出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|給水および排水の管理第121問
問題
給湯設備における水の性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 4℃以上の水は、温度が高くなると密度は小さくなる。
(2) 配管内の水中における気体の溶解度は、水温の上昇により増加する。
(3) 15℃における水の比熱は、4.186kJ/(kg·℃)である。
(4) 水中に溶存している空気は、配管内の圧力が高いと分離されにくい。
(5) 水温が高いほど、金属腐食速度が速くなる。
ビル管過去問|給湯設備の水質を解説
この問題は、給湯設備に関係する水の基本的な性質について問う問題です。水の密度、比熱、気体の溶解度、圧力と溶存空気の関係、金属腐食速度と水温の関係を正しく理解しているかがポイントです。正しい選択肢は(2)です。気体の溶解度は、一般に水温が上昇すると低下するため、「水温の上昇により増加する」とする記述は不適切です。

(1) 4℃以上の水は、温度が高くなると密度は小さくなる。
適切です。水は約4℃のときに密度が最大になります。そのため、4℃以上では温度が高くなるほど水の密度は小さくなります。給湯設備では水を加熱するため、温度上昇による体積膨張が生じます。この性質は、膨張水槽や逃し弁などの必要性にも関係します。
(2) 配管内の水中における気体の溶解度は、水温の上昇により増加する。
不適切です。気体の溶解度は、一般に水温が高くなるほど低下します。つまり、冷たい水のほうが空気などの気体を多く溶かすことができます。給湯設備で水が加熱されると、水中に溶けていた空気が分離しやすくなり、エアだまりや腐食、循環不良の原因になることがあります。したがって、「水温の上昇により増加する」という記述は逆であり、最も不適当です。
(3) 15℃における水の比熱は、4.186kJ/(kg·℃)である。
適切です。水の比熱は約4.186kJ/(kg·℃)です。これは、水1kgの温度を1℃上げるために必要な熱量を表します。水は比熱が大きいため、温まりにくく冷めにくい性質があります。給湯設備では、この比熱をもとに加熱に必要な熱量や給湯負荷を考えます。
(4) 水中に溶存している空気は、配管内の圧力が高いと分離されにくい。
適切です。気体は、圧力が高いほど水に溶けやすくなります。そのため、配管内の圧力が高い状態では、水中に溶けている空気は分離されにくくなります。反対に、圧力が低下すると溶けていた空気が気泡として分離しやすくなります。これは、給湯配管内での空気障害やエア抜きの理解につながる重要な性質です。
(5) 水温が高いほど、金属腐食速度が速くなる。
適切です。一般に、水温が高くなると化学反応が進みやすくなるため、金属の腐食速度は速くなります。給湯設備では、常温の給水設備よりも腐食が進みやすい条件になりやすいため、配管材料の選定や水質管理が重要になります。特に溶存酸素、pH、塩化物イオンなども腐食に関係します。
この問題で覚えるポイント
給湯設備では、水を加熱することによって水の密度、体積、気体の溶解度、腐食速度が変化します。水は約4℃で密度が最大となり、それ以上では温度が上がるほど密度が小さくなります。水の比熱は約4.186kJ/(kg·℃)であり、給湯負荷や加熱量の計算に関係する基本数値です。気体の溶解度は、水温が上がると小さくなり、圧力が高いと大きくなります。したがって、高温では空気が分離しやすく、低圧でも空気が分離しやすくなります。また、水温が高いほど金属腐食は進みやすくなるため、給湯設備では給水設備以上に腐食対策を意識する必要があります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「温度が上がると溶けやすくなる」という日常感覚を気体にも当てはめてしまう点です。砂糖や食塩などの固体は、温度が上がると水に溶けやすくなるイメージがあります。しかし、空気などの気体は逆で、水温が高くなるほど水に溶けにくくなります。給湯設備では、この違いが空気の分離や腐食の理解に直結します。「温度が上がると溶解度が増える」と覚えるのではなく、固体と気体では溶解度の変化が異なると整理しておくことが重要です。