【ビル管過去問】令和7年度 問題74|ダクトの材質と用途を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第74問

問題

ダクトに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) ダクト系の騒音に対する消音効果のために、グラスウールダクトを使用した。

(2) 塗装なしで美観が必要なダクトに、ステンレス鋼板を使用した。

(3) ボイラの高温空気・高温ガスが通るダクトに、亜鉛鉄板を使用した。

(4) 防錆・防食性が必要なダクトに、塩化ビニルで被覆した鋼板を使用した。

(5) 腐食性ガスを対象とした排気ダクトに、硬質ポリ塩化ビニル板を使用した。

 

 

 

ビル管過去問|ダクトの材質と用途を解説

この問題は、ダクトの材質と使用目的の組合せを問う問題です。正しい選択肢は(3)です。ダクト材料は、空気を送るだけでなく、温度、腐食性、外観、防錆性、騒音対策などの条件に応じて使い分けます。特に亜鉛鉄板は一般空調用ダクトではよく使われますが、高温空気や高温ガスが通る場所には適しません。

下に移動する

【ビル管過去問】令和7年度 問題74|ダクトの材質と用途を解説する画像

下に移動する

(1) ダクト系の騒音に対する消音効果のために、グラスウールダクトを使用した。

適切です。グラスウールダクトは、断熱性や吸音性をもつ材料であり、ダクト内を流れる空気音や送風機音などをやわらげる効果が期待できます。空調設備では、ダクトを通じて騒音が室内に伝わることがあるため、消音対策として吸音性のある材料を用いることがあります。グラスウールは繊維状の材料で音を吸収しやすいため、ダクト系の騒音対策として適しています。

(2) 塗装なしで美観が必要なダクトに、ステンレス鋼板を使用した。

適切です。ステンレス鋼板は、耐食性に優れ、表面に金属光沢があるため、塗装しなくても外観をきれいに保ちやすい材料です。厨房や意匠性が求められる場所、露出して見える場所などで用いられることがあります。一般の亜鉛鉄板に比べて高価ですが、美観や耐久性が求められる場合には適した材料です。

(3) ボイラの高温空気・高温ガスが通るダクトに、亜鉛鉄板を使用した。

不適切です。亜鉛鉄板は、一般的な空調ダクトに広く使われる材料ですが、高温空気や高温ガスが通るダクトには適しません。亜鉛めっきは高温になると劣化しやすく、亜鉛の蒸発や酸化などによって性能が低下するおそれがあります。ボイラなどの高温ガスが通る部分では、耐熱性のある鋼板など、温度条件に耐えられる材料を選ぶ必要があります。一般空調でよく使う材料だからといって、高温用途にも使えるとは限らない点が重要です。

(4) 防錆・防食性が必要なダクトに、塩化ビニルで被覆した鋼板を使用した。

適切です。塩化ビニルで被覆した鋼板は、鋼板の強度を保ちながら、表面の塩化ビニル層によって防錆性や防食性を高めた材料です。湿気の多い場所や、腐食しやすい環境では、通常の鋼板だけではさびや腐食が進みやすくなります。そのため、防錆・防食を目的として、樹脂で被覆された鋼板を使用することは適切です。

(5) 腐食性ガスを対象とした排気ダクトに、硬質ポリ塩化ビニル板を使用した。

適切です。硬質ポリ塩化ビニル板は、酸やアルカリなどに対する耐薬品性に優れており、腐食性ガスを扱う排気ダクトに用いられることがあります。金属製ダクトでは腐食が進みやすい環境でも、硬質ポリ塩化ビニルは腐食しにくいため、薬品を扱う施設や実験室などの排気系統で使用される場合があります。ただし、高温には弱いため、温度条件を確認して使う必要があります。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

ダクト材料は、使用場所の条件に合わせて選定することが重要です。一般空調用の代表的な材料は亜鉛鉄板ですが、これは標準的な温度や湿度の空気を扱う場合に適した材料です。高温空気や高温ガスを扱う場所では、亜鉛めっきが劣化するおそれがあるため、耐熱性のある材料を使用します。 グラスウールダクトは、吸音性や断熱性が特徴です。騒音対策や熱損失の低減と結び付けて覚えると判断しやすくなります。ステンレス鋼板は、耐食性と美観が特徴です。塗装なしでも外観を保ちやすいため、見える場所や清潔感が求められる場所に適しています。 塩化ビニル被覆鋼板は、防錆性や防食性が必要な場合に使われます。鋼板の強度と樹脂被覆の耐食性を組み合わせた材料と考えると理解しやすいです。硬質ポリ塩化ビニル板は、腐食性ガスを扱う排気ダクトに適していますが、高温には弱い点に注意が必要です。 試験では、材料名だけで判断するのではなく、用途との組合せで正誤を判断します。亜鉛鉄板は一般空調用、ステンレス鋼板は美観と耐食性、グラスウールは吸音と断熱、塩化ビニル系材料は防食や腐食性ガス対策、と整理しておくと同テーマの問題に対応しやすくなります。

下に移動する

ひっかけポイント

この問題のひっかけは、亜鉛鉄板がダクト材料として非常に一般的であるため、どのような用途にも使えるように見えてしまう点です。一般空調用として正しい知識を持っている受験者ほど、「ダクトといえば亜鉛鉄板」と反射的に判断してしまう可能性があります。 しかし、問題文では「ボイラの高温空気・高温ガス」と条件が限定されています。ここでは一般空調ではなく、高温に耐えられるかどうかが判断の中心になります。材料の名称だけを見るのではなく、温度、腐食性、美観、吸音性など、どの性能が求められているかを読み取ることが大切です。 また、塩化ビニル系材料は腐食には強い一方で、高温には弱いという性質があります。そのため、「腐食性ガスには硬質ポリ塩化ビニル」「高温ガスには耐熱材料」というように、腐食性と高温性を混同しないことが重要です。このパターンは、設備材料の問題で繰り返し問われやすいので、材料の長所だけでなく、使ってはいけない条件もセットで覚えておくと安定して正答できます。

頻出問題をまとめて確認したい方はこちら。

次の問題へ