【ビル管過去問】令和7年度 問題61|湿り空気と結露を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第61問

問題

湿り空気と結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 湿り空気線図では、絶対湿度と露点温度が得られれば状態点が定まる。

(2) 湿り空気の絶対湿度を同一に維持したまま冷却すると、相対湿度は上昇する。

(3) 相対湿度100%の湿り空気は、乾球温度、湿球温度ともに露点温度と等しい。

(4) 表面結露の防止には、室内で発生する水蒸気の量を必要以上に多くしないことも重要である。

(5) 熱橋(ヒートブリッジ)となった部分では、局所的に結露が発生しやすくなるため注意が必要である。

 

 

 

ビル管過去問|湿り空気と結露を解説

この問題は、湿り空気線図の読み取り、相対湿度と絶対湿度の関係、露点温度、表面結露、熱橋について問う問題です。最も不適当な選択肢は(1)です。湿り空気線図では、状態点を決めるためには互いに独立した2つの状態量が必要ですが、絶対湿度と露点温度は密接に対応する関係にあるため、この2つだけでは状態点を一意に定めることはできません。

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(1) 湿り空気線図では、絶対湿度と露点温度が得られれば状態点が定まる。

不適切です。絶対湿度と露点温度は、どちらも空気中に含まれる水蒸気量に関係する値です。露点温度とは、その空気を冷却したときに水蒸気が凝結し始める温度であり、空気中の水蒸気量が多いほど露点温度は高くなります。つまり、絶対湿度が決まると露点温度もほぼ対応して決まるため、この2つは独立した条件とはいえません。湿り空気線図で状態点を定めるには、乾球温度と相対湿度、乾球温度と湿球温度、乾球温度と絶対湿度など、互いに独立した2つの状態量が必要です。

(2) 湿り空気の絶対湿度を同一に維持したまま冷却すると、相対湿度は上昇する。

適切です。絶対湿度は、空気中に実際に含まれている水蒸気量を表します。一方、相対湿度は、その温度の空気が含むことのできる最大水蒸気量に対して、実際に含まれている水蒸気量がどの程度かを示す割合です。空気は温度が低くなるほど含むことのできる水蒸気量が少なくなります。そのため、絶対湿度が同じまま空気を冷却すると、飽和水蒸気量が減り、相対湿度は上昇します。さらに冷却が進むと相対湿度は100%に達し、結露が発生します。

(3) 相対湿度100%の湿り空気は、乾球温度、湿球温度ともに露点温度と等しい。

適切です。相対湿度100%の空気は、すでに水蒸気を最大限含んでいる飽和空気です。この状態では、これ以上水蒸気を含む余裕がないため、乾球温度、湿球温度、露点温度が等しくなります。通常、湿球温度は水の蒸発による冷却の影響を受けて乾球温度より低くなりますが、相対湿度100%では水が蒸発しにくいため、湿球温度は乾球温度と同じになります。

(4) 表面結露の防止には、室内で発生する水蒸気の量を必要以上に多くしないことも重要である。

適切です。表面結露は、壁や窓などの表面温度が周囲空気の露点温度以下になったときに発生します。室内で発生する水蒸気量が多いと、空気中の水蒸気量が増え、露点温度が高くなります。露点温度が高くなると、少し表面温度が下がっただけでも結露しやすくなります。そのため、換気を行うこと、加湿しすぎないこと、調理や入浴などで発生する水蒸気を適切に排出することが、表面結露の防止に有効です。

(5) 熱橋(ヒートブリッジ)となった部分では、局所的に結露が発生しやすくなるため注意が必要である。

適切です。熱橋とは、建物の一部で熱が伝わりやすくなっている部分のことです。例えば、柱、梁、金属部材、断熱材が途切れている部分などでは、外気の影響を受けやすく、室内側の表面温度が局所的に低下しやすくなります。表面温度が露点温度以下になると、その部分で結露が発生します。熱橋部分の結露は、カビや建材の劣化にもつながるため、断熱設計や防露対策で重要になります。

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この問題で覚えるポイント

湿り空気線図では、状態点を決めるには互いに独立した2つの状態量が必要です。乾球温度と相対湿度、乾球温度と湿球温度、乾球温度と絶対湿度のような組合せであれば状態点を定めることができます。一方、絶対湿度と露点温度はどちらも空気中の水蒸気量に関係するため、独立した2条件とはいえません。

絶対湿度は、空気中に実際に含まれている水蒸気量です。相対湿度は、その温度で空気が含むことのできる最大水蒸気量に対する割合です。温度が下がると飽和水蒸気量は小さくなるため、絶対湿度が同じでも相対湿度は上昇します。

露点温度は、空気を冷却したときに結露が始まる温度です。壁や窓などの表面温度が露点温度以下になると表面結露が発生します。結露防止では、表面温度を下げすぎないこと、室内の水蒸気量を増やしすぎないこと、換気によって湿気を排出することが重要です。

相対湿度100%の飽和空気では、乾球温度、湿球温度、露点温度が等しくなります。この関係は湿り空気の基本としてよく問われます。

熱橋は、断熱が弱い部分や熱が逃げやすい部分です。熱橋では室内側の表面温度が低くなりやすく、局所的に結露が発生しやすくなります。結露問題では、湿度だけでなく、表面温度や断熱状態も重要です。

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ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、絶対湿度と露点温度を別々の独立した条件のように見せている点です。どちらも水蒸気量に関係するため、2つの値を示しているように見えても、状態点を決めるための独立した情報としては不十分です。

湿り空気線図では「2つの状態量があれば状態点が定まる」と覚えているだけだと誤答しやすくなります。重要なのは、2つの状態量が互いに独立しているかどうかです。同じ性質を表す値を2つ並べても、状態点を決める条件としては不足します。

また、相対湿度と絶対湿度の違いも頻出のひっかけです。絶対湿度は実際の水蒸気量、相対湿度はその温度での飽和量に対する割合です。温度が変わると、相対湿度は変化しますが、絶対湿度は水蒸気の出入りがなければ変わりません。

結露は、単に「湿度が高いから起こる」と考えるだけでは不十分です。結露は、空気中の水蒸気量、露点温度、表面温度の関係で決まります。熱橋のように表面温度が局所的に低くなる部分では、室内全体の湿度が極端に高くなくても結露が起こることがあります。

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