【ビル管過去問】令和7年度 問題75|ポンプのキャビテーション・揚程・サージングを解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第75問

問題

ポンプに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) キャビテーションの発生部分には激しい浸食が生じ、ポンブ寿命を低下させる。

(2) フライホイールなどを付加し、回転体の慣性重量を大きくすることで、停電時の水撃作用を防止できる。

(3) 配管系における流体摩擦損失及び機器の損失は、管内流速の2乗に比例する。

(4) 一般に全揚程は吐出し量がゼロのときに最小となり、吐出し量の増加とともに高くなる。

(5) 揚程曲線が右下がりの曲線部分に運転点をもってくることで、サージングを防げる。

ビル管過去問|ポンプのキャビテーション・揚程・サージングを解説

この問題では、ポンプの運転で重要となるキャビテーション、水撃作用、配管損失、全揚程、サージングについて問われています。正しい選択肢は(4)です。一般にポンプの全揚程は、吐出し量がゼロの締切運転時に最大となり、吐出し量が増加するにつれて低下します。そのため、「吐出し量がゼロのときに最小」とする記述は逆であり、不適切です。

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(1) キャビテーションの発生部分には激しい浸食が生じ、ポンブ寿命を低下させる。

適切です。キャビテーションとは、ポンプ内部の圧力が局所的に低下し、水が蒸発して気泡が発生し、その気泡が高圧部でつぶれる現象です。気泡が崩壊するときには強い衝撃が発生し、羽根車などの金属表面をたたくように作用します。その結果、騒音、振動、性能低下、金属表面の浸食が起こり、ポンプの寿命を短くします。ポンプの吸込み側で圧力が低くなりすぎないようにすることが重要です。

(2) フライホイールなどを付加し、回転体の慣性重量を大きくすることで、停電時の水撃作用を防止できる。

適切です。水撃作用とは、停電などでポンプが急停止したときに、配管内の水の流れが急激に変化し、圧力が大きく変動する現象です。ウォーターハンマーとも呼ばれます。フライホイールを付加して回転体の慣性を大きくすると、ポンプの回転が急に止まりにくくなり、流速の急変を抑えることができます。そのため、停電時の水撃作用の防止策として有効です。

(3) 配管系における流体摩擦損失及び機器の損失は、管内流速の2乗に比例する。

適切です。配管内を水が流れると、管壁との摩擦や、弁、継手、熱交換器などの機器を通過するときの抵抗によって圧力損失が生じます。これらの損失は、一般に流速の2乗に比例して大きくなります。つまり、流速が2倍になると損失はおよそ4倍になります。ポンプの選定では、単に高さ方向に水を上げる力だけでなく、配管や機器で失われる圧力も考慮する必要があります。

(4) 一般に全揚程は吐出し量がゼロのときに最小となり、吐出し量の増加とともに高くなる。

不適切です。一般に遠心ポンプでは、吐出し量がゼロの締切運転時に全揚程は最大となり、吐出し量が増加するにつれて全揚程は低下します。これは、ポンプが流量を多く送り出すほど、内部損失などが増え、1単位の水に与えられる圧力エネルギーが小さくなるためです。この選択肢は、全揚程と吐出し量の関係を逆に説明しているため、不適切です。

(5) 揚程曲線が右下がりの曲線部分に運転点をもってくることで、サージングを防げる。

適切です。サージングとは、ポンプの運転が不安定になり、流量や圧力が周期的に変動する現象です。揚程曲線に右上がりの部分があると、運転点が不安定になりやすく、サージングが発生しやすくなります。一方、揚程曲線が右下がりの安定した部分に運転点を設定すれば、流量が増えると揚程が下がる通常の関係となり、安定した運転がしやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

ポンプのキャビテーションは、吸込み側の圧力低下によって水中に気泡が発生し、その気泡がつぶれることで羽根車などを損傷させる現象です。試験では、騒音、振動、浸食、性能低下、ポンプ寿命の低下と結び付けて覚えることが重要です。水撃作用は、停電や弁の急閉止などで流速が急変したときに配管内の圧力が急上昇または急低下する現象です。対策としては、フライホイールによる慣性の増加、緩閉式逆止弁、サージタンクなどが関連します。配管や機器の圧力損失は、一般に流速の2乗に比例するため、流速が少し大きくなるだけでも損失は大きく増加します。遠心ポンプの基本的な揚程曲線では、吐出し量がゼロのときに全揚程が最大となり、吐出し量が増えるほど全揚程は低下します。サージングを避けるには、揚程曲線の右下がりの安定した部分で運転することが大切です。

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ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、全揚程と吐出し量の関係を逆にしている点です。日常感覚では「たくさん水を出すほど強い力が必要だから、揚程も高くなる」と考えたくなります。しかし、ポンプの性能曲線では、一般に吐出し量が増えるほど全揚程は低下します。ここでいう全揚程は、ポンプが水に与える圧力エネルギーの大きさであり、単なる仕事量や消費電力とは違います。また、サージングについては「揚程曲線」という言葉だけで難しく感じますが、右下がりは安定、右上がりは不安定と整理すると判断しやすくなります。キャビテーション、水撃作用、サージングはいずれもポンプの異常現象ですが、原因と対策が異なるため、言葉の雰囲気だけで混同しないことが正答につながります。

独学で整理しづらい方はこちら。

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