問題
ダクトに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) ダクト系の騒音に対する消音効果のために、グラスウールダクトを使用した。
(2) 塗装なしで美観が必要なダクトに、ステンレス鋼板を使用した。
(3) ボイラの高温空気·高温ガスが通るダクトに、亜鉛鉄板を使用した。
(4) 防錆·防食性が必要なダクトに、塩化ビニルで被覆した鋼板を使用した。
(5) 腐食性ガスを対象とした排気ダクトに、硬質ポリ塩化ビニル板を使用した。
ビル管過去問|ダクトの材質と用途を解説
この問題は、ダクトに使われる材質ごとの特徴と、どの用途に適しているかを問う問題です。ダクト材料は、耐熱性、美観、防錆性、防食性、消音性などの性能を踏まえて選定します。正しい選択肢を判断するには、それぞれの材質がどのような場面で使われるかを整理して覚えておくことが大切です。【正しい選択肢および理由】最も不適当なのは(3)です。亜鉛鉄板は一般空調用ダクトによく使われる材料ですが、高温空気や高温ガスが流れるボイラ用ダクトには適しません。高温により亜鉛めっき層が劣化し、耐久性や安全性に問題が生じるおそれがあるためです。
(1) ダクト系の騒音に対する消音効果のために、グラスウールダクトを使用した。
適切です。グラスウールダクトは、断熱性と吸音性に優れているため、空調ダクトで騒音低減を図りたい場合に用いられます。ダクト内部を流れる空気によって発生する騒音や、送風機から伝わる音をやわらげる効果が期待できます。金属ダクトに比べて音を反射しにくいため、消音を重視する用途に適しています。
(2) 塗装なしで美観が必要なダクトに、ステンレス鋼板を使用した。
適切です。ステンレス鋼板は表面が美しく、耐食性にも優れているため、塗装をしなくても見た目を保ちやすい材料です。厨房や食品関係施設、あるいは露出部分で意匠性が求められる場所でも採用されます。汚れにも比較的強く、清掃しやすい点も利点です。そのため、美観を重視するダクト材として適しています。
(3) ボイラの高温空気·高温ガスが通るダクトに、亜鉛鉄板を使用した。
不適切です。亜鉛鉄板は、鋼板の表面に亜鉛めっきを施して防錆性を高めたもので、一般の空調ダクトでは広く使われています。しかし、高温空気や高温ガスが流れるダクトでは、熱によって亜鉛めっきが劣化しやすく、材料の性能低下や腐食の原因になります。また、高温環境では安全面や耐久面の観点からも不向きです。ボイラまわりのような高温用途では、耐熱性を考慮した材料を選ぶ必要があります。
(4) 防錆·防食性が必要なダクトに、塩化ビニルで被覆した鋼板を使用した。
適切です。塩化ビニルで被覆した鋼板は、鋼板の強度を持ちながら、表面に防錆性・防食性を持たせた材料です。湿気の多い場所や、腐食しやすい雰囲気のある場所では、普通の鋼板よりも耐久性を確保しやすくなります。したがって、防錆・防食性を必要とするダクト材として適しています。
(5) 腐食性ガスを対象とした排気ダクトに、硬質ポリ塩化ビニル板を使用した。
適切です。硬質ポリ塩化ビニル板は、耐薬品性や耐食性に優れているため、腐食性ガスを扱う排気ダクトに用いられます。たとえば、実験室や化学処理設備などで発生する腐食性のある排気に対して有効です。ただし、高温には弱いため、使用温度の条件には注意が必要です。腐食性ガスを扱うという点では、材質の選定として適切です。
この問題で覚えるポイント
ダクト材は、用途に応じて消音性、耐食性、美観、耐熱性を見て選びます。グラスウールダクトは吸音性と断熱性に優れ、騒音対策に向いています。ステンレス鋼板は美観と耐食性に優れ、露出部にも使いやすい材料です。塩化ビニル被覆鋼板や硬質ポリ塩化ビニル板は、防食性や耐薬品性が必要な場面で使われます。一方、亜鉛鉄板は一般空調には適していますが、高温用ダクトには不向きです。
ひっかけポイント
亜鉛鉄板は空調ダクトでよく使われるため、どの用途にも使えるように見えてしまう点がひっかけです。よく使う材料であっても、高温用途には向かない場合があります。また、硬質ポリ塩化ビニル板は腐食には強いですが、熱には弱いという性質を取り違えやすいです。材料の「強い点」と「弱い点」をセットで覚えておくことが重要です。
