出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|清掃第149問
問題
洗剤に関する次の組合せのうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 界面活性剤-対象物を濡らし、これに浸透する作用がある
(2) リン酸塩を含む洗剤-湖沼の富栄養化が進む
(3) 酸性洗剤-油脂分を含んだ汚れを除去する
(4) 床の表面洗剤-泡立ちが少ない
(5) 樹脂ワックスの剥離剤-皮膚を侵す危険性が高い
ビル管過去問|清掃用洗剤を解説
この問題は、清掃用洗剤の成分や性質、用途に関する基本知識を問う問題です。洗剤は、汚れの種類に応じて使い分けることが重要です。正しい選択肢は(3)です。酸性洗剤は主に水あか、尿石、さびなどの無機質汚れに用いられ、油脂分を含む汚れの除去には一般にアルカリ性洗剤が適しています。

(1) 界面活性剤-対象物を濡らし、これに浸透する作用がある
適切です。界面活性剤には、表面張力を低下させる作用があります。これにより、水が対象物の表面に広がりやすくなり、汚れやすき間に浸透しやすくなります。清掃では、汚れと対象面の間に洗剤液が入り込むことで、汚れを浮かせて除去しやすくなります。
(2) リン酸塩を含む洗剤-湖沼の富栄養化が進む
適切です。リン酸塩は洗剤の洗浄力を高める助剤として使われることがありますが、排水として湖沼などに流入すると、藻類やプランクトンの異常増殖を招く原因になります。これを富栄養化といいます。環境負荷の観点から、リンを含む洗剤の使用には注意が必要です。
(3) 酸性洗剤-油脂分を含んだ汚れを除去する
不適切です。酸性洗剤は、尿石、水あか、金属さび、石けんかすなど、主にアルカリ性の無機質汚れを中和して落とすために使われます。一方、油脂分を含む汚れは酸性の性質を持つことが多く、これを落とすにはアルカリ性洗剤が適しています。したがって、酸性洗剤が油脂汚れの除去に適しているという組合せは誤りです。
(4) 床の表面洗剤-泡立ちが少ない
適切です。床の表面洗浄では、洗浄後に洗剤成分や泡が残ると、すすぎ作業が増えたり、床面が滑りやすくなったりします。そのため、床用の表面洗剤には、泡立ちが少なく、作業性や安全性に配慮されたものが求められます。特に自動床洗浄機を使用する場合も、泡立ちが少ないことは重要です。
(5) 樹脂ワックスの剥離剤-皮膚を侵す危険性が高い
適切です。樹脂ワックスの剥離剤は、床面に形成されたワックス皮膜を除去するために使われる強いアルカリ性の薬剤です。洗浄力が強い反面、皮膚や眼に対する刺激性、腐食性が高いものがあります。そのため、使用時には保護手袋や保護眼鏡を着用し、換気にも注意する必要があります。
この問題で覚えるポイント
清掃用洗剤は、汚れの性質に合わせて選ぶことが基本です。油脂汚れ、皮脂汚れ、たんぱく質汚れなどは、一般にアルカリ性洗剤で落としやすい汚れです。一方、水あか、尿石、さびなどの無機質汚れは、酸性洗剤で落としやすい汚れです。この酸性とアルカリ性の使い分けは、清掃用洗剤の問題で非常によく問われます。界面活性剤は、濡れ、浸透、乳化、分散などにより汚れを落としやすくする成分です。リン酸塩は洗浄力を高める一方で、湖沼の富栄養化につながる環境上の問題があります。床の表面洗剤は作業性や安全性のため泡立ちが少ないものが望ましく、樹脂ワックスの剥離剤は強アルカリ性で皮膚を侵す危険性があるため、保護具の使用が重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、酸性洗剤とアルカリ性洗剤の用途を逆に覚えている受験者を狙っている点です。日常感覚では、強そうな洗剤なら油汚れも落とせそうに感じますが、清掃の専門知識では、汚れの性質に対して反対の性質を持つ洗剤で中和して落とすという考え方が基本になります。酸性洗剤は油汚れではなく、水あかや尿石などの無機質汚れに使うものです。洗剤の問題では、「どの洗剤が強いか」ではなく、「どの汚れに適しているか」で判断することが大切です。