【第一種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問30|食中毒の種類と原因菌・予防対策の基礎知識|労働衛生(有害業務以外)を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第30問

問題

食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、ボツリヌス菌によるものがある。

(2) 感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものがある。

(3) O−157やO−111は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、これらによる食中毒は、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などの症状を呈する。

(4) ノロウイルスの失活化には、煮沸消毒又は塩素系の消毒剤が効果的である。

(5) 魚、チーズなどに含まれるヒスチジンが細菌により分解されて生成するヒスタミンは、加熱により分解される。

第1種衛生管理者|食中毒の種類と原因菌・予防対策の基礎知識を解説

食中毒では、原因が細菌そのものの感染なのか、細菌が作った毒素なのか、ウイルスなのか、化学物質なのかを区別することが重要です。正解は(5)です。ヒスタミンは、魚やチーズなどに含まれるヒスチジンが細菌によって分解されて生成しますが、加熱しても分解されにくい物質です。そのため、いったんヒスタミンが多量に生成された食品は、加熱しても食中毒を防げない点が重要です。

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(1) 毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、ボツリヌス菌によるものがある。

適切です。毒素型食中毒は、食品中で細菌が増殖し、その過程で産生された毒素を摂取することで起こる食中毒です。ボツリヌス菌による食中毒は代表例であり、食品中で産生されたボツリヌス毒素によって神経症状を起こすことがあります。毒素型では、細菌そのものが体内で増えることよりも、食品中にできた毒素を摂取する点が重要です。食品の保存状態や加熱処理が不適切だと、毒素が問題になる場合があります。

(2) 感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものがある。

適切です。感染型食中毒は、食品に付着した細菌を摂取し、その細菌が腸管内で増殖して症状を起こすものです。サルモネラ菌は感染型食中毒の代表例です。サルモネラ菌による食中毒では、発熱、腹痛、下痢、嘔吐などの症状がみられることがあります。感染型では、食品中の細菌数を増やさないこと、加熱により細菌を死滅させること、二次汚染を防ぐことが予防の基本になります。

(3) O−157やO−111は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、これらによる食中毒は、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などの症状を呈する。

適切です。O−157やO−111は、腸管出血性大腸菌として知られ、ベロ毒素を産生します。これらによる食中毒では、激しい腹痛、水様性の下痢、血便などがみられることがあります。重症化すると、溶血性尿毒症症候群などを起こすこともあるため注意が必要です。試験では、O−157、O−111、ベロ毒素、出血を伴う下痢をセットで覚えると判断しやすくなります。

(4) ノロウイルスの失活化には、煮沸消毒又は塩素系の消毒剤が効果的である。

適切です。ノロウイルスは、感染力が強く、少量でも感染することがあります。ノロウイルスの失活化には、十分な加熱、つまり煮沸消毒や、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤が有効です。アルコール消毒だけでは十分な効果が得られにくい場合があるため、嘔吐物や便で汚染された場所の処理では、塩素系消毒剤を適切な濃度で使用することが重要です。食品取扱いでは、手洗い、加熱、汚染拡大防止が基本になります。

(5) 魚、チーズなどに含まれるヒスチジンが細菌により分解されて生成するヒスタミンは、加熱により分解される。

不適切です。ヒスタミンは、魚やチーズなどに含まれるヒスチジンが、細菌の作用によって分解されて生成する物質です。ヒスタミンによる食中毒では、顔面紅潮、じんましん、頭痛、吐き気、動悸など、アレルギーに似た症状がみられることがあります。重要なのは、ヒスタミンは加熱しても分解されにくい点です。そのため、いったん食品中にヒスタミンが多量に生成されると、加熱調理しても食中毒を防ぐことは困難です。鮮度管理や低温保存により、ヒスタミンを作らせないことが予防の中心です。

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この問題で覚えるポイント

食中毒は、毒素型、感染型、腸管出血性大腸菌、ウイルス性、化学性のように原因で整理すると覚えやすくなります。毒素型食中毒は、食品中で細菌が産生した毒素を摂取して起こり、ボツリヌス菌が代表例です。感染型食中毒は、食品に付着した細菌そのものが体内で感染、増殖して起こり、サルモネラ菌が代表例です。O−157やO−111はベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌で、腹痛、水様性下痢、血便などがみられます。ノロウイルスの失活化には、煮沸消毒や塩素系消毒剤が有効です。ヒスタミン食中毒は、魚やチーズなどに含まれるヒスチジンが細菌により分解されてヒスタミンが生成することで起こります。ヒスタミンは加熱しても分解されにくいため、低温保存と鮮度管理によって生成を防ぐことが重要です。加熱すればすべて安全になるわけではない点を押さえておきます。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「食中毒は加熱すれば防げる」という思い込みです。多くの細菌やウイルスは加熱や煮沸で対策できますが、ヒスタミンのように一度生成されると加熱しても分解されにくいものがあります。そのため、ヒスタミン食中毒では、調理時の加熱よりも、食品を低温で保存して細菌によるヒスタミン生成を防ぐことが重要です。また、毒素型と感染型の違いも混同しやすいポイントです。毒素型は食品中で作られた毒素が原因、感染型は細菌そのものが体内で増えることが原因です。ノロウイルスは細菌ではなくウイルスであり、塩素系消毒剤や煮沸が有効です。原因ごとに「何を防ぐべきか」を整理すると、似た選択肢に惑わされにくくなります。

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