出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|清掃第138問
問題
処理対象人員101~500人の浄化槽における次のフローシートのに入る単位装置の組合せとして、最も適当なものはどれか。 流入→スクリーン設備→【ア】→生物反応槽(生物膜法)→【イ】→消毒槽→放流 また、汚泥系統として【ウ】が設けられ、一部は脱離液として前段へ戻される。
(1) ア:流量調整槽 イ:沈殿槽 ウ:汚泥濃縮貯留槽
(2) ア:流量調整槽 イ:沈殿槽 ウ:汚泥貯留槽
(3) ア:沈殿分離槽 イ:沈砂槽 ウ:汚泥濃縮貯留槽
(4) ア:沈殿分離槽 イ:沈殿槽 ウ:汚泥貯留槽
(5) ア:流量調整槽 イ:沈砂槽 ウ:汚泥貯留槽
ビル管過去問|浄化槽処理方式を解説
この問題は、処理対象人員101~500人規模の浄化槽における処理フローを問う問題です。正しい選択肢は(1)です。流入水はスクリーン設備で大きな異物を除去した後、流量調整槽で水量や水質の変動をならし、生物膜法の生物反応槽で有機物を処理します。その後、沈殿槽で処理水中の浮遊物を沈殿分離し、消毒槽を経て放流されます。また、汚泥系統には汚泥濃縮貯留槽が設けられ、発生汚泥を濃縮・貯留し、脱離液の一部は前段へ戻されます。

(1) ア:流量調整槽 イ:沈殿槽 ウ:汚泥濃縮貯留槽
適切です。処理対象人員101~500人程度の浄化槽では、流入水量や汚濁負荷の変動をならすために、スクリーン設備の後に流量調整槽を設けます。生物反応槽では微生物により有機物を分解しますが、その後の処理水には微生物のかたまりや浮遊物が含まれるため、沈殿槽で固液分離を行います。さらに、発生した汚泥はそのまま貯めるだけでなく、濃縮して容量を減らしながら貯留する汚泥濃縮貯留槽で管理されます。脱離液を前段に戻すという記述も、汚泥濃縮貯留槽を示す重要な手がかりです。
(2) ア:流量調整槽 イ:沈殿槽 ウ:汚泥貯留槽
不適切です。アの流量調整槽、イの沈殿槽は正しい組合せです。しかし、ウが汚泥貯留槽となっている点が不適切です。この問題では、汚泥系統から一部が脱離液として前段へ戻されるとあります。これは汚泥を濃縮する過程で分離された液が生じることを示しており、単なる汚泥貯留槽ではなく、汚泥濃縮貯留槽が適切です。一部が正しいため迷いやすい選択肢ですが、ウの違いで誤りになります。
(3) ア:沈殿分離槽 イ:沈砂槽 ウ:汚泥濃縮貯留槽
不適切です。沈殿分離槽は、し尿や汚水中の固形物を沈殿分離する装置ですが、このフローではスクリーン設備の後に流量調整槽を置く流れが適切です。また、生物反応槽の後に設けるのは沈砂槽ではなく沈殿槽です。沈砂槽は砂などの無機性の重い固形物を沈める設備であり、一般に処理の前段で用いられます。生物処理後の微生物フロックや浮遊物を分離する役割は沈殿槽が担います。
(4) ア:沈殿分離槽 イ:沈殿槽 ウ:汚泥貯留槽
不適切です。イの沈殿槽は、生物反応槽後の固液分離装置として適切です。しかし、アは流量調整槽が適切であり、沈殿分離槽ではありません。処理対象人員101~500人規模では、流入水量の時間変動を調整し、生物処理を安定させることが重要です。また、ウも汚泥貯留槽ではなく、脱離液が前段へ戻されることから汚泥濃縮貯留槽が適切です。
(5) ア:流量調整槽 イ:沈砂槽 ウ:汚泥貯留槽
不適切です。アの流量調整槽は正しいですが、イとウが不適切です。生物反応槽の後には、処理水中に残る浮遊物や微生物を分離するための沈殿槽を設けます。沈砂槽は砂などを沈める装置であり、生物処理後の処理水を仕上げる装置ではありません。また、汚泥系統についても、脱離液を前段へ戻すという記述から、汚泥濃縮貯留槽が適切です。
この問題で覚えるポイント
浄化槽の処理フローでは、各単位装置がどの段階で何を除去するかを整理することが重要です。スクリーン設備は、流入水中の大きなごみや異物を取り除く前処理設備です。流量調整槽は、水量や水質の変動をならし、後段の生物処理を安定させるための設備です。生物反応槽は、微生物の働きによって有機物を分解する中心的な処理装置です。生物膜法では、ろ材などの表面に付着した微生物膜が汚濁物質を分解します。沈殿槽は、生物処理後に残る浮遊物や微生物のかたまりを沈めて処理水と分離する装置です。消毒槽は、放流前に病原性微生物などを減らすための最終的な処理設備です。汚泥濃縮貯留槽は、発生汚泥を濃縮して容量を減らしながら貯留する装置で、濃縮に伴って生じた脱離液が前段へ戻されることがあります。沈砂槽は砂などの重い無機物を沈める設備であり、生物反応槽の後に置く沈殿槽とは役割が異なります。沈殿分離槽は固形物を沈殿分離する設備ですが、流量変動をならす流量調整槽とは目的が違います。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、似た名前の装置を処理フロー上の位置だけでなんとなく選ばせる点にあります。沈殿分離槽、沈殿槽、沈砂槽はいずれも何かを沈める設備なので混同しやすいですが、沈砂槽は砂を沈める前処理、沈殿槽は生物処理後の浮遊物を沈める仕上げの固液分離、沈殿分離槽は流量調整槽とは別の目的を持つ設備です。また、汚泥貯留槽と汚泥濃縮貯留槽の違いも狙われやすい部分です。単に汚泥を貯めるのか、濃縮して脱離液を生じさせるのかを見分ける必要があります。「脱離液として前段へ戻される」という表現が出たら、汚泥濃縮貯留槽を連想できるようにしておくと正答に近づけます。