問題
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 事務所ビルで節水器具を使用する場合の1日当たりの設計給水量は、40~60L/人である。
(2) 給水配管の管径は、管内の流速が2.0m/s以下となるように選定する。
(3) 衛生器具による節水方法として、小便器自動感知洗浄システムがある。
(4) 水資源の有効利用として、雨水を便器洗浄水として利用する。
(5) 高層ホテルの上限給水圧力は、0.7MPaである。
ビル管過去問|給水設備管理を解説
この問題は、給水設備における設計給水量、給水配管の流速、節水器具、水資源の有効利用、給水圧力の基準について問う問題です。実務でも試験でも、給水設備は「必要な水量を安全かつ無駄なく供給すること」が基本になります。各選択肢をみると、(2)から(4)は給水設備の基本事項として適切な内容です。(1)も事務所ビルにおける節水器具使用時の設計給水量として妥当です。一方で、(5)の「高層ホテルの上限給水圧力は0.7MPaである」は不適当です。給水圧力は高すぎると器具や配管に悪影響を及ぼすため、用途や器具に応じた適正範囲で管理する必要がありますが、0.7MPaは上限給水圧力としては過大です。したがって、最も不適当なのは(5)です。
(1) 事務所ビルで節水器具を使用する場合の1日当たりの設計給水量は、40~60L/人である。
適切です。事務所ビルの設計給水量は、建物の用途や使用人数、節水器具の有無によって設定されます。節水器具を使用する場合は、通常の給水量より少なく見積もることができ、40~60L/人・日という値はおおむね妥当な範囲です。設計給水量は、受水槽容量やポンプ能力の算定にも関わる重要な数値です。過大に見積もると設備が大きくなりすぎて不経済になり、過小に見積もると給水不足の原因になるため、用途に応じた標準的な数値を覚えておくことが大切です。
(2) 給水配管の管径は、管内の流速が2.0m/s以下となるように選定する。
適切です。給水配管の管径は、単に水が流れればよいというものではなく、流速が過大にならないように決める必要があります。流速が大きすぎると、配管内で摩擦損失が増え、必要な圧力を確保しにくくなります。また、流水音やウォーターハンマーの発生、配管の摩耗促進などの原因にもなります。そのため、一般に給水配管では管内流速をおおむね2.0m/s以下とすることが目安とされています。これは給水設備の設計でよく使われる基本的な考え方です。
(3) 衛生器具による節水方法として、小便器自動感知洗浄システムがある。
適切です。小便器自動感知洗浄システムは、人が使用したときだけ必要な量の水を流す仕組みであり、節水方法の一つです。従来のように一定時間ごとに自動で洗浄する方式では、未使用時にも洗浄水が流れることがあり、水の無駄が生じやすくなります。一方、自動感知式はセンサーで使用の有無を判断するため、不要な洗浄を減らすことができます。節水型衛生器具は、建築設備の省資源化、省コスト化の観点から重要です。
(4) 水資源の有効利用として、雨水を便器洗浄水として利用する。
適切です。雨水利用は、水資源の有効活用方法として広く用いられています。飲料水のように高い水質が求められる用途には適しませんが、便器洗浄水や散水、修景用水など、飲用以外の用途には活用可能です。これにより上水使用量を削減でき、省資源や環境負荷低減につながります。ただし、雨水を利用する場合には、貯留設備やろ過設備、用途区分に応じた配管の分離などが必要です。試験では「雨水は飲用には使えないが、雑用水としては利用できる」という整理で押さえるとよいです。
(5) 高層ホテルの上限給水圧力は、0.7MPaである。
不適切です。給水圧力は高ければよいわけではなく、衛生器具や配管を安全に使用できる範囲に抑える必要があります。圧力が高すぎると、水栓やフラッシュバルブなどの器具に負担がかかり、漏水や故障の原因になります。また、使用時の水はねや騒音の増加にもつながります。一般に給水設備では、末端器具で過大な圧力にならないように設計し、必要に応じて減圧弁などを設けます。0.7MPaは上限給水圧力としては高すぎるため、この記述は不適当です。
この問題で覚えるポイント
給水設備の設計では、建物用途に応じた1日当たり設計給水量を押さえることが重要です。 給水配管の管径は、流速が大きくなりすぎないように選定し、一般には2.0m/s以下が目安です。 節水器具には、自動感知式小便器洗浄システムのように、必要時のみ洗浄する方式があります。 雨水は雑用水として利用でき、便器洗浄水や散水などに活用されます。 給水圧力は高すぎると器具や配管に悪影響を与えるため、適正圧力で設計・管理することが大切です。
ひっかけポイント
節水器具を用いた場合の設計給水量は、通常より少なく見積もれる点を見落としやすいです。 配管の管径は太ければ安心と考えがちですが、実際は流速や圧力損失を踏まえて決めます。 自動洗浄設備は便利な設備というだけでなく、節水対策でもある点が問われやすいです。 雨水利用は環境配慮として正しいですが、飲用水には使えず、用途が限定される点を混同しやすいです。 給水圧力は不足だけでなく過大でも問題になるため、高い数値を見て「高層建築だから正しい」と判断しないことが大切です。
