出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第68問
問題
図は、蒸気圧縮冷凍サイクルにおける冷媒の標準的な状態変化をモリエル線図上に表したものである。蒸発器の出口直後に相当する図中の状態点として、最も適当なものは次のうちどれか。

(1) ア
(2) イ
(3) ウ
(4) エ
(5) オ
ビル管過去問|蒸気圧縮冷凍サイクルを解説
この問題は、蒸気圧縮冷凍サイクルにおいて、蒸発器の出口直後の冷媒がモリエル線図上のどの状態点に当たるかを問う問題です。蒸発器では、低温低圧の冷媒が周囲から熱を奪って蒸発し、出口では低圧の蒸気となります。したがって、蒸発器出口直後は圧縮機入口直前に相当し、図中ではオが正しい選択肢です。

(1) ア
不適切です。アは蒸発器出口直後の状態ではありません。蒸気圧縮冷凍サイクルでは、冷媒は圧縮、凝縮、膨張、蒸発の順に状態変化します。蒸発器出口直後は、冷媒が蒸発を終えて低圧の蒸気になった位置です。アが高圧側や凝縮器付近の状態点を示している場合、蒸発器出口とは圧力や冷媒の状態が異なるため、該当しません。
(2) イ
不適切です。イは蒸発器出口直後ではありません。蒸発器出口直後の冷媒は、圧縮機に吸い込まれる直前の低圧蒸気です。一方、イが圧縮後や凝縮過程に近い状態点であれば、冷媒は高温高圧側にあり、蒸発器を出た直後の状態とは異なります。冷凍サイクルでは、どの機器を通過した直後かを意識して判断することが大切です。
(3) ウ
不適切です。ウは蒸発器出口直後の状態点ではありません。凝縮器付近では、冷媒は高圧の状態で熱を放出し、気体から液体へ変化します。蒸発器出口ではその反対に、低圧の冷媒が熱を吸収して蒸気になっています。高圧側の状態点と低圧側の状態点を混同しないようにする必要があります。
(4) エ
不適切です。エは蒸発器出口直後ではなく、膨張弁通過後や蒸発器入口付近の状態点に対応する可能性があります。膨張弁を通過した直後の冷媒は、低温低圧の湿り蒸気となり、液体と気体が混ざった状態です。これに対して蒸発器出口直後では、蒸発器内で熱を吸収した後なので、冷媒はほぼ蒸気の状態になっています。
(5) オ
適切です。オは蒸発器の出口直後、つまり圧縮機の入口直前に相当する状態点です。蒸発器では、低温低圧の冷媒が室内空気などから熱を奪い、蒸発して気体になります。そのため、蒸発器出口直後の冷媒は低圧の乾き飽和蒸気、またはわずかに過熱された蒸気として扱われます。モリエル線図では、蒸発過程の終点であり、次に圧縮機へ送られる位置が蒸発器出口直後です。
この問題で覚えるポイント
蒸気圧縮冷凍サイクルは、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に冷媒が循環する仕組みです。圧縮機では低温低圧の蒸気を高温高圧の蒸気にします。凝縮器では高温高圧の冷媒が熱を放出し、液体になります。膨張弁では冷媒の圧力が下がり、低温低圧の湿り蒸気になります。蒸発器では冷媒が周囲から熱を奪って蒸発し、出口では低圧の蒸気になります。蒸発器出口直後は圧縮機入口直前でもあるため、「蒸発器出口=低圧蒸気=圧縮機入口」と結び付けて覚えると判断しやすくなります。モリエル線図では、縦軸が圧力、横軸が比エンタルピーで表されることが多く、冷媒の圧力変化、熱の出入り、蒸発や凝縮の状態変化を読み取るために使われます。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「蒸発器の出口直後」という言葉を見たときに、蒸発器入口や膨張弁出口と混同してしまう点です。蒸発器入口では、冷媒はまだ液体を含む低温低圧の湿り蒸気です。一方、蒸発器出口では、蒸発が進んで低圧の蒸気になっています。また、凝縮器と蒸発器はいずれも熱交換器なので、どちらも冷媒が状態変化する装置ですが、凝縮器では熱を捨てて液化し、蒸発器では熱を奪って気化します。この違いをあいまいにすると、高圧側と低圧側の状態点を取り違えやすくなります。冷凍サイクルの問題では、機器名だけで判断せず、「その機器を通過した後の冷媒は、高圧か低圧か、液体か蒸気か」を順番に追うことが重要です。
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