出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|清掃第161問
問題
建築物内廃棄物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 燃える可能性のある吸い殻などは、ステンレス鋼製コレクタで収集する。
(2) 新築の建築物では、使用開始後一定期間が経過したとき、廃棄物処理計画を見直す。
(3) 雑芥とは、動植物性残渣の廃棄物で、レストラン、ホテル等の調理場から出るごみである。
(4) 感染性のおそれのある産業廃棄物であるかどうかの判断は難しく、医療関係者にゆだねられている。
(5) 個人によるインシュリンの注射が認められ、ホテルや商業施設の一般ごみに注射針が捨てられており、ごみ回収時に手に刺さる事故が発生している。
ビル管過去問|建築物廃棄物管理を解説
この問題は、建築物内で発生する廃棄物の分類、収集方法、処理計画の見直し、感染性廃棄物や注射針への対応について問う問題です。不適切な選択肢は(3)です。雑芥は一般的な可燃ごみなどを指すことが多く、動植物性残渣で調理場から出るごみは厨芥と呼ばれます。この用語の違いが正誤判断の中心になります。

(1) 燃える可能性のある吸い殻などは、ステンレス鋼製コレクタで収集する。
適切です。吸い殻は完全に消火されたように見えても、内部に火種が残っている場合があります。そのため、紙製やプラスチック製の容器で収集すると、火災につながるおそれがあります。ステンレス鋼製コレクタのような不燃性で耐火性のある容器を使用することは、建築物内の火災予防の観点から適切です。清掃管理では、単にごみを集めるだけでなく、廃棄物の性状に応じて安全な容器を選ぶことが重要です。
(2) 新築の建築物では、使用開始後一定期間が経過したとき、廃棄物処理計画を見直す。
適切です。新築の建築物では、設計段階で廃棄物の発生量や種類を予測して処理計画を立てます。しかし、実際に使用が始まると、入居するテナントの業種、利用者数、飲食施設の有無などによって、廃棄物の量や内容が当初の想定と異なることがあります。そのため、使用開始後一定期間が経過した時点で、実際の排出状況を確認し、収集場所、保管場所、分別方法、搬出頻度などを見直すことが必要です。これは効率的で衛生的な廃棄物管理につながります。
(3) 雑芥とは、動植物性残渣の廃棄物で、レストラン、ホテル等の調理場から出るごみである。
不適切です。動植物性残渣の廃棄物で、レストラン、ホテル等の調理場から出るごみは、一般に厨芥といいます。厨芥は食品くず、調理くず、食べ残しなどを含み、水分が多く、腐敗しやすく、悪臭や害虫発生の原因になりやすい廃棄物です。一方、雑芥は紙くず、包装材、一般的な可燃ごみなど、厨芥以外の雑多なごみを指す場合に使われます。したがって、この選択肢は雑芥と厨芥を取り違えているため不適切です。
(4) 感染性のおそれのある産業廃棄物であるかどうかの判断は難しく、医療関係者にゆだねられている。
適切です。感染性廃棄物に該当するかどうかは、廃棄物の発生場所、使用状況、付着している血液や体液の有無、感染症の可能性などを踏まえて判断する必要があります。これは清掃従事者や建物管理者だけで正確に判断することが難しい場合があります。そのため、医療機関などで発生する感染性のおそれがある廃棄物については、医師、看護師などの医療関係者の判断に基づいて適切に区分し、専用容器や適正な処理ルートで管理することが重要です。
(5) 個人によるインシュリンの注射が認められ、ホテルや商業施設の一般ごみに注射針が捨てられており、ごみ回収時に手に刺さる事故が発生している。
適切です。糖尿病などの治療のため、個人がインシュリン注射を行うことがあります。その結果、ホテル、商業施設、駅、トイレなどの一般ごみの中に使用済み注射針が混入することがあります。注射針が清掃従事者やごみ回収者の手に刺さると、けがだけでなく、血液を介した感染リスクも問題になります。そのため、清掃作業ではごみ袋を素手で押し込まない、針刺しのおそれがあるごみには注意する、異物混入を想定した安全対策を行うことが大切です。
この問題で覚えるポイント
建築物内廃棄物管理では、ごみの種類に応じた分類と安全な取扱いが重要です。厨芥は、レストラン、ホテル、給食施設などの調理場から出る食品くず、調理くず、食べ残しなどの動植物性残渣を指します。水分が多く腐敗しやすいため、悪臭、害虫、衛生害虫の発生防止が管理上のポイントになります。雑芥は、厨芥以外の雑多なごみを指す用語として整理しておくと、正誤判断がしやすくなります。 吸い殻など火種が残る可能性のある廃棄物は、火災予防のために不燃性の容器で収集する必要があります。ステンレス鋼製コレクタは、燃えにくく、耐久性もあるため、吸い殻の収集に適しています。ごみの管理では、衛生面だけでなく、防火面も重要な管理項目です。 新築建築物の廃棄物処理計画は、使用開始後に見直す必要があります。計画段階の予測と実際の排出状況は一致しないことがあるため、実際の廃棄物量、種類、分別状況、保管場所の容量、収集頻度などを確認して調整します。建築物の用途やテナント構成が変わった場合も、同じように見直しが必要です。 感染性廃棄物の判断は、清掃従事者だけで行うものではなく、医療関係者の判断が重要です。感染性のおそれがある廃棄物は、通常の一般廃棄物や産業廃棄物とは異なり、感染防止を目的とした特別な管理が必要です。血液や体液が付着したもの、鋭利なもの、医療行為に伴って発生したものは、特に慎重に扱います。 注射針は、医療機関だけでなく、ホテルや商業施設などの一般ごみに混入する可能性があります。清掃作業では、ごみ袋を手で圧縮しない、素手で中身を確認しない、鋭利物が混入している可能性を前提に作業することが重要です。建築物廃棄物管理では、利用者がどのようなごみを捨てる可能性があるかを想定する視点も必要です。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、雑芥と厨芥の混同です。どちらも建築物内で発生するごみとして出題されますが、動植物性残渣、調理場、食品くず、腐敗しやすいというキーワードが出てきた場合は厨芥を指します。雑芥という言葉は雑多なごみという印象があるため、食品くずも含まれるように感じやすいですが、試験では用語の定義を正確に区別する必要があります。 また、日常感覚では、ホテルや商業施設のごみに注射針が入っている状況は特殊に感じるかもしれません。しかし、個人によるインシュリン注射などが行われているため、一般ごみへの注射針混入は現実的なリスクとして扱われます。清掃管理では、想定外ではなく、起こり得る危険として理解することが大切です。 感染性廃棄物については、清掃担当者が見た目だけで判断できると考えると誤りにつながります。感染性のおそれがあるかどうかは、医療行為や患者の状態に関係するため、医療関係者の判断が必要です。見た目で判断しにくいものほど、専門職の判断にゆだねるという考え方を押さえておくと、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。
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