【ビル管過去問】令和7年度 問題63|中央方式空調を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第63問

問題

中央方式の空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) ダクト併用ファンコイルユニット方式では、単一ダクト方式に比べ、空調機の大容量化が必要となる。

(2) 変風量単一ダクト方式では、熱負荷に応じて給気風量を可変とするため、外気導入量も変動する。

(3) マルチゾーン空調方式では、1台の空調機で複数ゾーンの温湿度調整を行う。

(4) 定風量単一ダクト方式では、熱負荷の変動に対して給気温度を可変とすることで対応する。

(5) 放射冷暖房は、単独設置では新鮮外気の導入と室内空気循環による除じん機能をもたない。

ビル管過去問|中央方式空調を解説

この問題は、中央方式の空気調和設備について、各方式の特徴を正しく理解しているかを問う問題です。正しい選択肢は(1)です。ダクト併用ファンコイルユニット方式は、室内側の熱負荷の一部をファンコイルユニットで処理できるため、単一ダクト方式に比べて空調機やダクトを小さくできるのが特徴です。そのため、「空調機の大容量化が必要」とする(1)が不適切です。

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(1) ダクト併用ファンコイルユニット方式では、単一ダクト方式に比べ、空調機の大容量化が必要となる。

不適切です。ダクト併用ファンコイルユニット方式は、外気処理や換気をダクト系統で行い、室内の熱負荷の一部をファンコイルユニットで処理する方式です。室内ごと、またはゾーンごとにファンコイルユニットで冷暖房負荷を分担できるため、すべての熱負荷を空調機からの空気だけで処理する単一ダクト方式に比べて、空調機やダクトを小さくしやすい特徴があります。したがって、空調機の大容量化が必要となるという記述は逆であり、誤りです。

(2) 変風量単一ダクト方式では、熱負荷に応じて給気風量を可変とするため、外気導入量も変動する。

適切です。変風量単一ダクト方式は、室内の熱負荷に応じて給気風量を増減させる方式です。冷房負荷や暖房負荷が小さいときには給気量を減らし、負荷が大きいときには給気量を増やします。このとき、給気量全体が変化するため、外気を一定比率で混合している場合には、外気導入量も変動しやすくなります。外気量が不足すると換気性能に影響するため、実際の設備では最小外気量を確保する制御が重要になります。

(3) マルチゾーン空調方式では、1台の空調機で複数ゾーンの温湿度調整を行う。

適切です。マルチゾーン空調方式は、1台の空調機で冷風と温風をつくり、それらを各ゾーンの負荷に応じて混合して送風する方式です。複数のゾーンに対して、それぞれ異なる温度条件の空気を供給できるため、ゾーンごとの負荷の違いに対応しやすい特徴があります。1台の空調機で複数ゾーンを扱う点が、この方式の基本的な特徴です。

(4) 定風量単一ダクト方式では、熱負荷の変動に対して給気温度を可変とすることで対応する。

適切です。定風量単一ダクト方式は、送風量を一定に保ちながら、給気温度を変化させて室内の熱負荷に対応する方式です。つまり、風量ではなく温度を調整することで冷暖房能力を変えます。構造や制御が比較的単純である一方、ゾーンごとの細かな温度調整には不向きな面があります。変風量方式が風量を変えるのに対し、定風量方式は主に給気温度で対応する、と整理すると理解しやすいです。

(5) 放射冷暖房は、単独設置では新鮮外気の導入と室内空気循環による除じん機能をもたない。

適切です。放射冷暖房は、床、天井、壁などの放射面を利用して人体や室内表面との間で熱をやり取りする方式です。空気を大量に吹き出す方式ではないため、単独では新鮮外気を導入する換気機能や、室内空気を循環させてフィルタで粉じんを除去する機能を持ちません。そのため、実際には換気設備や空気清浄機能を持つ空調設備と組み合わせて使用されることが多いです。

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この問題で覚えるポイント

中央方式空調では、各方式が「何を変化させて負荷に対応するのか」を整理することが重要です。定風量単一ダクト方式は風量を一定にして給気温度で対応し、変風量単一ダクト方式は給気温度をある程度一定にして風量を変化させて対応します。ダクト併用ファンコイルユニット方式は、空気側と水側で負荷を分担するため、単一ダクト方式よりも空調機やダクトを小さくしやすい方式です。マルチゾーン空調方式は、1台の空調機で複数ゾーンに対応し、冷風と温風の混合によりゾーンごとの温度調整を行います。放射冷暖房は熱的快適性に優れますが、単独では換気や除じんの機能を持たないため、外気導入設備や空気清浄機能との組合せが必要です。試験では、単一ダクト方式、変風量方式、ファンコイルユニット方式、放射冷暖房の役割分担の違いがよく問われます。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「ダクトを併用する」という言葉から、空調機やダクトが大きくなると誤解させる点にあります。実際には、ファンコイルユニットが室内負荷の一部を処理するため、中央の空調機がすべての負荷を受け持つ必要は小さくなります。また、定風量方式と変風量方式は名前が似ているため、給気温度を変えるのか、給気風量を変えるのかを混同しやすいです。さらに、放射冷暖房は快適な空調方式という印象が強いため、換気や除じんまでできると考えてしまうことがあります。しかし、放射冷暖房は熱の処理が中心であり、空気質の管理は別に考える必要があります。このように、空調方式の名称だけで判断せず、「熱を何で運ぶのか」「風量を変えるのか」「外気導入や除じん機能を持つのか」を確認することが、正誤判断のポイントです。

解説を読みながら理解を深めたい方はこちら。

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