【ビル管過去問】令和4年度 問題160|建築物内廃棄物 各関係者の役割分担と管理体制を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|清掃第160問

問題

建築物内廃棄物の各関係者の基本的役割に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) ビル入居者は、廃棄物処理のルールを徹底させるため責任者を選任する。

(2) ビル入居者は、廃棄物の減量化・減容化に努める。

(3) 廃棄物処理業者は、分別可能廃棄物を明確化する。

(4) ビルメンテナンス事業者は、建築物内廃棄物の処理に必要な容器、集積場所、保管場所等を適切に準備する。

(5) ビルメンテナンス事業者は、必要な場合に建築物内廃棄物の事後分別を行う。

ビル管過去問|建築物内廃棄物 各関係者の役割分担と管理体制を解説

この問題は、建築物内廃棄物の管理において、誰が何を担うのかという役割分担の理解を問う問題です。廃棄物管理では、排出する側、建物を維持管理する側、実際に収集や処理を行う側の役割を混同しないことが重要です。正答は(4)です。ビルメンテナンス事業者は清掃や集積、建物内での運用補助を担いますが、処理に必要な容器や集積場所、保管場所などを適切に準備する主体は、原則として建物所有者や管理者側です。(1)(2)(3)(5)は、建築物内廃棄物の適正処理を進める上で、それぞれの立場に応じた役割として妥当です。

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(1) ビル入居者は、廃棄物処理のルールを徹底させるため責任者を選任する。

適切です。ビル内で発生する廃棄物は、実際には各入居者が日常的に排出しています。そのため、分別方法や排出時間、保管方法などのルールを現場で徹底するには、入居者側に責任者や担当者を置くことが有効です。責任者を定めることで、従業員への周知、排出状況の確認、ビル管理者や処理業者との連絡調整が円滑になります。廃棄物管理はルールを作るだけでは不十分で、実際に守らせる体制づくりが必要であるため、この記述は妥当です。

(2) ビル入居者は、廃棄物の減量化・減容化に努める。

適切です。廃棄物は排出段階で減らすことが基本であり、その主体は廃棄物を出す入居者です。たとえば、紙の使用量を減らす、使い捨て製品の利用を抑える、分別を徹底して資源化しやすくする、段ボールをたたんで体積を減らすといった対応は、いずれも入居者が行うべき行動です。減量化は廃棄物そのものの量を減らすこと、減容化はかさを小さくして保管や運搬をしやすくすることを指します。どちらも適正処理費用の抑制や保管スペースの有効活用につながるため、入居者の基本的役割として正しい内容です。

(3) 廃棄物処理業者は、分別可能廃棄物を明確化する。

適切です。廃棄物処理業者は、収集運搬や処分の実務に最も近い立場にあるため、どの種類の廃棄物をどのように分別すれば処理や資源化が可能かを具体的に示す役割を担います。たとえば、紙類、缶、びん、ペットボトル、廃プラスチック類などについて、受け入れ可能なものと不可能なもの、汚れの付着状況による取扱いの違いなどを明確にすることが必要です。現場では「分別すれば資源になるもの」と「混入すると全体が処理困難になるもの」があるため、処理業者が分別基準を明確に示すことは適正処理に直結します。

(4) ビルメンテナンス事業者は、建築物内廃棄物の処理に必要な容器、集積場所、保管場所等を適切に準備する。

不適切です。容器、集積場所、保管場所などの設備的、管理的な準備は、建築物の所有者や管理者の責任で行うのが原則です。ビルメンテナンス事業者は、その運用補助や清掃、集積、搬送補助などを担うことはありますが、処理体制そのものを整備する主体ではありません。ここで重要なのは、「日常運用を担う者」と「施設や管理体制を整える者」を区別することです。ビルメンテナンス事業者が現場実務に関わることが多いため、保管場所まで準備する主体のように見えやすいですが、基本的な責任の所在は建物側にあります。この点から、この記述が最も不適当です。

(5) ビルメンテナンス事業者は、必要な場合に建築物内廃棄物の事後分別を行う。

適切です。理想的には排出段階で正しく分別されていることが望まれますが、現実には混合排出や分別不十分が生じることがあります。そのため、ビルメンテナンス事業者が必要に応じて事後分別を行い、適正処理や資源化を補助することがあります。これは本来の排出責任を代替するものではありませんが、建物全体の衛生維持や廃棄物管理の実務上、重要な役割です。特にオフィスビルや複合施設では、現場での分別補助によって処理の質が大きく変わるため、この記述は妥当です。

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この問題で覚えるポイント

建築物内廃棄物の管理では、まず排出者責任の考え方を押さえることが大切です。廃棄物を出す入居者は、分別、減量化、減容化、排出ルールの順守に責任を持ちます。入居者側で責任者を定めるのも、その実効性を高めるためです。

次に、建物所有者や管理者は、廃棄物を適正に保管、集積、搬出できる体制を整える立場にあります。容器、集積場所、保管場所などの準備は、この管理体制整備に含まれます。ここは、清掃実務を担うビルメンテナンス事業者の役割と混同しやすいので注意が必要です。

さらに、ビルメンテナンス事業者は、建物内での清掃、回収、集積、必要に応じた事後分別など、現場実務を担う側です。処理制度や施設整備の主体ではなく、あくまで運用面を支える存在として整理すると理解しやすいです。

また、廃棄物処理業者は、収集運搬や処分、再資源化の実務に基づき、どの廃棄物が分別可能か、どのような状態なら受け入れ可能かを具体的に示す役割があります。現場では、分別ルールは抽象的に覚えるのではなく、誰がルールを作り、誰が守り、誰が現場で支え、誰が最終的に処理するのかという流れで整理すると、正誤判断に強くなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、ビルメンテナンス事業者が現場で廃棄物に深く関わるため、責任範囲まで広く見えてしまう点にあります。実際には、現場で作業することと、制度上の管理主体であることは別です。清掃や集積をしているからといって、容器や保管場所を準備する責任主体まで同じとは限りません。

また、「必要な容器や場所を準備する」という表現はもっともらしく見えますが、これは建物管理そのものに近い役割です。受験者は「実務担当者が全部やる」と日常感覚で考えてしまいがちですが、試験では責任の所在を制度的に整理しているかが問われます。

さらに、事後分別という言葉も誤解しやすい部分です。本来は排出時分別が原則なので、事後分別は例外的な補完措置です。このため、「事後分別を行う」という記述を誤りと早合点しやすいですが、必要に応じてビルメンテナンス事業者が実施すること自体は不自然ではありません。原則と実務対応を分けて考えることが、同テーマの問題で得点するための鍵です。

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