃棄物を搬送するため、省力化しやすく、大規模建築物で有効です。ただし、初期設備費は高くなります。コンパクタ・コンテナ方式は廃棄物を圧縮して容積を減らせるため、保管効率や搬出効率が高く、運用面で有利になりやすいです。したがって、初期コストは容器方式、運用効率や省力化は真空収集方式やコンパクタ・コンテナ方式が有利、というように整理すると覚えやすいです。試験では、どの方式にも長所と短所があることを前提に、何の観点で比較しているのかを意識して判断することが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、容器方式について「簡単で安い」というイメージから、あらゆる面で優れているように感じてしまうことです。実際には、初期コストの低さと設置スペースの少なさは別の話です。設備が簡単でも、廃棄物をそのまま容器でためる以上、一定の保管場所が必要になります。ここで、設備が小さいことと、全体の必要スペースが少ないことを混同すると誤答しやすくなります。また、コンパクタ・コンテナ方式のように、機械設備がある方式は一見コストが高そうに見えますが、ランニングコストや作業効率では有利になることがあります。試験では、見た目の印象や日常感覚で判断せず、初期コスト、維持費、人員、省スペース性という比較軸を分けて考えることが、ひっかけを避けるコツです。
