【第一種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問29|健康保持増進対策とTHP・コラボヘルスの基礎知識|労働衛生(有害業務以外)を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第29問

問題

厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づく健康保持増進対策に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1) 健康保持増進措置は、主に生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態の改善を目指すために個々の労働者に対して実施するものと、事業場全体の健康状態の改善や健康保持増進に係る取組の活性化等、生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団として捉えて実施するものがある。

(2) 健康保持増進に関する課題の把握や目標の設定等においては、労働者の健康状態等を客観的に把握できる数値を活用することが望ましい。

(3) 健康測定の結果に基づき行う健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔(くう)保健指導、保健指導が含まれる。

(4) 健康保持増進対策の推進に当たっては、事業者が労働者等の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うため、労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用する。

(5) 医療保険者と連携したコラボヘルス等の労働者の健康保持増進対策を推進するためであっても、定期健康診断の結果の記録等、労働者の健康状態等が把握できる客観的な数値等を医療保険者に提供してはならない。

第1種衛生管理者|健康保持増進対策とTHP・コラボヘルスの基礎知識を解説

健康保持増進対策では、個々の労働者への支援と、事業場全体を対象とした取組の両方を進めることが重要です。正解は(5)です。医療保険者と連携したコラボヘルスを推進する場合、個人情報保護に配慮し、必要な手続を踏んだうえで、定期健康診断の結果など労働者の健康状態を把握できる客観的な数値を活用することがあります。「提供してはならない」と一律に禁止している点が適切ではありません。

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(1) 健康保持増進措置は、主に生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態の改善を目指すために個々の労働者に対して実施するものと、事業場全体の健康状態の改善や健康保持増進に係る取組の活性化等、生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団として捉えて実施するものがある。

適切です。健康保持増進措置には、個人に対する取組と集団に対する取組があります。個人に対する取組は、生活習慣上の課題を有する労働者に対して、運動、栄養、休養、喫煙、飲酒などの改善を支援し、健康状態の改善を目指すものです。一方、集団に対する取組は、生活習慣上の課題がある人だけでなく、事業場全体の健康状態の改善や健康づくり活動の活性化を目的として行います。健康づくりは、問題がある人だけを対象にするのではなく、職場全体で進める視点が大切です。

(2) 健康保持増進に関する課題の把握や目標の設定等においては、労働者の健康状態等を客観的に把握できる数値を活用することが望ましい。

適切です。健康保持増進対策を効果的に進めるには、事業場の健康課題を客観的に把握することが重要です。たとえば、定期健康診断の結果、ストレスチェック結果の集団分析、労働時間、休業状況、生活習慣に関する調査などを活用することで、どのような健康課題があるかを把握しやすくなります。数値に基づいて目標を設定すると、取組の効果も評価しやすくなります。感覚だけで進めるのではなく、客観的なデータを活用することが望ましいです。

(3) 健康測定の結果に基づき行う健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔(くう)保健指導、保健指導が含まれる。

適切です。健康測定の結果に基づく健康指導には、労働者の健康状態や生活習慣に応じて、さまざまな指導が含まれます。運動指導では身体活動や体力づくりを支援し、栄養指導では食生活の改善を支援します。メンタルヘルスケアではストレスへの気づきや相談、職場環境改善などに関わります。口腔保健指導は歯や口の健康を保つための指導であり、保健指導は健康診断結果などを踏まえた生活習慣改善の支援です。健康保持増進は身体面だけでなく、心の健康や口腔の健康も含めて考えます。

(4) 健康保持増進対策の推進に当たっては、事業者が労働者等の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うため、労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用する。

適切です。健康保持増進対策を実効性のあるものにするには、事業者だけで一方的に決めるのではなく、労働者の意見や事業場の実態を踏まえる必要があります。そのため、衛生委員会や安全衛生委員会などを活用し、労使、産業医、衛生管理者などが連携して検討することが重要です。職場によって健康課題は異なるため、事業場の労働時間、作業内容、年齢構成、健康診断結果などを踏まえた取組にすることが求められます。

(5) 医療保険者と連携したコラボヘルス等の労働者の健康保持増進対策を推進するためであっても、定期健康診断の結果の記録等、労働者の健康状態等が把握できる客観的な数値等を医療保険者に提供してはならない。

不適切です。コラボヘルスとは、事業者と医療保険者が連携して、労働者の健康保持増進を進める取組です。健康保持増進対策を効果的に進めるためには、定期健康診断の結果など、労働者の健康状態を把握できる客観的な数値を活用することがあります。もちろん、健康情報は個人情報であり、適切な管理や必要な手続、本人の権利への配慮が必要です。しかし、医療保険者との連携を進めるために、健康情報の活用が一律に禁止されているわけではありません。「提供してはならない」としている点が適切ではありません。

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この問題で覚えるポイント

健康保持増進対策では、個人に対する支援と、集団としての職場全体への取組を組み合わせることが重要です。個人に対する健康保持増進措置では、生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態改善を目指します。集団に対する取組では、課題の有無に関わらず、事業場全体の健康状態の改善や健康づくり活動の活性化を目指します。課題把握や目標設定では、定期健康診断結果、ストレスチェック結果の集団分析、労働時間など、客観的な数値を活用することが望ましいです。健康測定に基づく健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔保健指導、保健指導などが含まれます。対策の推進では、衛生委員会等を活用し、労使、産業医、衛生管理者等が連携して、事業場の実態に即した取組を行います。コラボヘルスでは、事業者と医療保険者が連携し、個人情報保護に配慮しながら健康診断結果などの客観的データを活用することがあります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、健康情報の保護という正しい考え方を使って、コラボヘルスでの情報活用まで一律に否定している点です。定期健康診断の結果などは個人情報であり、慎重に扱う必要があります。しかし、健康保持増進対策では、事業者と医療保険者が連携し、適切な手続と管理のもとで客観的なデータを活用することがあります。つまり、「無制限に提供してよい」わけでも「絶対に提供してはならない」わけでもありません。また、健康保持増進対策は、生活習慣に課題がある人だけを対象にするものではなく、職場全体を集団として捉えた取組も含みます。健康づくりの問題では、個人支援、集団支援、客観的データの活用、衛生委員会等での連携、医療保険者とのコラボヘルスをつなげて理解することが大切です。

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