出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第31問
問題
虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 運動負荷心電図検査は、心筋の異常や不整脈の発見には役立つが、虚血性心疾患の発見には有用でない。
(2) 虚血性心疾患は、狭心症と心筋梗塞とに大別される。
(3) 狭心症は、心臓の血管の一部の血流が一時的に悪くなる病気である。
(4) 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が長時間続き、1時間以上になることもある。
(5) 狭心症の痛みの場所は、心筋梗塞とほぼ同じであるが、その発作が続く時間は、通常数分程度で、長くても15分以内におさまることが多い。
第1種衛生管理者|虚血性心疾患の症状と狭心症・心筋梗塞の違いを解説
虚血性心疾患は、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈の血流が不足して起こる病気です。代表的なものに狭心症と心筋梗塞があります。答えは(1)です。運動負荷心電図検査は、安静時には分かりにくい心筋虚血を、運動によって心臓に負荷をかけることで確認する検査であり、虚血性心疾患の発見に有用です。そのため、「有用でない」とする記述が誤りです。
(1) 運動負荷心電図検査は、心筋の異常や不整脈の発見には役立つが、虚血性心疾患の発見には有用でない。
不適切です。運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用な検査です。狭心症などでは、安静にしているときには心電図に異常が出ないことがあります。しかし、運動をして心臓の酸素需要が増えると、冠動脈の血流不足が表面化し、心電図に変化が現れることがあります。このように、運動負荷心電図検査は、心筋の虚血、不整脈、心臓の負荷に対する反応を調べるために用いられます。したがって、虚血性心疾患の発見には有用でないという部分が誤りです。
(2) 虚血性心疾患は、狭心症と心筋梗塞とに大別される。
適切です。虚血性心疾患は、冠動脈の血流が不足して心筋に十分な酸素が届かなくなる病気の総称です。代表的なものとして、血流不足が一時的に起こる狭心症と、血流が途絶えて心筋が壊死する心筋梗塞があります。試験では、虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞の関係を整理しておくことが重要です。
(3) 狭心症は、心臓の血管の一部の血流が一時的に悪くなる病気である。
適切です。狭心症は、冠動脈の血流が一時的に不足し、心筋が酸素不足になることで胸痛や胸部圧迫感を生じる病気です。血流不足は一過性であり、発作が治まると心筋の障害は残りにくい点が特徴です。心筋が壊死する心筋梗塞とは、この点で区別されます。
(4) 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が長時間続き、1時間以上になることもある。
適切です。心筋梗塞では、冠動脈が詰まるなどして血流が途絶え、心筋が壊死に陥ります。そのため、狭心症よりも強い胸痛や胸部圧迫感が長く続くことがあります。痛みは数十分以上続くことが多く、1時間以上続く場合もあります。冷汗、吐き気、息苦しさを伴うこともあり、緊急性の高い状態です。
(5) 狭心症の痛みの場所は、心筋梗塞とほぼ同じであるが、その発作が続く時間は、通常数分程度で、長くても15分以内におさまることが多い。
適切です。狭心症の胸痛は、前胸部、胸の中央、左肩、左腕、あご、背中などに感じられることがあり、心筋梗塞と痛みの場所が似ています。ただし、狭心症は血流不足が一時的であるため、発作の持続時間は通常数分程度です。安静やニトログリセリンにより改善することが多く、長くても15分以内におさまることが多いとされます。
この問題で覚えるポイント
虚血性心疾患は、冠動脈の血流不足によって心筋が酸素不足になる病気で、狭心症と心筋梗塞に大別されます。狭心症は血流不足が一時的で、胸痛は通常数分程度、長くても15分以内におさまることが多いです。心筋梗塞は冠動脈の閉塞などにより心筋が壊死する状態で、激しい胸痛が長時間続き、1時間以上になることもあります。痛みの場所は狭心症と心筋梗塞で似ていますが、持続時間と重症度に違いがあります。運動負荷心電図検査は、運動によって心臓に負荷をかけ、安静時には分かりにくい心筋虚血や不整脈を発見する検査であり、虚血性心疾患の発見に有用です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、運動負荷心電図検査について「心筋の異常や不整脈には役立つ」と一部正しい内容を入れたうえで、「虚血性心疾患には有用でない」と誤った結論につなげている点です。受験者は、前半が正しいと後半も正しいように感じてしまいやすくなります。虚血性心疾患では、安静時に異常が出ない場合でも、運動によって心筋の酸素需要が増えると虚血が明らかになることがあります。このため、検査名に「運動負荷」とある場合は、狭心症などの虚血を誘発して確認する目的があると考えると判断しやすくなります。狭心症と心筋梗塞は痛みの場所が似ているため、場所だけで区別せず、血流不足が一時的か、心筋壊死を伴うか、痛みが短時間か長時間かで整理することが重要です。
