問題
雑用水処理設備において、色度の除去に適用される単位装置として、最も適当なものは次のうちどれか。
(1) 沈砂槽
(2) 生物処理槽
(3) 膜分離装置
(4) ろ過装置
(5) 活性炭処理装置
ビル管過去問|排水設備を解説
この問題は、雑用水処理設備における各単位装置の役割を正しく理解しているかを問う問題です。ポイントは、色度とは水の「色のつき具合」を示すものであり、砂やごみのような大きな異物とは異なるという点です。色度成分や臭気成分、有機物質の除去には、活性炭による吸着処理が代表的に用いられます。そのため、正しい選択肢は(5)です。環境省の構造指針でも、活性炭処理設備は着色成分や臭気成分、有機物質等を物理的に吸着除去する設備とされており、色度成分の除去に適しています。
(1) 沈砂槽
不適切です。沈砂槽は、排水中に含まれる砂や土砂など、比重が大きく沈みやすい無機物を沈降させて取り除くための設備です。つまり、対象になるのは水に溶けていない比較的大きな粒子です。色度は、水の中に溶け込んでいる着色成分によって生じることが多く、沈砂槽のように単に重いものを沈める設備では十分に除去できません。沈砂槽は前処理設備として重要ですが、色の除去を主目的とする装置ではありません。
(2) 生物処理槽
不適切です。生物処理槽は、微生物の働きを利用して、排水中の有機物を分解し、BODやCODを低減するための設備です。雑用水処理では非常に重要な工程ですが、色度の原因となる成分を直接的かつ効率的に除去することを主目的とした装置ではありません。色の原因物質の中には、生物分解されにくい成分もあり、生物処理だけで十分に脱色できるとは限りません。したがって、色度除去の単位装置として最も適当とはいえません。
(3) 膜分離装置
不適切です。膜分離装置は、膜の細かな孔を利用して、浮遊物質や微生物などを分離除去する装置です。浄水や再利用水の高度処理で使われることがあり、水質の安定化には有効です。しかし、色度の原因が水に溶け込んだ溶解性の成分である場合、膜の種類によっては十分に除去できないことがあります。一般に、色度除去を目的としてまず想起すべき装置は、吸着作用を持つ活性炭処理です。膜分離は有効な場面もありますが、この設問での最適解ではありません。膜ろ過は主として懸濁物質の除去を対象とするという国の資料とも整合します。
(4) ろ過装置
不適切です。ろ過装置は、主として水中の浮遊物質や濁りを除去するための設備です。砂ろ過などは、細かな粒子をこし取るのに有効ですが、水に溶けた着色成分を十分に除去するのは苦手です。見た目がきれいな水になったとしても、色度成分が残っている場合があります。ろ過装置は処理工程の中で重要ですが、色度除去そのものに最も適した装置とはいえません。環境省の指針でも、砂ろ過設備は浮遊物質等の除去、活性炭処理設備は着色成分等の除去と役割が分けられています。
(5) 活性炭処理装置
適切です。活性炭処理装置は、活性炭の大きな表面積と吸着作用を利用して、水中の着色成分、臭気成分、有機物質などを除去する装置です。色度は、溶解している有機物や着色物質によって生じることが多いため、活性炭による吸着処理が非常に有効です。実際に環境省の指針では、活性炭処理設備は着色成分や臭気成分、有機物質等を物理的に吸着除去する設備、活性炭吸着装置は色度成分を吸着除去する装置とされています。したがって、色度の除去に適用される単位装置として最も適当なのは活性炭処理装置です。
この問題で覚えるポイント
色度は、砂やごみのような沈むものではなく、水に溶けた着色成分によって生じることが多いです。沈砂槽は砂などの除去、生物処理槽は有機物の分解、ろ過装置は浮遊物質の除去が主な役割です。色度や臭気の除去は、活性炭の吸着作用が基本です。雑用水処理では、それぞれの装置が何を対象にしているのかを整理して覚えることが重要です。
ひっかけポイント
ろ過装置は水をきれいにする設備なので、一見すると色も取れそうに見えますが、主な対象は浮遊物質です。生物処理槽も排水処理の中心設備なので選びたくなりますが、色度の直接除去が主目的ではありません。膜分離装置も高度処理の印象が強いため迷いやすいですが、この問題では色度除去の代表装置である活性炭処理装置を選ぶのが正解です。見た目の「きれいさ」と、色度という水質項目の違いを区別できるかが得点の分かれ目です。
